我が家の床下で築くハーレム王国
第107話彼女が居ない未来
サクヤから伝えられた真実に、一番衝撃を受けていたのはやはりハナティアだった。
「サクヤ、今の話は全部本当なんだよね? もう私に嘘はついてないよね」
「はい。ハナティア様が二十年だった今でも諦めていないのは分かっていたので、本当はこの真実を伝えるのは怖かったです。でもそれをしっかりと受け止めてくれるなら、私は全て話した事に後悔はありません」
「本当勝手なこと言うわね、馬鹿……」
全て受け止めると言っていたが、やはりそのショックは大きくてハナティアは何も喋らなくなった。
ーーしばらく無言の時間だけが流れる
その間俺は改めて自分がしてしまった事を後悔した。でもあの時は俺は何も知らなかった。ハナティアだって二十年間の月日の中で諦めていた。でも俺は諦めちゃダメだと彼女を元気づけた。しかしその中途半端な希望が、かえって彼女を辛くさせてしまった。
(今更後悔しても遅いのに、何をやっているんだよ俺は……)
重苦しい空気と後悔の念に耐えられなくなった俺は、遂にその場から立ち上がってしまう。
「翔平、どうしたの?」
「悪いハナティア、あの時俺はお前に諦めるなとか言ったのに、結局悪い結果しか生み出せなくて」
「何よ突然。確かにそんな話をした気がするけど、もうだいぶ前の話でしょ? 今更気にしてないわよ」
「でもお前は一度諦めていたのに、俺が余計な事を言ったから今日この日まで諦めていなかったんだろ?」
「それは確かに……そうだけど。でもそれは翔平のせいじゃなくて、私が……」
「無責任だよな俺も。何も知らないくせにそんな事を言ってさ」
喋り出したら言葉が止まらない。ハナティアがそう思っていなくても、 溢れ出る感情が止まらない。
胸が苦しい。
息がつまる。
俺は今どうしてこんな事を言い出したのか分からない。でも確実にあるのは、
俺のせいでハナティアを余計に傷つける事になってしまったという事実。
結果論の話ではあるが、その事実だけは変わらなかった。
「無責任だなんて、翔平は何も悪くない! いつかは分かることだったし、私だって変な希望を持つのが悪かったの。だから翔平は……」
「ちょっと外の空気吸ってくる」
「翔平!」
俺は耐えられなくなりその場から立ち去る。たった一度の出来事で自暴自棄になる必要なんてないのに、と思われるかもしれないが、自分の言葉が他人を傷つける事になってしまったのは、今日に限った話ではない。
美優の事。
雪音の事。
正志の事。
俺は過去に何度もそんな経験ばかりをしてきた。特に美優の一件に関しては、もう取り返しがつかない。何故なら彼女はもうこの世にいないのだから。
(俺はまた無責任な言葉で、過ちを繰り返すのか?)
そして目の前にいるハナティアでさえも俺は……。
■□■□■□
「あ、ダーリン」
意気消沈したまま外へ出ると、偶然ミルと遭遇する。今朝はハナティアと衝突したせいで、かなり落ち込んでいたが今は少しだけ元気が戻ったようだ。
「ミルか……」
「元気ないみたいだけど、どうしたの? もしかしてハナちゃんまだ怒ってる?」
「いや、それは解決したよ」
俺は歩きながらあの後の事を一通り話す。ミルは一通り聞いた後、こう口を開いた。
「じゃあハナちゃんは受け入れてくれたの?」
「全部というわけじゃないけど、ハナティアはもう逃げないっていっていたし、多分受け入れたんじゃないのかな」
「それならよかった」
「解決はしたけど、ハナティアにはちゃんと謝っておけよ」
「うん。明日ハナちゃんに会う。でも」
「でも?」
「それならどうしてダーリンはそんなに元気がないの?」
「それは……」
俺は言い淀む。サクヤが話した事を彼女にも話すべきなのか悩んだが、これはハナティア自身の問題なので、それはやめておいた。その代わりに俺は……。
「なあミル、お前はハナティアが両親のことを諦めていない事を知っていたよな」
「うん。ハナちゃんとはずっと一緒だったから」
「でもお前の中では何となくは両親の事分かっていたんだよな。隠し続けようとは思わなかったのか?」
ミルが何故あのタイミングで切り出したのかを聞いてみた。先日は隠し続けた方がいいと言っていたのに、何故話したのかその真意が気になっていたからだ。
「ダーリンには確かに隠し続けた方がいいって言ったよ。でもそれって、ハナちゃんの為にならないんじゃないかなって思ったの」
