我が家の床下で築くハーレム王国
第12話動き始める時の歯車
変な夢から目を覚ました時には、既に日付が変わっていた。ボーッと天井を眺めながら俺はさっきの夢みたいな何かを思い出す。
(何だ今の)
あの水面といい、声といいどこかで聞いたような見たような気がする。でもどちらにせよ、今考えたところで答えは出ない。
「あ、お目覚めになられましたか? 翔平様」
「サクヤ、俺はあの後一体……」
しばらく何も考えず、ずっと天井を眺めていると、サクヤが入ってきたのであの後の事を尋ねる。
「実は翔平様は、あの後かなりの高熱を出されて倒れたんですよ。ハナティア様が看病してくれたおかげで、だいぶ下がりましたけど」
それよりも俺の看病をハナティアがしてくれたのか?
「そのハナティアは今どこに?」
「今もあなたの側で眠っているじゃないですか」
微笑みながらサクヤに言われ、辺りを見回すと看病疲れで近くの椅子で眠っているハナティアの姿が。
「そっか。わざわざ看病をしてくれたのか」
少しだけ嬉しくなった俺は、彼女の頭を撫でながら言う。
「大変ご心配なされていましたから。あと翔平様のご友人は一度ご帰宅なされたようです。旅行はまたいつかしようとの伝言だけ残されていきました」
「なんか悪い事したな」
大学生になって初めての旅行が潰れてしまったのは少々悲しいが、今回ばかりは仕方がない。楽しみにしてたであろうキャロルにもあとで謝っておかないと。
「そういえば翔平様には、この度大変お世話になったお礼を、言っていませんでしたね」
「お礼だなんで別に、大した事はしてないよ」
「いえ、翔平様はハナティア様を守ってくださいました。それだけでも大したことなんです」
「そう言われると恥ずかしいな。天井が崩れた時ハナティアを助けなくちゃって思っただけだし」
「ハナティア様が好きだから体が動いたんですね、きっと」
「そ、そんなわけないだろ。まあ、咄嗟に身体が動いたのは事実だけどさ」
自分で言っていて恥ずかしくなる。でもそれが事実なのだから仕方ない。
(それに礼を言わなければならないのはこっちなんだけどな)
たたでさえ疲れているはずなのに、俺を看病してくれたのだから起きたらちゃんと感謝をしないと。
「ハナティアだって疲れているのに、よく看病してくれたな俺なんかを」
「それがきっとハナティア様なりの愛なんですよ」
「愛、ねえ」
彼女の寝顔を見ながら、愛について考えてみる。これも愛の形というなら、ハナティアは本当に俺の事を……。
(でも俺は、その想いには……)
答えることは難しい。現時点では。
「なあサクヤ、一つ聞いていいか?」
「何でしょうか」
「今回の件もそうなんだけど、ハナティアってこうやって国民の頼みをよく聞いたりしているのか?」
「はい。ハナティア様は誰よりも国民を、国を想っているお方なので」
「その為に危険を犯してもか?」
「それが国の主の務めでもありますから」
「何も知らない俺達からしたら、複雑だな」
今回の件は不測の事態が起きたとはいえど、もしあそこに俺がいなかったら、ハナティアは確実に危ない目にあっていた。運が悪ければ命すらも落としていた可能性もある。
「正直今回の事件は、私も予測できませんでした。もっと危険の予測をしていれば、未然に防げたかもしれません。しかし、それをしないというわけにもいかなかったんです」
「それが姫の役目だからか?」
「はい」
「やっぱり俺には理解できない、姫とはいえハナティアは俺と歳が変わらないんだろ? そんな子がこんな思い役目を担うなんて」
「いずれ翔平様にも分かる時がきますよ」
サラッと言いのけるサクヤ。俺は二人が何を考えているのか、サッパリ理解できなかった。
「とりあえず今日は安静にしていてください。ハナティア様もじきに目を覚ましますから」
腑に落ちない事が沢山あるけど、今の俺は病人なのでずっと起きてはいられない。サクヤの言う通り、また眠らせてもらうことにした。
こうしてゴールデンウィーク四日目は、一日布団の上で暮らす事になり、つくづく不幸だなと思う俺だった。
(でもこんな休日も、悪くはないか)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ハナティアが目を覚ましたのは昼頃。
「良かった。いきなり倒れてビックリしたわよ」
「わざわざ看病してもらって、ありがとうな。本当はお前だって疲れているのに」
「別にいいの。倒れたのは私にも責任があるんだから」
「お前に責任はないよ。多分ここ三日の疲れが出ただけだと思うから」
