我が家の床下で築くハーレム王国
第5話その誘いは未知なるもの
「それで、結局話してしまったんですか」
「そんな国があるってだけ話したよ。あとハナティアに関しては子供を一日預かっただけって事で何とか誤魔化しましたけど、かなり怪しまれていると思う」
例の事件が起きた日の夜、俺は謝罪をこめてサクヤに事情を説明。かなり端折ったものの、トリナディアの事を話してしまったのですごく罪悪感が俺の中には湧いていた。
でもそれもこれも、原因はハナティアにある。
「というかそもそも、どうしてサクヤは許可したんだよ! おかげで朝から修羅場だったんだぞ」
「その方が面白いと思ったんですよ。朝の目覚めに最適かと思いまして。まあ少々やり過ぎたとは思いましたけど」
「だったら最初からしないでくれよ」
おかげで俺は今日一日緊張してばかりだったのだから、こういう心臓に悪い事は勘弁してもらいたい。だって朝目を覚ましたら、隣で女の子が寝ていたなんて、ラノベじゃないんだから。
「でも隠し続けるつもりはなかったんですよね?」
「まあ、いつかはバレてしまう事だとは思ったけどさ。例の事件で心配させたし」
「だったら問題はなかったのでは? ハナティア様とも一緒に寝られて、結果オーライかと」
「オーライにはならないと思うけど」
説明しても雪音に変な誤解を招かねなかっただろうし。苦し紛れに子供を一日預かっているとか言ったけど、本来その説明も誤魔化しきれてないとさえ思ってしまう。
「それに彼女なら問題ないかと思いますよ」
「どういう意味だよそれ」
「秘密です」
何か意味ありげな事を言うが、サクヤはそれ以上答えてはくれなかった。
(彼女って、雪音の事だよな?)
何が問題ないんだろ。
「何よ、私が隣で寝てたら問題でもあるの?」
その会話に不満タラタラでハナティアが入ってくる。そもそもの原因はこいつにあるのに、どうしてそれを理解してくれないのか不思議だ。
「あるから朝から大騒ぎになったんだよ。第一、いつ部屋に来た」
「それは勿論、翔平が寝てる時」
「夜這いでもしに来たのかお前は!」
「夜這いじゃないわよ。襲いに来たのよ」
「一緒だ!」
(しかもどっちも意味深にしか聞こえないぞ!)
 まさか大学生になってこんなに小さい子に夜這い、或いは襲われかけるなんて予想できなかった。だって、こういう経験ってもう少し年を取った後に起きるイベントだろ?
(これが今後、ハナティア以外でも起きてしまったらその時は……)
俺の人生お先真っ暗。それ以前に次から雪音に顔を合わせにくい。こんな状況、どうやって正志に説明しよう……。
「とりあえず明日は休みだから、今日は帰るつもりないけどさ、できれば変な事起こさないでもらいたいんだけど」
「泊まってくれるの?! それだったら早く私の部屋に来て」
「話を聞いてなかったか? 変な事をだな……」
言う間もなくハナティアにズルズルと引っ張られる俺。こうなるから本当は泊まりたくなかったんだけど、もう後には引けなさそうだ。
(もしこれがこれから、日常的になってきたら)
正志や雪音にどう説明したものか。
「翔平と一晩一緒なんて、初めて」
「勝手に昨日夜這いしておいて、よくそんな事言えるな」
 
ここで勘違いされて困るのは、今回は寝場所もないだろうから仕方なくハナティアについて行くだけで、そういう邪な気とかない事。これが初体験とか微塵も思っていない事をここに誓う。
「お二人とも、新婚みたいで微笑ましいです」
最後にサクヤがそんな事を言っていた気がするけど、空耳だと信じたい。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
結局ズルズルと引っ張られながらハナティアの部屋へと半ば連行された俺。彼女の部屋に来るのは二度目となるが、前回同様に何かが起きそうで怖い。
「なあハナティア、一つ聞いていいか?」
「何? なんでも聞いて」
「お前はどうしてこんな俺なんかと、ここまでしてそのあんな事をしたいんだ」
なので起きる前に先手を打って、聞いてみたかった事を彼女に尋ねる。そもそもの話、何故俺がその計画の柱として選ばれたのか、それが分からなかった。
「サクヤから聞いているでしょ? ただ一人の運命の人だって」