「ハナティアの為?」
その真実がハナティアを傷つける事になるのに、それが彼女の為になるのだろうか。というかこの前言っていた事と正反対だ。
「ダーリンは真実をハナちゃんが知ってしまった事を後悔してる?」
「ああ」
「私は後悔してないんだ。だって、ハナちゃんが何も知らないままこの先も生き続けるなんて、苦しめるだけだもん」
「それはそうだけど、今までのあいつを否定する事になるんだぞ?」
「それでもいいよ。だってハナちゃんはこの先……」
「翔平!」
ミルが何かを言いかけたところで、背後からハナティアの声がした。どうやら俺を追ってきたようだ。
「って、ミルも何で翔平と一緒にいるの?」
「ハナちゃん、私朝の事を」
「ごめんそれは明日改めて話そう、ミル。それより」
俺の目の前までハナティアがやって来て、こう告げた。
「今すぐ帰って来て翔平。ちゃんと話しよう」
「でも俺は……」
また自分の言葉で傷つけてしまう。それだけはもう……。
「いいから来て!」
「あ、おい」
ハナティアに無理やり引っ張られる。俺は俺はそれでも抗おうとするが……。
「私言葉よりも翔平が今ここで来ない方が、傷つくからお願い」
ハナティアのその言葉を聞いて、彼女の言う通りにする事にした。
「私よりも翔平が逃げちゃ駄目だよ。これから先へ進むなら尚更」
「この先に進む?」
「私達はもうすぐ家族になるんだから、逃げないで。生まれてくる子も私と同じなんだから」
避けては通らない血の運命。ハナティアのその言葉を聞いて、俺はもしかしたら本当に彼女がいなくなってしまうのではないのかと思って、怖くなった。
その未来に彼女が居ないかもしれない。
それが本当に怖かった。
「サクヤ、今の話は全部本当なんだよね? もう私に嘘はついてないよね」
「はい。ハナティア様が二十年だった今でも諦めていないのは分かっていたので、本当はこの真実を伝えるのは怖かったです。でもそれをしっかりと受け止めてくれるなら、私は全て話した事に後悔はありません」
「本当勝手なこと言うわね、馬鹿……」
全て受け止めると言っていたが、やはりそのショックは大きくてハナティアは何も喋らなくなった。
ーーしばらく無言の時間だけが流れる
その間俺は改めて自分がしてしまった事を後悔した。でもあの時は俺は何も知らなかった。ハナティアだって二十年間の月日の中で諦めていた。でも俺は諦めちゃダメだと彼女を元気づけた。しかしその中途半端な希望が、かえって彼女を辛くさせてしまった。
(今更後悔しても遅いのに、何をやっているんだよ俺は……)
重苦しい空気と後悔の念に耐えられなくなった俺は、遂にその場から立ち上がってしまう。
「翔平、どうしたの?」
「悪いハナティア、あの時俺はお前に諦めるなとか言ったのに、結局悪い結果しか生み出せなくて」
「何よ突然。確かにそんな話をした気がするけど、もうだいぶ前の話でしょ? 今更気にしてないわよ」
「でもお前は一度諦めていたのに、俺が余計な事を言ったから今日この日まで諦めていなかったんだろ?」
「それは確かに……そうだけど。でもそれは翔平のせいじゃなくて、私が……」
「無責任だよな俺も。何も知らないくせにそんな事を言ってさ」
喋り出したら言葉が止まらない。ハナティアがそう思っていなくても、 溢れ出る感情が止まらない。
胸が苦しい。
息がつまる。
俺は今どうしてこんな事を言い出したのか分からない。でも確実にあるのは、
俺のせいでハナティアを余計に傷つける事になってしまったという事実。
結果論の話ではあるが、その事実だけは変わらなかった。
「無責任だなんて、翔平は何も悪くない! いつかは分かることだったし、私だって変な希望を持つのが悪かったの。だから翔平は……」
「ちょっと外の空気吸ってくる」
「翔平!」
俺は耐えられなくなりその場から立ち去る。たった一度の出来事で自暴自棄になる必要なんてないのに、と思われるかもしれないが、自分の言葉が他人を傷つける事になってしまったのは、今日に限った話ではない。
美優の事。
雪音の事。
正志の事。
俺は過去に何度もそんな経験ばかりをしてきた。特に美優の一件に関しては、もう取り返しがつかない。何故なら彼女はもうこの世にいないのだから。
(俺はまた無責任な言葉で、過ちを繰り返すのか?)
