我が家の床下で築くハーレム王国
第106話無責任な希望
その後遅い夕食を取り、一息ついたところで片付けを終えたサクヤがやって来た。
「お二人ともお待たせしました」
「ごめんねサクヤ、こんなに遅くなってしまって」
「いつもの事じゃないですか、気にしないでください。私としてはこうしてハナティア様と話をすることができて嬉しいです」
「避けていた私も確かに悪かったけど、あの時サクヤは何も答えてくれなかったでしょ」
「それは……ハナティア様の事を考えて」
「私の事を考えているなら、あの時からちゃんと答えてほしかった。だってそうすれば、私だって避ける必要もなかったし、こうやって話し合いもちゃんとできた」
「それは……」
サクヤから聞いた話だと、あの時本当にハナティアが何に気づいたのかは分かっていなかったらしい。だけどよく考えれば、ハナティアが気づかない方がおかしいと思ったらしい。
『いつまでも隠し通すことが出来ないのは分かっていました。けどそれを話すということは、これまでのハナティア様の思いを無下にしてしまう。それだけは避けたかったんです』
サクヤはそう言っていた。ハナティアが彼女の両親についてどれだけ力を入れているからこその言葉だと思うし、俺でもついそんな言葉が出てしまうだろう。
「サクヤが私の事を思ってくれたのは分かるよ。私がサクヤの立場だったらきっと同じ事を言うと思うし。だけど、私……もう逃げることもやめたの。それを、ミルが教えてくれたから」
「ハナティア、お前……」
「ごめんね翔平、さっきはキツイこと言って。ミルの言っていたことは全部合っていたし、私も薄々分かっていたの。だからサクヤにもちゃんと説明してほしい」
「ハナティア様がそれをお望みならば、お話をします。しかしその前に一つだけ聞かせてください」
「何?」
「これから話す事を一度も逃げ出さずに、ちゃんと聞いてくれますか?」
サクヤはハナティアの目をまっすぐに見つめてそう尋ねた。サクヤ自身も相応の覚悟を持って話すつもりなのだろう。
それに対してハナティアは、一度間を開けた後に、
「私は逃げないよサクヤ。そうするって決めたから、もう逃げない。あなたが知っている事全てを私に教えて」
「分かりました、ではお話しします。翔平様も聞いてくださるとありがたいです」
「分かった」
「ではお話しします」
ハナティアと俺の返事を聞くとサクヤは、その口でハナティアがまだ生まれてから間もない頃の話を語り始めた。
■□■□■□
ハナティアの姉クレナティアが生まれた時点で、血筋の呪いがあるなら生き続けている事はほぼ不可能な話だった。ましてや、その後に二人目の子供を授かるだなんて奇跡に近い事だった。
「それでもハナティア様の母親、クルティア様は産む事を決断したんです。少しでもこの国の未来を繋げたいから」
「その呪いって消えないのか?」
「はい。現にハナティア様にもその呪いが引き継がれてしまっています。勿論クレナティア様にも同等に。それでも自分の命よりも国を選んだんです」
ハナティア を産んだ後も、元から生命力が強かったのか長く生きたらしい。だからハナティアの記憶にも残っているという事らしい。
「でもそれもずっと長続きはしなかったんです。クルティア様はある日を境に倒れるようになったんですよ。ハナティア様の父親は、何としても長生きさせようとして方法を探しにトリナディアから出て探し回ったんです」
「じゃあもしかして、あの時お父さんとお母さんがセレスティアナに向かった本当の理由は……」
「はい。その方法を探しに向かったからなんですよ」
そこから先はだいぶ前にハナティアから直接聞かされた話の通りらしいが、だとしたらそれだけで既に両親が死んでいるという事実にはならない。ミルが話していた事だっておかしい。
「それだとなんか変じゃないか? クルティアさんが亡くなった証拠にもならないだろ」
思った言葉をそのままサクヤに聞く。それに対してサクヤはこう答えた。
「確かに翔平様の言う通りです。けど、そこからこの話には続きがあるんです」
それは、二人の姿が見えなくなってから数年ほど経った後の事。セレスティアナから一通の手紙が届いたということ。
「現王女と共にセレスティアナに来てほしい?」
「はい。しかし当時のハナティア様はまだ幼いですし何が起きるか分からないので、私一人だけでセレスティアナを訪ねたんです」
「私が知らない間にいつの間に……」
セレスティアナに一人で訪ねたサクヤを待っていたのは、病気で既に数年前に亡くなってしまったクルティアと、処刑されたハナティアの父親の姿だったという。
「処刑って、どうして私のお父さんが殺されなきゃいけないのよ! お父さんは病気でもないのに、どうして……」
「それについては答えてもらえませんでした。クルティア様が本当に病死なのかも確かではありません。しかし、二人が既に亡くなっていたのは事実なんです」
「そんな事って……」
俺もハナティアも言葉を失った。俺は以前ハナティアにまだ諦めるなと励ましたのに、こんなどうしようもない事実を突きつけられて、一体どうすればいいのだろうか。
(あの時点でやっぱり俺は、諦めるなとか言わなかった方がよかったのか?)