俺は体調が悪いのに、疲れた顔すらも見せないハナティアを思わず尊敬してしまう。しかも夜通しで看病までしてもらっているのに、自分の責任だなんて言うのだから、申し訳なさが増す。
「今度お詫びとして、地上のどこかへ連れてってあげるよ。ゴールデンウィークもなんだかんだで出かけられそうにないし」
「え? 本当に?」
「ああ。約束するよ」
「嬉しい! ありがとう」
案内してするというだけなのに、この喜びよう。言い出した自分が少し恥ずかしくなってしまう。
(これくらいの事しか俺にできないけど、それで喜んでくれるなら)
こちらも悪い気はしない。
「その為にも今日はゆっくり休ませてもらうよ。ハナティアも風邪を引いちゃうと悪いから、部屋に戻っていいよ」
「私は大丈夫だから、今日は看病させて。どうせ今日は何もする事ないし」
よほど機嫌がいいのか、そんな事を言い出すハナティア。終いには鼻歌まで歌いだしている。
「まあ、ハナティアがそれでいいなら、別に構わないけどさ」
「ありがとう、翔平」
「礼なんか言うなよ、恥ずかしいから」
夜になって体調も大分良くなったので、少しだけ城から出ることにした。
「大丈夫なの? まだ完治はしてないんだから無理はしないでね」
「分かっているよ」
一日布団にいたので、身体を動かしに外へ出たのだが、実はもう一つ理由があった。それは今朝見たあの夢の手がかりを探す事。何か一つでもヒントがあればいいと思っていた。
(それがトリナディアとは限らないけど)
今日一日あの夢の事を時々考えはしていたのだが、やはり何も思い当たる事がないりでもあの声は、確実に俺に向けられたものであったのは間違いないと言えるら、
(何よりも不思議なのが、あの声に聞き覚えがあった事なんだよな)
知らないはずなのに俺は知っている(気がする)。だけどそれをハナティアやサクヤに尋ねようとは思わない。この答えは自分で見つけたいからだ。
「今日ずっと考え事しているけど、どうしたの? 何か気になる事があったの」
「ん? いや別にそんな事はないよ」
そんな様子の俺を心配してハナティアが声をかけてくれる。けど、俺は何もないと言わんばかりに手を横に振った。
「その割にはずっと悩んでいたよ。私にでも答えられる事があったら相談して」
「大丈夫。心配させてごめんな」
結局その夜の日は何も手がかりを得る事はできなかったが、いつかは見つかる事を信じて、その日は眠りについた。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
翔平が眠りにつくまで部屋にいたハナティアは、彼が眠りについたところで部屋を出た。
「翔平様のご様子はどうですか?」
部屋を出たところで、サクヤが彼女を待っていた。どうやら彼の様子を彼女も見に来ていたらしい。
「熱も下がったし、明日には完治していると思う。けどそれより気になる事があるの」
「気になる事ですか?」
「翔平今日一日何か悩んでいたみたい。夜に外に出た時にも聞いてみたけど、何も答えてくれなかった」
「以前から何か悩んでいたのでは?」
「どうもそんな様子じゃなかったの。私の気のせいなのかもしれないけど、もしかしたら翔平……」
ハナティアの中で胸騒ぎがしていた。翔平が何かに気づいてしまったのかもしれないのかと。もしこの後、彼は何かを知ろうとするのなら、自分はどうするべきなのだろうかと焦ってもいる。
「 ハナティア様は何も気にする事はありません。それにそれが運命なのかもしれません」
「運命?」
「いつかは来るべきなのですよ。今はゆっくり見守りましょう」
「……うん」
サクヤにそう言われるものの、やはり釈然としないハナティア。分かってはいたものの、それを運命とは受け入れるのには彼女には難しい話だった。
(翔平……。私いつかあなたに謝らないといけないかも)
「それにもし何かがあったら、私が付いていますよハナティア様」
「うん、ありがとうサクヤ」
止まっていた時の歯車が少しずつ動き始める。
(何だ今の)
あの水面といい、声といいどこかで聞いたような見たような気がする。でもどちらにせよ、今考えたところで答えは出ない。
「あ、お目覚めになられましたか? 翔平様」
「サクヤ、俺はあの後一体……」
しばらく何も考えず、ずっと天井を眺めていると、サクヤが入ってきたのであの後の事を尋ねる。
「実は翔平様は、あの後かなりの高熱を出されて倒れたんですよ。ハナティア様が看病してくれたおかげで、だいぶ下がりましたけど」
それよりも俺の看病をハナティアがしてくれたのか?
