我が家の床下で築くハーレム王国
第21話始まりの一歩
結局その後、詳しい話は聞けなかったが名前は聞かせてもらった。
花咲叶。フリーのライターをやっているらしい。何かの縁あってかその事件の事を追っているらしく、何か分かれば連絡してほしいと名刺まで渡された。
(分かればっていうか、一応俺当事者なんだけどな)
とりあえず土砂降りの中を気合いで帰宅した俺は、シャワーを浴びて濡れた体を洗い流す。そしてシャワー室を出たところで何故かハナティアと遭遇する。しかも彼女は体にタオルを巻いているだけで、半裸状態だった。
「え?」
「あ」
時間が数秒止まる。どちらも一体何が起きているのか理解できていない。
そして、しばらくした後、
「きゃー!」
何故かハナティアの後ろにいたサクヤの悲鳴が上がったのだった。
「な、何でお前らがいるんだよ! あとハナティアは少し恥ずかしがれ」
「キャー」
「何故棒読み?!」
「だーかーら、人に無断で風呂に入るのはやめろって言っただろ? しかも本人不在の時に」
『ごめんなさい!』
その後三人がお風呂を済ませた後に、俺は二人に説教をした。勝手に家に出入りするのはもう許容範囲だったので良かったのだが、本人に許可なしに風呂を使おうとしようとするのはいかがかと俺は思った。
「だって身体ビショビショだったし」
「だったら一度城に帰ればいいだろ」
「でもそれって、翔平の家に入るのと変わらないなら、どちらにしても同じかなって思って」
「いや、まあそうだけどさ」
「私もまさかハナティア様がいらっしゃると思いませんでしたから。どうかご許しを」
「二人とも一緒に来たんじゃないのか?!」
「うん。私一人でここに来たし」
「だったら尚の事酷いな、二人とも」
二人が同じ理由で、この場所に来てそれぞれお風呂に入ろうとしていたなんて、予想できなかった。
「もしかして翔平、少し怒ってる?」
「別に俺もそこまで怒ってないよ。ただ、今度はこういうのなしだからな」
こういうのってラッキー何ちゃらって言うけど、出会った時点でそのイベントに遭遇しているので、さほどの衝撃はなかった。
……まあ、ラッキーかなとは思ったけど。
「翔平様、スケベな顔になっていますよ」
「いや、どんな顔だよ」
 
「翔平、私の体目当てでお風呂に入っていたのね」
「その誤解を生むような言い方はやめてくれ」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
時間が既に夕刻を過ぎていたこともあり、今日は折角なので二人に夕飯を作ってあげる事にした。
「美味しい! これ本当に翔平が作ったの?」
「まあな。普段一人暮らしだから料理くらいは自分でてきるようにしたいと思って、練習していたんだよ」
「この美味しさは是非他の方にも食べてもらいたいです。今度皆さんの前で披露しましょう」
「いや、何もそこまでしなくてもいいよ」
こんな味噌汁とかハンバーグを多くの人の前に出されると、逆に恥ずかしい。ハナティア達にとってはもしかしたら珍しい料理なのかもしれないけど、俺からしてみればいたって普通の料理だし、人前に出せるようなものでもない。
「あ、そういえばさ、家に来る前にこんな事があったんだけどさ」
二人が美味しいと言いながら食事している途中、俺は先程のフリーライターの人との事を話した。
「噂ねえ。でも正直不思議な話ではないと思うよ私」
「やっぱりか。二十年前の事件の事も知っていたみたいだし、そういうのっめ昔からあるのかな」
「そうですね。地上の方でも大きなニュースとして扱われていたみたいですし、前から地下に何かあるんじゃないかって話はされているみたいですよ」
その噂が真実である以上、もし何かの弾みで知られるような事があれば、一体どんな事が起きてしまうのだろうか。物珍しさに人が集まって、もしかしたら地下に住んでみたいと言い出す人もいたりするのかもしれない。
(でもそれって)
ある意味トリナディアの繁栄に繋がるんじゃないか?
