我が家の床下で築くハーレム王国
第124話罪の重さ
そもそもフウカとの出会いも不自然だった。突然城内で倒れていた少女。しかも倒れていた部屋は、施錠されていたので、まず中に入る事ができない。
でももし本当に彼女が幽霊なら、施錠されていた部屋に入っていたというのも、説明がつくがそれだけでは彼女が死人と判断はできない。
「まず翔平が見た夢で聞こえた声が、フウカだったとは限らないわよね」
「それはそうなんだけどさ、もしフウカじゃなければもう一人誰がいたんだ? そもそもあの場所は本来立ち入ってはいけない場所なんだよな」
「そうよね。普通に話しているけど、それ自体が異例なのよ」
儀式中には当人達以外の人達の立ち入りは厳禁だった。俺達はその過ちを犯してしまい、あの事故に巻き込まれてしまった。
でもそこに俺達と同じように過ちを犯した人がいるとは、少しだけ考えにくい。
(あくまで夢の話だから、事実とは限らないしな……)
「二人で何話してるの?」
集中して本を読んでいたフウカが、顔を上げて俺達に尋ねてくる。
「あ、いや、フウカの事考えてたんだよ、二人で」
「私の?」
「そもそもどうして記憶喪失だったのかとか、その原因とか色々考えていたんだよ。フウカは何か思い出せたりしたのか?」
「ほんの少しずつだけ。でもそれより」
「それより?」
「最近よく夢みるの」
「「え?」」
思わぬ言葉に俺とハナティアは同時に驚きの声を上げる。
「そ、それってどういう夢なんだ?」
「よく分からない夢。見たことがない場所で倒れているの。それ以外は何も覚えてない」
「見たことがない場所で」
「倒れてる?」
ただの偶然なのかそれとも、彼女も何かしらの関係があったからのか、彼女は俺と同じように夢を見た。まだ具体的な内容ではないものの、これが形になった時、答えが見つかるかもしれない。
「フウカ、その夢覚えておいた方がいいかもしれない」
「え? でも夢だからすぐに忘れちゃう」
「そういう時は忘れないように、どこかにメモをしておくんだ。そうすればきっと、フウカの記憶の鍵になると思うから」
「分かった。付けてみる、夢日記」
強く頷くフウカ。もしかしたら地道に調べるよりも、こうした方が良かったのかもしれないと思ってしまう。でも少し引っかかるのが、俺がかつて夢を見た場所と、フウカが夢を見た場所が違うこと。
俺が夢を見始めたのは、六月に儀式をした時。あの時はあそこが事故現場だったから、その場所に残っていた記憶の断片が夢になったのかと思っていた。
でもフウカは、俺と違ってあの場所には行っていない。なら、どうしてフウカは……。
「なあハナティア」
「……」
「ハナティア?」
「あ、ごめん、なに?」
「どうした? 考え事か」
「うん、少しだけ思うことがあって」
「思う事?」
それ以降ハナティアは何も答えなかった。彼女は一体何を考えているのだろうか。俺とフウカが偶然にも見た夢について何か思う事でもあるのだろうか?
そもそも、どうしてこの場所にはこんなにも記憶が……。
「私ちょっとサクヤの所に行ってくるね」
「あ、ああ」
ハナティアはそう言うと書庫から出て行く。残されたのは俺とフウカなのだが……。
「なあフウカ、その夢の事だけど」
俺も見たと言おうとしたが、フウカは既にまた本を読みだしてしまったので、言い出すことはできなかった。
(また今度でいいか)
今言ったら、きっと混乱するだろうし。
■□■□■□
その日の夜。
「フウカをあの場所に?」
「うん。サクヤにも話したら、それがいいかもしれないって」
俺の部屋にやって来たハナティアが、フウカをあの儀式を行った場所へ連れて行こうと言い出した。
「確かに記憶を取り戻すなら、その場所がいいかもしれないけど」
「それだけじゃないの」
「それだけじゃない?」
「私達にも関係あるのよ、翔平」
「俺達に?」
もう記憶喪失だった俺はともかくとして、ハナティアが何故関係があるのかが分からない。
「ハナティアは覚えているんじゃないのか?」
「勿論覚えてるわよ。でもあくまでそれは小さい頃の記憶。忘れてしまっている事だってあるでしょ?」
「そうかもしれないけど、どうしてそこまで」
「本当の事を知るためよ」
「本当の事?」
あの時起きた事が事実じゃないって事なのか? でもフウカと出会わなければ、もう一つのイレギュラーがあった可能性に気付くことはなかった。
つまり二十年経って新たに見えて来た事実が、もしかしたら新しい何かに繋がるかもしれないという事か。
「全部あの事故の事分かっているつもりだった。でもまだ私達には知らない事があるのかもしれない、翔平もそう思わない?」
「可能性はゼロじゃないな。でも」
「分かってる。たとえどんな事実が分かったとしても、私達がやった事は何一つ変わらないよね」
「ああ」
ほんの小さなイタズラ心が起こした大きな事故。俺は記憶喪失で都合よく忘れてしまっていたが、思い出せば思い出して行くほどに自分の罪がどれだけ重いのか分かってくる。
だからもし新しい事が分かったとしても、きっと俺は……。
「とにかく明日、フウカも連れてあの場所に行くわよ」
「分かった」