「そのハナティアは今どこに?」
「今もあなたの側で眠っているじゃないですか」
微笑みながらサクヤに言われ、辺りを見回すと看病疲れで近くの椅子で眠っているハナティアの姿が。
「そっか。わざわざ看病をしてくれたのか」
少しだけ嬉しくなった俺は、彼女の頭を撫でながら言う。
「大変ご心配なされていましたから。あと翔平様のご友人は一度ご帰宅なされたようです。旅行はまたいつかしようとの伝言だけ残されていきました」
「なんか悪い事したな」
大学生になって初めての旅行が潰れてしまったのは少々悲しいが、今回ばかりは仕方がない。楽しみにしてたであろうキャロルにもあとで謝っておかないと。
「そういえば翔平様には、この度大変お世話になったお礼を、言っていませんでしたね」
「お礼だなんで別に、大した事はしてないよ」
「いえ、翔平様はハナティア様を守ってくださいました。それだけでも大したことなんです」
「そう言われると恥ずかしいな。天井が崩れた時ハナティアを助けなくちゃって思っただけだし」
「ハナティア様が好きだから体が動いたんですね、きっと」
「そ、そんなわけないだろ。まあ、咄嗟に身体が動いたのは事実だけどさ」
自分で言っていて恥ずかしくなる。でもそれが事実なのだから仕方ない。
(それに礼を言わなければならないのはこっちなんだけどな)
たたでさえ疲れているはずなのに、俺を看病してくれたのだから起きたらちゃんと感謝をしないと。
「ハナティアだって疲れているのに、よく看病してくれたな俺なんかを」
「それがきっとハナティア様なりの愛なんですよ」
「愛、ねえ」
彼女の寝顔を見ながら、愛について考えてみる。これも愛の形というなら、ハナティアは本当に俺の事を……。
(でも俺は、その想いには……)
答えることは難しい。現時点では。
「なあサクヤ、一つ聞いていいか?」
「何でしょうか」
「今回の件もそうなんだけど、ハナティアってこうやって国民の頼みをよく聞いたりしているのか?」
「はい。ハナティア様は誰よりも国民を、国を想っているお方なので」
「その為に危険を犯してもか?」
「それが国の主の務めでもありますから」
「何も知らない俺達からしたら、複雑だな」
今回の件は不測の事態が起きたとはいえど、もしあそこに俺がいなかったら、ハナティアは確実に危ない目にあっていた。運が悪ければ命すらも落としていた可能性もある。
「正直今回の事件は、私も予測できませんでした。もっと危険の予測をしていれば、未然に防げたかもしれません。しかし、それをしないというわけにもいかなかったんです」
「それが姫の役目だからか?」
「はい」
「やっぱり俺には理解できない、姫とはいえハナティアは俺と歳が変わらないんだろ? そんな子がこんな思い役目を担うなんて」
「いずれ翔平様にも分かる時がきますよ」
サラッと言いのけるサクヤ。俺は二人が何を考えているのか、サッパリ理解できなかった。
「とりあえず今日は安静にしていてください。ハナティア様もじきに目を覚ましますから」
腑に落ちない事が沢山あるけど、今の俺は病人なのでずっと起きてはいられない。サクヤの言う通り、また眠らせてもらうことにした。
こうしてゴールデンウィーク四日目は、一日布団の上で暮らす事になり、つくづく不幸だなと思う俺だった。
(でもこんな休日も、悪くはないか)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ハナティアが目を覚ましたのは昼頃。
「良かった。いきなり倒れてビックリしたわよ」
「わざわざ看病してもらって、ありがとうな。本当はお前だって疲れているのに」
「別にいいの。倒れたのは私にも責任があるんだから」
「お前に責任はないよ。多分ここ三日の疲れが出ただけだと思うから」
俺は体調が悪いのに、疲れた顔すらも見せないハナティアを思わず尊敬してしまう。しかも夜通しで看病までしてもらっているのに、自分の責任だなんて言うのだから、申し訳なさが増す。