「何を考えてるか知らないけど、それは無理な話なの」
「え? 何で?」
「私達はあくまで地球上の人とはまた別の人類として、地下に暮らしているから、簡単には入れる事はできないの。翔平の友達の時もそうだったように」
「でも俺ずっと昔からここを知っているみたいだけど、それはどうなんだ? 元々地上の人間なわけだし」
「それは……」
言葉を詰まらせるハナティア。よく考えてみたらその辺りは矛盾している。地上の人との関わりをなるべく断つのなら、二十年前普通に地下にいたと思われる俺や姉ちゃんはどうなる。元々地上の人間なのに、どうして地下にいたのだろうか。
もし地下にいなければ事故にも巻き込まれる事はなかったし、今こうして計画に参加する事はおろか、ハナティア達とも出会う事はなかった。それなのにどうして?
「た、たまたま二十年前は大丈夫なだけだったの。ただそれだけ」
終いにははぐらかされてしまう。別に隠す事でもないとは思うけど、何かバレてはいけない事でもあるのかな。
「そ、それより翔平、今週末時間空いてる?」
「今週末? 別に用事とかはないけど」
「よかった。今週末から始めようと思っていたから」
「始めるってもしかして、あれか?」
「サクヤ」
「はい。翔平様には今週末、計画の第一段階として一日同じ部屋でハナティア様と過ごしてもらいます」
ハナティアに代わってサクヤが説明をする。
「第一段階って事は、まだ何回かあるのか?」
男女が二人きりで同じ部屋で一日過ごすとか、もはや同棲レベルだけど、それが第一段階というなら、それ以上の事って果たしてどうなっているのだろうか。
「そうなります。翔平様にはまずハナティア様との距離を一層縮めていただくために、第一段階を行ってもらいます」
「内容からすると、一日部屋から出てはいけないみたいな聞こえ方だけど」
「その通りです。一日一切部屋から出る事はできません。その代わりその他のサポートは私達がします」
「何か窮屈な計画だな」
でも少しだけそういうのはアリかもしれないと思ってしまっている俺もいる。
「私もこういうの慣れてないから恥ずかしいけど、よろしくね翔平」
「あ、ああ」
明日からいよいよ六月。まだ梅雨入りもしてないこの週末に、俺とハナティアの子作り計画の第一歩が幕を開く。
「その時は私は全裸でも何にでもなってあげるから」
「それだけはやめてくれ」
「どうして?」
「それは、その、男としての理性が持たない」
それこそ禁断の道を歩みかねない。
花咲叶。フリーのライターをやっているらしい。何かの縁あってかその事件の事を追っているらしく、何か分かれば連絡してほしいと名刺まで渡された。
(分かればっていうか、一応俺当事者なんだけどな)
とりあえず土砂降りの中を気合いで帰宅した俺は、シャワーを浴びて濡れた体を洗い流す。そしてシャワー室を出たところで何故かハナティアと遭遇する。しかも彼女は体にタオルを巻いているだけで、半裸状態だった。
「え?」
「あ」
時間が数秒止まる。どちらも一体何が起きているのか理解できていない。
そして、しばらくした後、
「きゃー!」
何故かハナティアの後ろにいたサクヤの悲鳴が上がったのだった。
「な、何でお前らがいるんだよ! あとハナティアは少し恥ずかしがれ」
「キャー」
「何故棒読み?!」
「だーかーら、人に無断で風呂に入るのはやめろって言っただろ? しかも本人不在の時に」
『ごめんなさい!』
その後三人がお風呂を済ませた後に、俺は二人に説教をした。勝手に家に出入りするのはもう許容範囲だったので良かったのだが、本人に許可なしに風呂を使おうとしようとするのはいかがかと俺は思った。
「だって身体ビショビショだったし」
「だったら一度城に帰ればいいだろ」
「でもそれって、翔平の家に入るのと変わらないなら、どちらにしても同じかなって思って」
「いや、まあそうだけどさ」
「私もまさかハナティア様がいらっしゃると思いませんでしたから。どうかご許しを」
「二人とも一緒に来たんじゃないのか?!」
「うん。私一人でここに来たし」
「だったら尚の事酷いな、二人とも」
二人が同じ理由で、この場所に来てそれぞれお風呂に入ろうとしていたなんて、予想できなかった。
「もしかして翔平、少し怒ってる?」
「別に俺もそこまで怒ってないよ。ただ、今度はこういうのなしだからな」
こういうのってラッキー何ちゃらって言うけど、出会った時点でそのイベントに遭遇しているので、さほどの衝撃はなかった。