「それは聞いているけど、どうも腑に落ちないんだよな」
「どうして?」
「だってお前と俺はまだ出会って間もない。一度も会ったことがなかったのに、どうして運命の人だって言えるのかなって」
ずっと疑問に思っていたことだった。俺とハナティアはまだ出会って二週間経つか経たないかくらいだ。それなのにただ一人の運命の人だなんて、まるでもっと前からそう決まっていたみたいな言い方だ。
(しかも運命の人って、相手から言われるようなものでもないよな)
だから俺の中で腑に落ちない。ましてや子作りなんて女性にとっては、生涯に一度あるかないかくらいの話だ。
「お前だって一人の女の子だしさ、そういうのだって大切だろう? 運命の人だからって、俺しかいないみたいな言い方しなくてもいいんじゃないかなって」
「翔平はそんなに嫌? 私の事」
「嫌も何も、まだあって数日だからな」
そんな人に運命の人って言われても、俺はどう反応すればいいかとか色々困る。だから段階を踏もうって言ったわけだし、そこで改めて彼女には考え直してもらいたいと思っている。
(でも引っかかる事があるなら……)
俺は何故かその言葉に聞き覚えがある。いつそれを聞いたのかは分からないけど、その言葉を聞かなければこうしてここにいる事もなかった。
「分からないのも当然だよね。でもその答えは、今私は答えられないかな」
「なんだよその意味ありげな言い方は。なんか知っているのか?」
「知っている、と言えば当たりだけど、不正解でもあるかな」
「訳がわからないぞ」
何とも曖昧な答え方に、疑問ばかりが残る。しかしハナティはそれに答える気はないようだ。
「今は分からなくていいよ。それよりもう遅いから、寝ようよ」
「そうだな。俺はその辺の床で寝るよ」
どうしても気になるが、今はその話はしなくていいかと判断した俺は、諦めて部屋を出ようとする。
「駄目。今日は私と同じ布団で寝るの!」
その行動を察知していたかのごとく、ハナティアはなぜか駄々っ子になる。うん、まあこうなる事は予測していたけど。
「最初からそのつもりだっただろ」
「勿論」
「ハッキリ言い切るあたり確信犯だよな、お前。寝場所がないのは予想していたけど、ここまで積極的なのは予想外だよ」
彼女がど直球すぎるので、俺も流石に諦める。それに彼女はさっきから何かを知っているような言い方しているし、もしかしたら過去に何か交わりがあったとか。
「ハナティアは理解しているんだよな。男女が同じ布団で寝る意味を」
「分かっているわよ。だから私は翔平を誘っているんだし」
「当然のように言ってのけるなよ。それにそういうセリフはあんまり外で言わないほうがいいぞ。下手すれば俺の人生が危うい」
「デンジャラスな人生、私は楽しいと思うよ」
「俺はそんな人生嫌だよ」
「でも一緒に寝てくれるんでしょ?」
「い、いやそれは、だな」
「お願い」
可愛らしくハナティアに、俺の心が若干揺らぐ。こんなに可愛い子に誘われたら、誰だって揺らぐ。だけどそれでも俺には越えてはいけない一線というものがあって、別にハナティアが嫌いという事でもない。
(って、何考えてんだろ俺)
まあとにかく、何を言われてもここは自分の意思を貫き通させてもらう。
「私翔平と一緒がいいの! ね、一緒に寝よ」
「あぁぁ、ごめんハナティア。やっばり俺はもうその辺の床で寝る!」
「あ、ちょっと!」
誘惑にギリギリのところで耐えた俺は、適当な場所に寝転がり、そのまま目を瞑る。
(ああ、床が冷たい)
まだ四月なので風邪をひいてしまいそうだけど、その時はその時だ。
まだ何か言いたそうにハナティアがこちらを見ているが、これ以上は疲れるので無視して眠りにつくのであった。
「もしかして本当に寝ちゃったの? 何もそこまでしなくていいのに……」
しつこい人間だと思われているのは、私も自覚している。
(それでも私は……)
失ったものを取り戻したい。その事に彼は気づいていないけど、いつかは分かる日が来る。
(だからそれまでは……)
私も立ち止まってはいられない。
「おやすみ翔平、そしてごめんなさい」
翔平に最後そう囁いて、眠りにつこうとする。だけどその前にある事に気付いた。
(翔平寝ちゃったけど、これはこの前と同じように絶好のチャンス!)