「今度お詫びとして、地上のどこかへ連れてってあげるよ。ゴールデンウィークもなんだかんだで出かけられそうにないし」
「え? 本当に?」
「ああ。約束するよ」
「嬉しい! ありがとう」
案内してするというだけなのに、この喜びよう。言い出した自分が少し恥ずかしくなってしまう。
(これくらいの事しか俺にできないけど、それで喜んでくれるなら)
こちらも悪い気はしない。
「その為にも今日はゆっくり休ませてもらうよ。ハナティアも風邪を引いちゃうと悪いから、部屋に戻っていいよ」
「私は大丈夫だから、今日は看病させて。どうせ今日は何もする事ないし」
よほど機嫌がいいのか、そんな事を言い出すハナティア。終いには鼻歌まで歌いだしている。
「まあ、ハナティアがそれでいいなら、別に構わないけどさ」
「ありがとう、翔平」
「礼なんか言うなよ、恥ずかしいから」
夜になって体調も大分良くなったので、少しだけ城から出ることにした。
「大丈夫なの? まだ完治はしてないんだから無理はしないでね」
「分かっているよ」
一日布団にいたので、身体を動かしに外へ出たのだが、実はもう一つ理由があった。それは今朝見たあの夢の手がかりを探す事。何か一つでもヒントがあればいいと思っていた。
(それがトリナディアとは限らないけど)
今日一日あの夢の事を時々考えはしていたのだが、やはり何も思い当たる事がないりでもあの声は、確実に俺に向けられたものであったのは間違いないと言えるら、
(何よりも不思議なのが、あの声に聞き覚えがあった事なんだよな)
知らないはずなのに俺は知っている(気がする)。だけどそれをハナティアやサクヤに尋ねようとは思わない。この答えは自分で見つけたいからだ。
「今日ずっと考え事しているけど、どうしたの? 何か気になる事があったの」
「ん? いや別にそんな事はないよ」
そんな様子の俺を心配してハナティアが声をかけてくれる。けど、俺は何もないと言わんばかりに手を横に振った。
「その割にはずっと悩んでいたよ。私にでも答えられる事があったら相談して」
「大丈夫。心配させてごめんな」
結局その夜の日は何も手がかりを得る事はできなかったが、いつかは見つかる事を信じて、その日は眠りについた。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
翔平が眠りにつくまで部屋にいたハナティアは、彼が眠りについたところで部屋を出た。
「翔平様のご様子はどうですか?」
部屋を出たところで、サクヤが彼女を待っていた。どうやら彼の様子を彼女も見に来ていたらしい。
「熱も下がったし、明日には完治していると思う。けどそれより気になる事があるの」
「気になる事ですか?」
「翔平今日一日何か悩んでいたみたい。夜に外に出た時にも聞いてみたけど、何も答えてくれなかった」
「以前から何か悩んでいたのでは?」
「どうもそんな様子じゃなかったの。私の気のせいなのかもしれないけど、もしかしたら翔平……」
ハナティアの中で胸騒ぎがしていた。翔平が何かに気づいてしまったのかもしれないのかと。もしこの後、彼は何かを知ろうとするのなら、自分はどうするべきなのだろうかと焦ってもいる。
「 ハナティア様は何も気にする事はありません。それにそれが運命なのかもしれません」
「運命?」
「いつかは来るべきなのですよ。今はゆっくり見守りましょう」
「……うん」
サクヤにそう言われるものの、やはり釈然としないハナティア。分かってはいたものの、それを運命とは受け入れるのには彼女には難しい話だった。
(翔平……。私いつかあなたに謝らないといけないかも)
「それにもし何かがあったら、私が付いていますよハナティア様」
「うん、ありがとうサクヤ」
止まっていた時の歯車が少しずつ動き始める。
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