我が家の床下で築くハーレム王国
第116話結婚前日
一夜明けて結婚式前日。この日もクレナティアさんの謎の計らいで、俺とハナティアは部屋で二人きり。
「私達明日結婚するんだよね?」
「ああ」
「流石に一夜どころか一日を共にするのはどうかと思うんだけど」
「それは……クレナティアさんに聞いてくれ」
おまけに俺達は昨晩から一歩も布団から出ていない。何でかは分からないけど、彼女から離れたくない気持ちが強かった。
「なあハナティア」
「何?」
「今お前は幸せか?」
だから離れない分暇になったので、改めて聞いてみたかった事を俺は尋ねてみた。
「何よ突然。幸せじゃなきゃ、今ここにいないわよ」
「なら最初から答えは決まっていたんだな」
「え?」
「俺とお前がここにいて、子供が生まれて、それが俺にとってもハナティアにとっても幸せなんじゃないのか?」
「そ、それは、そ、そうだけど。何か改めて言われると恥ずかしい」
布団にくるまり顔を隠すハナティア。今になっては彼女のこの姿もとても愛おしい。
「ここまで来ちゃったんだな、俺達」
「……うん。私達ここまで来ちゃったんだよ」
ここまでとは結婚するという関係になった事。そして明日その日を迎える。
最初出会った時は、家に穴を開けられ全裸で現れて、
『あ、帰ってきた』
第一声がそれだった。出会った当初から俺達は色々言い争ったりして、無理矢理この国に引きずり込まれて俺の日常はあっという間に崩壊した。
「出会った時は服も着れないからビックリしたよ。よくそれであの部屋に居る事ができたよな」
「まああの頃はそれに慣れてたし」
「それって充分犯罪者の発言だからな」
それで儀式やゴールデンウィークの事故に巻き込まれたりなど、散々な目に合わされた。特に初めての儀式の時は、色々な記憶が蘇ったりしてとても大変だった。
おまけに既にその時に彼女は妊娠していたのだから、本当に混乱していた。
『私……できちゃったみたい……』
出会って二ヶ月。まさかその言葉を初めて聞かされる事になるなんて思ってもいなかった。あの時は特に、まだハナティアへの気持ちが分かっていなかったから、どう示しをつければいいか迷った時もある。
「子供……か」
「その話をいきなりされて、戸惑ったよね翔平」
「当たり前だろ。いきなり子供ができて、家族になってくれって言われても困るだろ」
「でも私はずっと気持ちが決まっていたよ。翔平になら人生を託せるって」
「命の代償があったとしても、か?」
「それが私の運命だから」
ハナティアの血筋は子供を産めば必ず命を落とすという事。完璧な証拠はないが、それは代々伝われていた事らしい。
だからハナティアもそうなってしまうのではないか。彼女と家族になるという事はそういう事なのではないか、何度もそう思った。
「でもそんな運命は、俺が断ち切る。絶対に俺はお前を失わせたりしないからな」
「分かってる。私は翔平を信じてるから」
布団の中でハナティアは手を伸ばしてくる。俺はその手をしっかりと掴んだ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
昼はサクヤがニヤニヤしながら運んできた昼食を一緒に食べ(流石に布団から出た)、お腹を満たすと今度はハナティから俺に質問をしてきた。
「してもらいたい事?」
「ほ、ほら、結婚式直前だし、今までお世話になったから何か一つ言うこと聞いてあげようかなって思って」
「一つじゃ足りないくらいなんだけどな」
「そ、それは結婚した後からで」
「分かってる。冗談だって」
ハナティア曰く、何でも一つだけ俺が叶えたい願いを叶えるという事らしい。もうその願いは大体叶っているんだけど、強いて言うならば、
「な、なあハナティア」
「ど、どうしたの?」
「ひ、一つだけ頼んでいいか?」
「う、うん。出来る範囲なら」
「じゃ、じゃあさ」
俺がハナティアに一つの頼み事をした。ハナティアは少しだけ難しそうな顔をしたけど、しばらくして分かったと了解してくれた。
「翔平の事だから、もっとアレな事を頼むのかと思った」
「それは昨日散々したから満足してるよ。それにそれはまだこれからだからな」
「ちょっとは自重しなさいよ、馬鹿」
これでもかなり自重している方だと思うけど。特に表現とかは分からないようにしているし、多分大丈夫だよな?
「でもその頼み事、叶う確率の方が低いと思うけど」
「分かっている。でもさ、それ位しないと」
俺は二ヶ月近く使っていなかったスマホを取り出す。使わなかった一番の理由は、あの別れの後に顔を見るのは恥ずかしかったのと、当然と言うべきか圏外だった事。
でも二人は結婚式には出たいと熱望していた。直接会う事は不可能かもしれないけど、
「じゃあこれをサクヤに頼んで、どうにかしてもらうね」
「頼むよ。親友にはせめて晴れ姿を見てもらいたいだろ?」
「うん。じゃあサクヤの所に行ってくる」
そう言い残してハナティアはこの日初めて部屋から出た。一方残された俺は、布団に入って天井を眺めた。
(まさかあの二人よりも先に式を挙げる事になるなんてなぁ)
今頃二人はどうなっているのだろうか。もしかして付き合っていたりしていないよな?