私も懲りないとは思いながら、翔平の元へと寄って行った。
「そんな国があるってだけ話したよ。あとハナティアに関しては子供を一日預かっただけって事で何とか誤魔化しましたけど、かなり怪しまれていると思う」
例の事件が起きた日の夜、俺は謝罪をこめてサクヤに事情を説明。かなり端折ったものの、トリナディアの事を話してしまったのですごく罪悪感が俺の中には湧いていた。
でもそれもこれも、原因はハナティアにある。
「というかそもそも、どうしてサクヤは許可したんだよ! おかげで朝から修羅場だったんだぞ」
「その方が面白いと思ったんですよ。朝の目覚めに最適かと思いまして。まあ少々やり過ぎたとは思いましたけど」
「だったら最初からしないでくれよ」
おかげで俺は今日一日緊張してばかりだったのだから、こういう心臓に悪い事は勘弁してもらいたい。だって朝目を覚ましたら、隣で女の子が寝ていたなんて、ラノベじゃないんだから。
「でも隠し続けるつもりはなかったんですよね?」
「まあ、いつかはバレてしまう事だとは思ったけどさ。例の事件で心配させたし」
「だったら問題はなかったのでは? ハナティア様とも一緒に寝られて、結果オーライかと」
「オーライにはならないと思うけど」
説明しても雪音に変な誤解を招かねなかっただろうし。苦し紛れに子供を一日預かっているとか言ったけど、本来その説明も誤魔化しきれてないとさえ思ってしまう。
「それに彼女なら問題ないかと思いますよ」
「どういう意味だよそれ」
「秘密です」
何か意味ありげな事を言うが、サクヤはそれ以上答えてはくれなかった。
(彼女って、雪音の事だよな?)
何が問題ないんだろ。
「何よ、私が隣で寝てたら問題でもあるの?」
その会話に不満タラタラでハナティアが入ってくる。そもそもの原因はこいつにあるのに、どうしてそれを理解してくれないのか不思議だ。
「あるから朝から大騒ぎになったんだよ。第一、いつ部屋に来た」
「それは勿論、翔平が寝てる時」
「夜這いでもしに来たのかお前は!」
「夜這いじゃないわよ。襲いに来たのよ」
「一緒だ!」
(しかもどっちも意味深にしか聞こえないぞ!)
 まさか大学生になってこんなに小さい子に夜這い、或いは襲われかけるなんて予想できなかった。だって、こういう経験ってもう少し年を取った後に起きるイベントだろ?
(これが今後、ハナティア以外でも起きてしまったらその時は……)
俺の人生お先真っ暗。それ以前に次から雪音に顔を合わせにくい。こんな状況、どうやって正志に説明しよう……。
「とりあえず明日は休みだから、今日は帰るつもりないけどさ、できれば変な事起こさないでもらいたいんだけど」
「泊まってくれるの?! それだったら早く私の部屋に来て」
「話を聞いてなかったか? 変な事をだな……」
言う間もなくハナティアにズルズルと引っ張られる俺。こうなるから本当は泊まりたくなかったんだけど、もう後には引けなさそうだ。
(もしこれがこれから、日常的になってきたら)
正志や雪音にどう説明したものか。
「翔平と一晩一緒なんて、初めて」
「勝手に昨日夜這いしておいて、よくそんな事言えるな」
 
ここで勘違いされて困るのは、今回は寝場所もないだろうから仕方なくハナティアについて行くだけで、そういう邪な気とかない事。これが初体験とか微塵も思っていない事をここに誓う。
「お二人とも、新婚みたいで微笑ましいです」
最後にサクヤがそんな事を言っていた気がするけど、空耳だと信じたい。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
結局ズルズルと引っ張られながらハナティアの部屋へと半ば連行された俺。彼女の部屋に来るのは二度目となるが、前回同様に何かが起きそうで怖い。
「なあハナティア、一つ聞いていいか?」
「何? なんでも聞いて」
「お前はどうしてこんな俺なんかと、ここまでしてそのあんな事をしたいんだ」
なので起きる前に先手を打って、聞いてみたかった事を彼女に尋ねる。そもそもの話、何故俺がその計画の柱として選ばれたのか、それが分からなかった。
「サクヤから聞いているでしょ? ただ一人の運命の人だって」
「それは聞いているけど、どうも腑に落ちないんだよな」
「どうして?」