……まあ、ラッキーかなとは思ったけど。
「翔平様、スケベな顔になっていますよ」
「いや、どんな顔だよ」
 
「翔平、私の体目当てでお風呂に入っていたのね」
「その誤解を生むような言い方はやめてくれ」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
時間が既に夕刻を過ぎていたこともあり、今日は折角なので二人に夕飯を作ってあげる事にした。
「美味しい! これ本当に翔平が作ったの?」
「まあな。普段一人暮らしだから料理くらいは自分でてきるようにしたいと思って、練習していたんだよ」
「この美味しさは是非他の方にも食べてもらいたいです。今度皆さんの前で披露しましょう」
「いや、何もそこまでしなくてもいいよ」
こんな味噌汁とかハンバーグを多くの人の前に出されると、逆に恥ずかしい。ハナティア達にとってはもしかしたら珍しい料理なのかもしれないけど、俺からしてみればいたって普通の料理だし、人前に出せるようなものでもない。
「あ、そういえばさ、家に来る前にこんな事があったんだけどさ」
二人が美味しいと言いながら食事している途中、俺は先程のフリーライターの人との事を話した。
「噂ねえ。でも正直不思議な話ではないと思うよ私」
「やっぱりか。二十年前の事件の事も知っていたみたいだし、そういうのっめ昔からあるのかな」
「そうですね。地上の方でも大きなニュースとして扱われていたみたいですし、前から地下に何かあるんじゃないかって話はされているみたいですよ」
その噂が真実である以上、もし何かの弾みで知られるような事があれば、一体どんな事が起きてしまうのだろうか。物珍しさに人が集まって、もしかしたら地下に住んでみたいと言い出す人もいたりするのかもしれない。
(でもそれって)
ある意味トリナディアの繁栄に繋がるんじゃないか?
「何を考えてるか知らないけど、それは無理な話なの」
「え? 何で?」
「私達はあくまで地球上の人とはまた別の人類として、地下に暮らしているから、簡単には入れる事はできないの。翔平の友達の時もそうだったように」
「でも俺ずっと昔からここを知っているみたいだけど、それはどうなんだ? 元々地上の人間なわけだし」
「それは……」
言葉を詰まらせるハナティア。よく考えてみたらその辺りは矛盾している。地上の人との関わりをなるべく断つのなら、二十年前普通に地下にいたと思われる俺や姉ちゃんはどうなる。元々地上の人間なのに、どうして地下にいたのだろうか。
もし地下にいなければ事故にも巻き込まれる事はなかったし、今こうして計画に参加する事はおろか、ハナティア達とも出会う事はなかった。それなのにどうして?
「た、たまたま二十年前は大丈夫なだけだったの。ただそれだけ」
終いにははぐらかされてしまう。別に隠す事でもないとは思うけど、何かバレてはいけない事でもあるのかな。
「そ、それより翔平、今週末時間空いてる?」
「今週末? 別に用事とかはないけど」
「よかった。今週末から始めようと思っていたから」
「始めるってもしかして、あれか?」
「サクヤ」
「はい。翔平様には今週末、計画の第一段階として一日同じ部屋でハナティア様と過ごしてもらいます」
ハナティアに代わってサクヤが説明をする。
「第一段階って事は、まだ何回かあるのか?」
男女が二人きりで同じ部屋で一日過ごすとか、もはや同棲レベルだけど、それが第一段階というなら、それ以上の事って果たしてどうなっているのだろうか。
「そうなります。翔平様にはまずハナティア様との距離を一層縮めていただくために、第一段階を行ってもらいます」
「内容からすると、一日部屋から出てはいけないみたいな聞こえ方だけど」
「その通りです。一日一切部屋から出る事はできません。その代わりその他のサポートは私達がします」
「何か窮屈な計画だな」
でも少しだけそういうのはアリかもしれないと思ってしまっている俺もいる。
「私もこういうの慣れてないから恥ずかしいけど、よろしくね翔平」
「あ、ああ」
明日からいよいよ六月。まだ梅雨入りもしてないこの週末に、俺とハナティアの子作り計画の第一歩が幕を開く。
「その時は私は全裸でも何にでもなってあげるから」
「それだけはやめてくれ」
「どうして?」
「それは、その、男としての理性が持たない」
それこそ禁断の道を歩みかねない。
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