(そんな馬鹿な話がある訳ないか)
とにかく二人の顔を見れるのが楽しみだ。
「私達明日結婚するんだよね?」
「ああ」
「流石に一夜どころか一日を共にするのはどうかと思うんだけど」
「それは……クレナティアさんに聞いてくれ」
おまけに俺達は昨晩から一歩も布団から出ていない。何でかは分からないけど、彼女から離れたくない気持ちが強かった。
「なあハナティア」
「何?」
「今お前は幸せか?」
だから離れない分暇になったので、改めて聞いてみたかった事を俺は尋ねてみた。
「何よ突然。幸せじゃなきゃ、今ここにいないわよ」
「なら最初から答えは決まっていたんだな」
「え?」
「俺とお前がここにいて、子供が生まれて、それが俺にとってもハナティアにとっても幸せなんじゃないのか?」
「そ、それは、そ、そうだけど。何か改めて言われると恥ずかしい」
布団にくるまり顔を隠すハナティア。今になっては彼女のこの姿もとても愛おしい。
「ここまで来ちゃったんだな、俺達」
「……うん。私達ここまで来ちゃったんだよ」
ここまでとは結婚するという関係になった事。そして明日その日を迎える。
最初出会った時は、家に穴を開けられ全裸で現れて、
『あ、帰ってきた』
第一声がそれだった。出会った当初から俺達は色々言い争ったりして、無理矢理この国に引きずり込まれて俺の日常はあっという間に崩壊した。
「出会った時は服も着れないからビックリしたよ。よくそれであの部屋に居る事ができたよな」
「まああの頃はそれに慣れてたし」
「それって充分犯罪者の発言だからな」
それで儀式やゴールデンウィークの事故に巻き込まれたりなど、散々な目に合わされた。特に初めての儀式の時は、色々な記憶が蘇ったりしてとても大変だった。
おまけに既にその時に彼女は妊娠していたのだから、本当に混乱していた。
『私……できちゃったみたい……』
出会って二ヶ月。まさかその言葉を初めて聞かされる事になるなんて思ってもいなかった。あの時は特に、まだハナティアへの気持ちが分かっていなかったから、どう示しをつければいいか迷った時もある。
「子供……か」
「その話をいきなりされて、戸惑ったよね翔平」
「当たり前だろ。いきなり子供ができて、家族になってくれって言われても困るだろ」
「でも私はずっと気持ちが決まっていたよ。翔平になら人生を託せるって」
「命の代償があったとしても、か?」
「それが私の運命だから」
ハナティアの血筋は子供を産めば必ず命を落とすという事。完璧な証拠はないが、それは代々伝われていた事らしい。
だからハナティアもそうなってしまうのではないか。彼女と家族になるという事はそういう事なのではないか、何度もそう思った。
「でもそんな運命は、俺が断ち切る。絶対に俺はお前を失わせたりしないからな」
「分かってる。私は翔平を信じてるから」
布団の中でハナティアは手を伸ばしてくる。俺はその手をしっかりと掴んだ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
昼はサクヤがニヤニヤしながら運んできた昼食を一緒に食べ(流石に布団から出た)、お腹を満たすと今度はハナティから俺に質問をしてきた。
「してもらいたい事?」
「ほ、ほら、結婚式直前だし、今までお世話になったから何か一つ言うこと聞いてあげようかなって思って」
「一つじゃ足りないくらいなんだけどな」
「そ、それは結婚した後からで」
「分かってる。冗談だって」
ハナティア曰く、何でも一つだけ俺が叶えたい願いを叶えるという事らしい。もうその願いは大体叶っているんだけど、強いて言うならば、
「な、なあハナティア」
「ど、どうしたの?」
「ひ、一つだけ頼んでいいか?」
「う、うん。出来る範囲なら」
「じゃ、じゃあさ」
俺がハナティアに一つの頼み事をした。ハナティアは少しだけ難しそうな顔をしたけど、しばらくして分かったと了解してくれた。
「翔平の事だから、もっとアレな事を頼むのかと思った」
「それは昨日散々したから満足してるよ。それにそれはまだこれからだからな」
「ちょっとは自重しなさいよ、馬鹿」
これでもかなり自重している方だと思うけど。特に表現とかは分からないようにしているし、多分大丈夫だよな?
「でもその頼み事、叶う確率の方が低いと思うけど」
「分かっている。でもさ、それ位しないと」
俺は二ヶ月近く使っていなかったスマホを取り出す。使わなかった一番の理由は、あの別れの後に顔を見るのは恥ずかしかったのと、当然と言うべきか圏外だった事。
でも二人は結婚式には出たいと熱望していた。直接会う事は不可能かもしれないけど、
「じゃあこれをサクヤに頼んで、どうにかしてもらうね」
「頼むよ。親友にはせめて晴れ姿を見てもらいたいだろ?」
「うん。じゃあサクヤの所に行ってくる」
そう言い残してハナティアはこの日初めて部屋から出た。一方残された俺は、布団に入って天井を眺めた。
(まさかあの二人よりも先に式を挙げる事になるなんてなぁ)
今頃二人はどうなっているのだろうか。もしかして付き合っていたりしていないよな?
(そんな馬鹿な話がある訳ないか)
とにかく二人の顔を見れるのが楽しみだ。
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