我が家の床下で築くハーレム王国
閑話4 still I love you
「叶わなくたって、しばらく会えなくたって、それでも私は……」
正志達と過ごせる残された僅かな時間。その間に雪音に話をしたいと呼び出された俺は、彼女と共にトリナディア城のにあるバルコニーに来ていた。
「翔平君はこれからこの国を変えていくんですよね」
「ああ。どこまでできるかは分からないけど、いつかはこの殺風景な景色も、活気あふれる国にしたいと思っていよ」
「それはどの位の時間がかかるんですかね」
「分からない。でも、時間をかけてでも成し遂げてみせるよ」
「その時は私達にも見せてくれるの?」
「そうだな」
バルコニーから見える国の景色は今はまっさらな状態。だけどそれをいつしか、一つの国として成り立つくらいの規模にしてみせる。
「二人には迷惑をかける事になるのは分かっている。だけどさ、俺はもうその筋を最後まで通すって決めたんだ」
「それが私の気持ちを踏み倒してでもですか?」
「それは……」
雪音がなにを言いたいのか俺は何となく分かった。だけど俺はその彼女の言葉に対しての答えを持っていない。
本当はハナティアに会う前に告白されていたら、オッケーしていたかもしれない。
だけど同時に正志の雪音に対する想いも気づいていた。
だから俺はあえて恋愛の事については距離を置いてきていた。
「温泉の時、翔平君は知っていますか? 私が本当の気持ちを伝えようとしていたのを」
 
「正志の話からは何となく察していたよ。こんなの都合が良すぎるかもしれないけどさ」
「本当は私はもっと早くこの気持ちを伝えられたかもしれないと思う時もあります。でも私にももう一つの悩みがありました」
「正志の事だよな?」
「私にはどうすれば分からなかったんです。彼の気持ちに応えられない事も分かっているはずなのに、それなのに」
「答えられなかったのか」
「はい……」
雪音が正志の思いに気づいている事も理解していた。そう俺達はお互いのことをあまりにも知りすぎたから、ぎくしゃくな関係が続いていたんだ。
三人のこの関係を崩したくなかったから。
「でももうそれを考える必要はなくなったから、雪音もさ正志のために」
「出来るわけないじゃないですか! 翔平君は何も分かっていないんですよ。ずっと隠し続けていたかの思いを」
「雪音……」
「ずっと、ずっと、ずっと、私は好きなんですよ、あなたが。叶わなくたって、しばらく会えなくたって、それでも私は……」
俺の胸に泣きついてくる雪音。俺はそれを優しく受け止める事しか出来なかった。
「私は……翔平君の事が好きなんですよ」
そう、それしか出来なかったんだ。
■□■□■□
「別に私正志と話すような事ないんだけど」
「仕方ないだろ、翔平と雪音はどこか行っちゃったんだから」
残された時間、折角だから雪音ちゃんともお話をしたいと思っていた私は、何故か正志と二人で大広間に残ってパーティの後片付けをしていた。
(何でよりにもよって、この微妙なチョイスなのよ)
思わずため息を漏らしてしまう。最悪この場にサクヤでもいてくれれば話しやすかったのに。
「そんなに俺と話すの嫌なのか?」
「嫌も何も、そんなに二人で話した事ないじゃない」
「だったらたまにはいいだろ」
「ある意味最初で最後の機会かもしれないわよ」
「何でそういう事言うかな」
何でも何もどうにもこうにもない。単純に私が翔平以外の男性にそこまでの耐性がないからだ。
「なあハナティアちゃん、あいつは、翔平は本気でこの国を変えられると思うのか?」
「何よ急に真面目な話なんて」
「聞いてみたかったんだよ。あいつの親友としてさ」
「ふーん」
それが果たしてどういう意味なのかは私には理解できなかった。だけど、話す事もないから折角だしこういう話をするのも悪くはないとも思う。
「それでどうなんだよ」
「私は翔平のことを信じてるよ。彼と一緒なら国を変えられるって」
「それは好きだから、とかか?」
「それとはまた違うと思う。この一ヶ月、翔平はこの国の為に一生懸命に色々な事をやってくれたの」
「あの公園とかか?」
「まだ未完成だけど、ああいうのだって小さな一歩だった翔平は言っていた。だから私も信じてみたいって決めたんだ」
「本当はずっと前からなんだろ?」
「それは……そうだけど」
図星ではあった。翔平と再会を果たしたあの四月。あの時から本当は私の中で確信はあったのかもしれない。だからあの場所に私はもう一度姿を現したんだと思う。
「その言葉を聞けて安心したよ。翔平のこと頼んだよ、ハナティアちゃん」
「言われなくても翔平を支えていくわよ。いつかはギャフンと言わせるくらいの大きな国にしてみせるんだから」
「その時は俺達も呼んでくれよな」
「正志以外には招待状送るね」
「何でだよ!?」
「ずっとさりげなく私をちゃん付けで呼ぶ馴れ馴れしい人は呼びたくないもん」
「ずっと何持っているのかよそれ!?」
気にしていなかった訳がない。出会った当初からずっとその呼び名だったのがすごく気になっていた。何で初対面に近い人間にちゃん付けで呼ばれなければならないのかと。
「次呼んだらこの国に出入り禁止ね」
「それ厳しすぎじゃありませんか?!」
