殺人鬼の3怪人と不思議な少女

鬼怒川 ますず

彼らの油断とその相手

考え事をしていた『アウトマン』だったが、目の前で倒れていた男が起き上がって対象を抱えて再び逃げようとする。


『抵抗したらすぐさま殺すぞ』


『アウトマン』の命令一つで走りながら迅速に銃を構える他の隊員たち。
彼らはあの男が再び対象を抱えて脱げると思ったからだ。

しかし、そうはならなかった。

彼は対象の近くにおいてあったバッグを開けてそこからあるものを取り出すと、すぐさま向かって右に逃げ出した。

あまりのことで驚く17名。
 そして姿が見えなくなった頃に、彼らは対処の元にたどり着いた。


『…なーんだあれ?今の今まで銃弾からこのガキを庇ってたくせに、急に逃げやがった』

『きっと私たちの能力に怯えたんでしょう?』

『さながら俺らは化け物か?あっはっは!』

『銃弾20発ぐらい浴びて走れるんだからあいつも充分化け物だけどな…』


『お前ら私語はそこまでだ。『デモン』と『バッファロー』、お前ら2人で対象を連れて本隊まで戻れ。残ったメンバーで逃げたあいつを追う』

『アウトマン』の命令にすぐさま全員従うと、2人の男が白緑を抱えてその場を後にしようとする。

対して他のメンバーは、まるで獲物を追う肉食獣のように目を煌めかせながら舌舐めずりする。

出入り口には見張りがいる。

電機店の広さは限られている。

こちらは17人もの隊員。

全員が拳銃と独特な異常脳力を持った者。

全員が訓練を受けた兵士。

対して相手は1人。
日本に住むただの男。

どんなに煙が充満していようが、この限られた場所でそのような者達相手に素人が太刀打ちできるはずがない。

彼らはそう思い、そう勘違いしていた。


『ん?』

『どうした『ペインエラー』、そのバッグが何か珍しいのか?必要なら回収しておくが』

『いえ、なんかバッグの中にマネキンの頭部が入っているみたいなんです…』


『ペインエラー』がそう言いながら落ちていたバッグの中を探ろうとした。

フッと、家電量販店の照明が落ちたのはその時だった。

彼らは一斉に動きを止めて拳銃を四方に向ける。
急に照明が消え、灯りが着いているのは展示物の商品の光のみ。

『アウトマン』が出入り口に目を向けると、モール内は至って普通に照明がついている。
ということは、ここだけ照明が消された事になる。

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