そして目の前にいるハナティアでさえも俺は……。
■□■□■□
「あ、ダーリン」
意気消沈したまま外へ出ると、偶然ミルと遭遇する。今朝はハナティアと衝突したせいで、かなり落ち込んでいたが今は少しだけ元気が戻ったようだ。
「ミルか……」
「元気ないみたいだけど、どうしたの? もしかしてハナちゃんまだ怒ってる?」
「いや、それは解決したよ」
俺は歩きながらあの後の事を一通り話す。ミルは一通り聞いた後、こう口を開いた。
「じゃあハナちゃんは受け入れてくれたの?」
「全部というわけじゃないけど、ハナティアはもう逃げないっていっていたし、多分受け入れたんじゃないのかな」
「それならよかった」
「解決はしたけど、ハナティアにはちゃんと謝っておけよ」
「うん。明日ハナちゃんに会う。でも」
「でも?」
「それならどうしてダーリンはそんなに元気がないの?」
「それは……」
俺は言い淀む。サクヤが話した事を彼女にも話すべきなのか悩んだが、これはハナティア自身の問題なので、それはやめておいた。その代わりに俺は……。
「なあミル、お前はハナティアが両親のことを諦めていない事を知っていたよな」
「うん。ハナちゃんとはずっと一緒だったから」
「でもお前の中では何となくは両親の事分かっていたんだよな。隠し続けようとは思わなかったのか?」
ミルが何故あのタイミングで切り出したのかを聞いてみた。先日は隠し続けた方がいいと言っていたのに、何故話したのかその真意が気になっていたからだ。
「ダーリンには確かに隠し続けた方がいいって言ったよ。でもそれって、ハナちゃんの為にならないんじゃないかなって思ったの」
「ハナティアの為?」
その真実がハナティアを傷つける事になるのに、それが彼女の為になるのだろうか。というかこの前言っていた事と正反対だ。
「ダーリンは真実をハナちゃんが知ってしまった事を後悔してる?」
「ああ」
「私は後悔してないんだ。だって、ハナちゃんが何も知らないままこの先も生き続けるなんて、苦しめるだけだもん」
「それはそうだけど、今までのあいつを否定する事になるんだぞ?」
「それでもいいよ。だってハナちゃんはこの先……」
「翔平!」
ミルが何かを言いかけたところで、背後からハナティアの声がした。どうやら俺を追ってきたようだ。
「って、ミルも何で翔平と一緒にいるの?」
「ハナちゃん、私朝の事を」
「ごめんそれは明日改めて話そう、ミル。それより」
俺の目の前までハナティアがやって来て、こう告げた。
「今すぐ帰って来て翔平。ちゃんと話しよう」
「でも俺は……」
また自分の言葉で傷つけてしまう。それだけはもう……。
「いいから来て!」
「あ、おい」
ハナティアに無理やり引っ張られる。俺は俺はそれでも抗おうとするが……。
「私言葉よりも翔平が今ここで来ない方が、傷つくからお願い」
ハナティアのその言葉を聞いて、彼女の言う通りにする事にした。
「私よりも翔平が逃げちゃ駄目だよ。これから先へ進むなら尚更」
「この先に進む?」
「私達はもうすぐ家族になるんだから、逃げないで。生まれてくる子も私と同じなんだから」
避けては通らない血の運命。ハナティアのその言葉を聞いて、俺はもしかしたら本当に彼女がいなくなってしまうのではないのかと思って、怖くなった。
その未来に彼女が居ないかもしれない。
それが本当に怖かった。
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