「だってお前と俺はまだ出会って間もない。一度も会ったことがなかったのに、どうして運命の人だって言えるのかなって」
ずっと疑問に思っていたことだった。俺とハナティアはまだ出会って二週間経つか経たないかくらいだ。それなのにただ一人の運命の人だなんて、まるでもっと前からそう決まっていたみたいな言い方だ。
(しかも運命の人って、相手から言われるようなものでもないよな)
だから俺の中で腑に落ちない。ましてや子作りなんて女性にとっては、生涯に一度あるかないかくらいの話だ。
「お前だって一人の女の子だしさ、そういうのだって大切だろう? 運命の人だからって、俺しかいないみたいな言い方しなくてもいいんじゃないかなって」
「翔平はそんなに嫌? 私の事」
「嫌も何も、まだあって数日だからな」
そんな人に運命の人って言われても、俺はどう反応すればいいかとか色々困る。だから段階を踏もうって言ったわけだし、そこで改めて彼女には考え直してもらいたいと思っている。
(でも引っかかる事があるなら……)
俺は何故かその言葉に聞き覚えがある。いつそれを聞いたのかは分からないけど、その言葉を聞かなければこうしてここにいる事もなかった。
「分からないのも当然だよね。でもその答えは、今私は答えられないかな」
「なんだよその意味ありげな言い方は。なんか知っているのか?」
「知っている、と言えば当たりだけど、不正解でもあるかな」
「訳がわからないぞ」
何とも曖昧な答え方に、疑問ばかりが残る。しかしハナティはそれに答える気はないようだ。
「今は分からなくていいよ。それよりもう遅いから、寝ようよ」
「そうだな。俺はその辺の床で寝るよ」
どうしても気になるが、今はその話はしなくていいかと判断した俺は、諦めて部屋を出ようとする。
「駄目。今日は私と同じ布団で寝るの!」
その行動を察知していたかのごとく、ハナティアはなぜか駄々っ子になる。うん、まあこうなる事は予測していたけど。
「最初からそのつもりだっただろ」
「勿論」
「ハッキリ言い切るあたり確信犯だよな、お前。寝場所がないのは予想していたけど、ここまで積極的なのは予想外だよ」
彼女がど直球すぎるので、俺も流石に諦める。それに彼女はさっきから何かを知っているような言い方しているし、もしかしたら過去に何か交わりがあったとか。
「ハナティアは理解しているんだよな。男女が同じ布団で寝る意味を」
「分かっているわよ。だから私は翔平を誘っているんだし」
「当然のように言ってのけるなよ。それにそういうセリフはあんまり外で言わないほうがいいぞ。下手すれば俺の人生が危うい」
「デンジャラスな人生、私は楽しいと思うよ」
「俺はそんな人生嫌だよ」
「でも一緒に寝てくれるんでしょ?」
「い、いやそれは、だな」
「お願い」
可愛らしくハナティアに、俺の心が若干揺らぐ。こんなに可愛い子に誘われたら、誰だって揺らぐ。だけどそれでも俺には越えてはいけない一線というものがあって、別にハナティアが嫌いという事でもない。
(って、何考えてんだろ俺)
まあとにかく、何を言われてもここは自分の意思を貫き通させてもらう。
「私翔平と一緒がいいの! ね、一緒に寝よ」
「あぁぁ、ごめんハナティア。やっばり俺はもうその辺の床で寝る!」
「あ、ちょっと!」
誘惑にギリギリのところで耐えた俺は、適当な場所に寝転がり、そのまま目を瞑る。
(ああ、床が冷たい)
まだ四月なので風邪をひいてしまいそうだけど、その時はその時だ。
まだ何か言いたそうにハナティアがこちらを見ているが、これ以上は疲れるので無視して眠りにつくのであった。
「もしかして本当に寝ちゃったの? 何もそこまでしなくていいのに……」
しつこい人間だと思われているのは、私も自覚している。
(それでも私は……)
失ったものを取り戻したい。その事に彼は気づいていないけど、いつかは分かる日が来る。
(だからそれまでは……)
私も立ち止まってはいられない。
「おやすみ翔平、そしてごめんなさい」
翔平に最後そう囁いて、眠りにつこうとする。だけどその前にある事に気付いた。
(翔平寝ちゃったけど、これはこの前と同じように絶好のチャンス!)
私も懲りないとは思いながら、翔平の元へと寄って行った。
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