罪の重さを拭う事は出来ないと思う。
でももし本当に彼女が幽霊なら、施錠されていた部屋に入っていたというのも、説明がつくがそれだけでは彼女が死人と判断はできない。
「まず翔平が見た夢で聞こえた声が、フウカだったとは限らないわよね」
「それはそうなんだけどさ、もしフウカじゃなければもう一人誰がいたんだ? そもそもあの場所は本来立ち入ってはいけない場所なんだよな」
「そうよね。普通に話しているけど、それ自体が異例なのよ」
儀式中には当人達以外の人達の立ち入りは厳禁だった。俺達はその過ちを犯してしまい、あの事故に巻き込まれてしまった。
でもそこに俺達と同じように過ちを犯した人がいるとは、少しだけ考えにくい。
(あくまで夢の話だから、事実とは限らないしな……)
「二人で何話してるの?」
集中して本を読んでいたフウカが、顔を上げて俺達に尋ねてくる。
「あ、いや、フウカの事考えてたんだよ、二人で」
「私の?」
「そもそもどうして記憶喪失だったのかとか、その原因とか色々考えていたんだよ。フウカは何か思い出せたりしたのか?」
「ほんの少しずつだけ。でもそれより」
「それより?」
「最近よく夢みるの」
「「え?」」
思わぬ言葉に俺とハナティアは同時に驚きの声を上げる。
「そ、それってどういう夢なんだ?」
「よく分からない夢。見たことがない場所で倒れているの。それ以外は何も覚えてない」
「見たことがない場所で」
「倒れてる?」
ただの偶然なのかそれとも、彼女も何かしらの関係があったからのか、彼女は俺と同じように夢を見た。まだ具体的な内容ではないものの、これが形になった時、答えが見つかるかもしれない。
「フウカ、その夢覚えておいた方がいいかもしれない」
「え? でも夢だからすぐに忘れちゃう」
「そういう時は忘れないように、どこかにメモをしておくんだ。そうすればきっと、フウカの記憶の鍵になると思うから」
「分かった。付けてみる、夢日記」
強く頷くフウカ。もしかしたら地道に調べるよりも、こうした方が良かったのかもしれないと思ってしまう。でも少し引っかかるのが、俺がかつて夢を見た場所と、フウカが夢を見た場所が違うこと。
俺が夢を見始めたのは、六月に儀式をした時。あの時はあそこが事故現場だったから、その場所に残っていた記憶の断片が夢になったのかと思っていた。
でもフウカは、俺と違ってあの場所には行っていない。なら、どうしてフウカは……。
「なあハナティア」
「……」
「ハナティア?」
「あ、ごめん、なに?」
「どうした? 考え事か」
「うん、少しだけ思うことがあって」
「思う事?」
それ以降ハナティアは何も答えなかった。彼女は一体何を考えているのだろうか。俺とフウカが偶然にも見た夢について何か思う事でもあるのだろうか?
そもそも、どうしてこの場所にはこんなにも記憶が……。
「私ちょっとサクヤの所に行ってくるね」
「あ、ああ」
ハナティアはそう言うと書庫から出て行く。残されたのは俺とフウカなのだが……。
「なあフウカ、その夢の事だけど」
俺も見たと言おうとしたが、フウカは既にまた本を読みだしてしまったので、言い出すことはできなかった。
(また今度でいいか)
今言ったら、きっと混乱するだろうし。
■□■□■□
その日の夜。
「フウカをあの場所に?」
「うん。サクヤにも話したら、それがいいかもしれないって」
俺の部屋にやって来たハナティアが、フウカをあの儀式を行った場所へ連れて行こうと言い出した。
「確かに記憶を取り戻すなら、その場所がいいかもしれないけど」
「それだけじゃないの」
「それだけじゃない?」
「私達にも関係あるのよ、翔平」
「俺達に?」
もう記憶喪失だった俺はともかくとして、ハナティアが何故関係があるのかが分からない。
「ハナティアは覚えているんじゃないのか?」
「勿論覚えてるわよ。でもあくまでそれは小さい頃の記憶。忘れてしまっている事だってあるでしょ?」
「そうかもしれないけど、どうしてそこまで」
「本当の事を知るためよ」
「本当の事?」
あの時起きた事が事実じゃないって事なのか? でもフウカと出会わなければ、もう一つのイレギュラーがあった可能性に気付くことはなかった。
つまり二十年経って新たに見えて来た事実が、もしかしたら新しい何かに繋がるかもしれないという事か。
「全部あの事故の事分かっているつもりだった。でもまだ私達には知らない事があるのかもしれない、翔平もそう思わない?」
「可能性はゼロじゃないな。でも」
「分かってる。たとえどんな事実が分かったとしても、私達がやった事は何一つ変わらないよね」
「ああ」
ほんの小さなイタズラ心が起こした大きな事故。俺は記憶喪失で都合よく忘れてしまっていたが、思い出せば思い出して行くほどに自分の罪がどれだけ重いのか分かってくる。
だからもし新しい事が分かったとしても、きっと俺は……。
「とにかく明日、フウカも連れてあの場所に行くわよ」
「分かった」
罪の重さを拭う事は出来ないと思う。
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