我が家の床下で築くハーレム王国

りょう

100話記念ショート ハナティアの肖像画

 これはまだ俺がトリナディアで暮らしを始める少し前の話。
 トリナディアの改革計画が少しずつ始まっている中で、ハナティアがこんな話をしてきた。

「ねえ翔平、見て見てこれ」

 そう言いながら彼女が俺に見せてきたのは、一枚の紙だった。

「ん? 何だよこれ」

「描いてもらったのよ」

「描いてもらった? 何を?」

「もっとよく見なさいよ」

 言われてよく見てみると、そこにはハナティアがそのまま描かれたかのような、絵が書いてあった。
 つまりハナティアは自画像を誰かに描いてもらったのだろう。

「へえ、そっくりだな」

「ほら、私の城に肖像画ってないでしょ? だから折角だから描いてもらって、それを飾ろうかなって」

「まあ確かに言われて見ればそうだけど。トリナディアにまさかこんなに絵が上手い人がいるなんてな」

「何を言っているのよ。これは地上の人に描いてもらったのよ」

「地上の人に? よく頼めたな」

「ちょっとした縁で少し前に出会ったばかりだったんだけど、その人とてもいい人で。私が頼んだらすぐにオッケーしてくれたの」

「優しい人でよかったな」

「うん、また描いてくれるって言っていたから、今度も何か頼んでみようかな」

「ちゃんと感謝しろよな」

「いつも感謝しているわよ。翔平も今度挨拶に行こうよ一緒に」

「まあ機会があればな。ところでその人の名前は?」

「えっと確か名前は……」

 この後城の入口には彼女の肖像画、並びに自画像が額縁で飾られる事になる。偶然の出会いとは言えど、いい人に出会えてよかったなと俺は心の底から思うのであった。

(ちょっとした縁か……)

そんな事ってあるもんだな。

「今度はあんな絵やこんな絵も頼んでみようかな」

「あんまり無茶なのは頼むなよ」

「ほら、私がアルバイトをしている所とか是非絵にしてもらって」

「それすごく怪しまれるだろ!」

 いつか会えたらその人に俺からも感謝しないと。「ありがとう」って。

「それだったらこの前撮った水着の写真も是非絵にしてもらって」

「そ、それは嫌よ」

「どうして?」

「は、恥ずかしいからに決まっているでしょ!」

自画像は描いてもらっておいて、よく言うな。

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