そうすればハナティアは希望を持つ必要もなかったのに、俺は……。
何て無責任な人間なんだ……。
「お二人ともお待たせしました」
「ごめんねサクヤ、こんなに遅くなってしまって」
「いつもの事じゃないですか、気にしないでください。私としてはこうしてハナティア様と話をすることができて嬉しいです」
「避けていた私も確かに悪かったけど、あの時サクヤは何も答えてくれなかったでしょ」
「それは……ハナティア様の事を考えて」
「私の事を考えているなら、あの時からちゃんと答えてほしかった。だってそうすれば、私だって避ける必要もなかったし、こうやって話し合いもちゃんとできた」
「それは……」
サクヤから聞いた話だと、あの時本当にハナティアが何に気づいたのかは分かっていなかったらしい。だけどよく考えれば、ハナティアが気づかない方がおかしいと思ったらしい。
『いつまでも隠し通すことが出来ないのは分かっていました。けどそれを話すということは、これまでのハナティア様の思いを無下にしてしまう。それだけは避けたかったんです』
サクヤはそう言っていた。ハナティアが彼女の両親についてどれだけ力を入れているからこその言葉だと思うし、俺でもついそんな言葉が出てしまうだろう。
「サクヤが私の事を思ってくれたのは分かるよ。私がサクヤの立場だったらきっと同じ事を言うと思うし。だけど、私……もう逃げることもやめたの。それを、ミルが教えてくれたから」
「ハナティア、お前……」
「ごめんね翔平、さっきはキツイこと言って。ミルの言っていたことは全部合っていたし、私も薄々分かっていたの。だからサクヤにもちゃんと説明してほしい」
「ハナティア様がそれをお望みならば、お話をします。しかしその前に一つだけ聞かせてください」
「何?」
「これから話す事を一度も逃げ出さずに、ちゃんと聞いてくれますか?」
サクヤはハナティアの目をまっすぐに見つめてそう尋ねた。サクヤ自身も相応の覚悟を持って話すつもりなのだろう。
それに対してハナティアは、一度間を開けた後に、
「私は逃げないよサクヤ。そうするって決めたから、もう逃げない。あなたが知っている事全てを私に教えて」
「分かりました、ではお話しします。翔平様も聞いてくださるとありがたいです」
「分かった」
「ではお話しします」
ハナティアと俺の返事を聞くとサクヤは、その口でハナティアがまだ生まれてから間もない頃の話を語り始めた。
■□■□■□
ハナティアの姉クレナティアが生まれた時点で、血筋の呪いがあるなら生き続けている事はほぼ不可能な話だった。ましてや、その後に二人目の子供を授かるだなんて奇跡に近い事だった。
「それでもハナティア様の母親、クルティア様は産む事を決断したんです。少しでもこの国の未来を繋げたいから」
「その呪いって消えないのか?」
「はい。現にハナティア様にもその呪いが引き継がれてしまっています。勿論クレナティア様にも同等に。それでも自分の命よりも国を選んだんです」
ハナティア を産んだ後も、元から生命力が強かったのか長く生きたらしい。だからハナティアの記憶にも残っているという事らしい。
「でもそれもずっと長続きはしなかったんです。クルティア様はある日を境に倒れるようになったんですよ。ハナティア様の父親は、何としても長生きさせようとして方法を探しにトリナディアから出て探し回ったんです」
「じゃあもしかして、あの時お父さんとお母さんがセレスティアナに向かった本当の理由は……」
「はい。その方法を探しに向かったからなんですよ」
そこから先はだいぶ前にハナティアから直接聞かされた話の通りらしいが、だとしたらそれだけで既に両親が死んでいるという事実にはならない。ミルが話していた事だっておかしい。
「それだとなんか変じゃないか? クルティアさんが亡くなった証拠にもならないだろ」
思った言葉をそのままサクヤに聞く。それに対してサクヤはこう答えた。
「確かに翔平様の言う通りです。けど、そこからこの話には続きがあるんです」
それは、二人の姿が見えなくなってから数年ほど経った後の事。セレスティアナから一通の手紙が届いたということ。
「現王女と共にセレスティアナに来てほしい?」
「はい。しかし当時のハナティア様はまだ幼いですし何が起きるか分からないので、私一人だけでセレスティアナを訪ねたんです」
「私が知らない間にいつの間に……」
セレスティアナに一人で訪ねたサクヤを待っていたのは、病気で既に数年前に亡くなってしまったクルティアと、処刑されたハナティアの父親の姿だったという。
「処刑って、どうして私のお父さんが殺されなきゃいけないのよ! お父さんは病気でもないのに、どうして……」
「それについては答えてもらえませんでした。クルティア様が本当に病死なのかも確かではありません。しかし、二人が既に亡くなっていたのは事実なんです」
「そんな事って……」
俺もハナティアも言葉を失った。俺は以前ハナティアにまだ諦めるなと励ましたのに、こんなどうしようもない事実を突きつけられて、一体どうすればいいのだろうか。
(あの時点でやっぱり俺は、諦めるなとか言わなかった方がよかったのか?)
そうすればハナティアは希望を持つ必要もなかったのに、俺は……。
何て無責任な人間なんだ……。
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