正志達と過ごせる残された僅かな時間。その間に雪音に話をしたいと呼び出された俺は、彼女と共にトリナディア城のにあるバルコニーに来ていた。
「翔平君はこれからこの国を変えていくんですよね」
「ああ。どこまでできるかは分からないけど、いつかはこの殺風景な景色も、活気あふれる国にしたいと思っていよ」
「それはどの位の時間がかかるんですかね」
「分からない。でも、時間をかけてでも成し遂げてみせるよ」
「その時は私達にも見せてくれるの?」
「そうだな」
バルコニーから見える国の景色は今はまっさらな状態。だけどそれをいつしか、一つの国として成り立つくらいの規模にしてみせる。
「二人には迷惑をかける事になるのは分かっている。だけどさ、俺はもうその筋を最後まで通すって決めたんだ」
「それが私の気持ちを踏み倒してでもですか?」
「それは……」
雪音がなにを言いたいのか俺は何となく分かった。だけど俺はその彼女の言葉に対しての答えを持っていない。
本当はハナティアに会う前に告白されていたら、オッケーしていたかもしれない。
だけど同時に正志の雪音に対する想いも気づいていた。
だから俺はあえて恋愛の事については距離を置いてきていた。
「温泉の時、翔平君は知っていますか? 私が本当の気持ちを伝えようとしていたのを」
 
「正志の話からは何となく察していたよ。こんなの都合が良すぎるかもしれないけどさ」
「本当は私はもっと早くこの気持ちを伝えられたかもしれないと思う時もあります。でも私にももう一つの悩みがありました」
「正志の事だよな?」
「私にはどうすれば分からなかったんです。彼の気持ちに応えられない事も分かっているはずなのに、それなのに」
「答えられなかったのか」
「はい……」
雪音が正志の思いに気づいている事も理解していた。そう俺達はお互いのことをあまりにも知りすぎたから、ぎくしゃくな関係が続いていたんだ。
三人のこの関係を崩したくなかったから。
「でももうそれを考える必要はなくなったから、雪音もさ正志のために」
「出来るわけないじゃないですか! 翔平君は何も分かっていないんですよ。ずっと隠し続けていたかの思いを」
「雪音……」
「ずっと、ずっと、ずっと、私は好きなんですよ、あなたが。叶わなくたって、しばらく会えなくたって、それでも私は……」
俺の胸に泣きついてくる雪音。俺はそれを優しく受け止める事しか出来なかった。
「私は……翔平君の事が好きなんですよ」
そう、それしか出来なかったんだ。
■□■□■□
「別に私正志と話すような事ないんだけど」
「仕方ないだろ、翔平と雪音はどこか行っちゃったんだから」
残された時間、折角だから雪音ちゃんともお話をしたいと思っていた私は、何故か正志と二人で大広間に残ってパーティの後片付けをしていた。
(何でよりにもよって、この微妙なチョイスなのよ)
思わずため息を漏らしてしまう。最悪この場にサクヤでもいてくれれば話しやすかったのに。
「そんなに俺と話すの嫌なのか?」
「嫌も何も、そんなに二人で話した事ないじゃない」
「だったらたまにはいいだろ」
「ある意味最初で最後の機会かもしれないわよ」
「何でそういう事言うかな」
何でも何もどうにもこうにもない。単純に私が翔平以外の男性にそこまでの耐性がないからだ。
「なあハナティアちゃん、あいつは、翔平は本気でこの国を変えられると思うのか?」
「何よ急に真面目な話なんて」
「聞いてみたかったんだよ。あいつの親友としてさ」
「ふーん」
それが果たしてどういう意味なのかは私には理解できなかった。だけど、話す事もないから折角だしこういう話をするのも悪くはないとも思う。
「それでどうなんだよ」
「私は翔平のことを信じてるよ。彼と一緒なら国を変えられるって」
「それは好きだから、とかか?」
「それとはまた違うと思う。この一ヶ月、翔平はこの国の為に一生懸命に色々な事をやってくれたの」
「あの公園とかか?」
「まだ未完成だけど、ああいうのだって小さな一歩だった翔平は言っていた。だから私も信じてみたいって決めたんだ」
「本当はずっと前からなんだろ?」
「それは……そうだけど」
図星ではあった。翔平と再会を果たしたあの四月。あの時から本当は私の中で確信はあったのかもしれない。だからあの場所に私はもう一度姿を現したんだと思う。
「その言葉を聞けて安心したよ。翔平のこと頼んだよ、ハナティアちゃん」
「言われなくても翔平を支えていくわよ。いつかはギャフンと言わせるくらいの大きな国にしてみせるんだから」
「その時は俺達も呼んでくれよな」
「正志以外には招待状送るね」
「何でだよ!?」
「ずっとさりげなく私をちゃん付けで呼ぶ馴れ馴れしい人は呼びたくないもん」
「ずっと何持っているのかよそれ!?」
気にしていなかった訳がない。出会った当初からずっとその呼び名だったのがすごく気になっていた。何で初対面に近い人間にちゃん付けで呼ばれなければならないのかと。
「次呼んだらこの国に出入り禁止ね」
「それ厳しすぎじゃありませんか?!」
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