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復讐のパラドクス・ロザリオ

殻守

第6話 その夜は暗く

「ただいま、ミレーネ」
すっかり日が暮れてしまっていてあたりは暗闇が支配していた。
「おかえり、お兄ちゃん」
そういうミレーネは少し調子悪い様子だった。
「どうしたんだいミレーネ?どこか悪いのか?」
心配そうにエルケードが近づくとミレーネは首を横に振りながら、
「ううん、大した事じゃないから大丈夫だよ。」
と言って小さく笑った。
そしてミレーネは近寄ってきたエルケードの手を握ると頬に当て目を閉じた。
「お兄ちゃんは何も心配しないで。私、強い子だから。」
微かに触れるその頬は少し熱を帯びていた。
「そうか、そうだな。ミレーネは昔から強い子だもんな。」
そう言ってエルケードは優しく微笑んだ。
ミレーネは胸を張り得意げにしている。
エルケードはそっと頬から手を離し、ミレーネの頭を撫でた。
撫でられるミレーネは小さい子供のようで、エルケードは温かい気持ちになった。
「良し、ミレーネ。今日はお前の好物を作ろう。」
ミレーネは紅色の瞳を輝かせ
「本当!?やったぁ!!」
と子供の様に喜んだ。
その様子を見て安心しきったエルケードは
「すぐに作るから楽しみに待っていてくれ。」
というと台所へと向かった。

台所では大きな鉄製の鍋にはたくさんの野菜や肉が琥珀色のスープの中に浮かんでいて魔鉱石によってグツグツと煮込まれていた。魔鉱石は魔力を流し込むだけで使用する事の出来る簡単な道具で一般的にかなり純度の低い物が出回っている。もちろん純度が高いものはそれなりの威力もあるため兵器に利用している国もある。今使用しているものはあくまでも料理用のためもちろん威力はないが小さい爆発程度なら起こすことが出来る。とはいえ魔力を過剰に流さなければ爆発はしないため特に問題はない。
「そろそろか」
エルケードは魔鉱石に魔力を流すのをやめる。部屋には香辛料のいい香りが漂っていた。具材にしっかりと火が通っていることを確認し、机に2人分の食器と先程作った料理と真ん中にスープの入った鍋を置く。
ご馳走の並んだ机を目にし喜ぶミレーネの姿が目に浮かびエルケードは小さく笑った。
早く呼んであげなければ
そう思ってエルケードはミレーネの眠る寝室のドアを開ける。
「さあ、出来たぞミレーネ。今日はご馳走…」
部屋に入った瞬間彼はちょっとした違和感に気がついた。
「ミレーネ?」
先程まで元気だった筈の妹が
「ミレーネ!」
今や息を荒げ、苦しそうな顔をしながら眠っていたのだ。

「お…兄ちゃん?」
ミレーネは薄目を開けこちらを見た。
「ミレーネ…」
そんな苦しそうな妹を見てエルケードは心を痛めた。
「ごめんなさい…せっかく作ってくれたのに…食べられ…そうにないや…」
ミレーネは申し訳なさそうに笑った。
エルケードは今にも泣きだしそうになりながらも、やるべき事をなそうとする。
「待ってろ!今すぐに医者を…」
そう言って部屋を出ようとして彼は止まった。
さっきは気づかなかったが部屋の隅に『アレ』が立っていることに気づいてしまった。
真っ白なドレスに白い肌、真っ白な髪をした長身の女。決して見ることの出来ない顔を持つ現実とはかけ離れたその存在をエルケードは1度だって忘れたことはない。
「迎え巫女…!!」
彼の愛するものを奪ってきた憎き存在。
『さあ迎えに来ました。』
迎え巫女はミレーネを見つめ、そう言った。

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