殺人鬼の3怪人と不思議な少女

鬼怒川 ますず

異常脳力者達

『おーいたいた』

第一支援隊、その中でも参謀を務めていた金髪ロングの男『アウトマン』は吹き飛んでいった電化製品や設置台を眺めながら、その中に混じって飛ぶ大柄の男を見た。

それはさっきから拳銃を撃っても倒れない男だった。
彼は対象を抱えながらそのまま飛躍し、壁際に置いてあったテレビに体をぶつけて止まる。
それを確認してから彼は周囲にいた仲間ーー外で見張っている2名を除いた17人で倒れた場所に向かう。


『これで終わりとか楽勝じゃね?』


嘯きながら手の平から血管の管のようなものを出していた女。
彼女は管を全て携帯に突き刺しており、飛び散った携帯から管を外して手の平に集約していく。

《コードネーム=チャージ》
短めにセットされた明るい茶髪と退屈そうな目が特徴の女。
彼女は【自身の身体から出す擬似的なプラグを電化製品に繋げて電気を放出し自由自在に動かす】ことができる異常脳力者。
型番などは関係なく、電気を必要とした機械ならば全て繋げられる。


『しっかし、この煙は一体なんなんだ?吸っても大丈夫だし、相手は苦しんですらいない』


ガリガリの頰と腕と足が細く、痩せすぎの印象がある男。

《コードネーム=ペインエラー》
異常脳力は【相手の痛みを自分も感じること】
相手を視認し半径2km内ならばその相手が負った傷の痛みを知覚することができる能力。
ペインエラーも痛みを感じるが、この見た目と異常脳力者という立場からどんなダメージも快楽と受け止める。


『とりあえずさっさと回収するぞ。あの男も殺さねーといけねーし』

ペインエラーとは対象的にふくよかな頰と丸い体の男。

《コードネーム=チャーシュー》
彼は【くしゃみで突風を発生させることができる】異常脳力者。
その名の通りくしゃみ1回で突風を巻き起こせるだけの能力。
だが彼自身は銃器の扱いに長けており、参謀である『アウトマン』の護衛的な役割をしている。

その他にも、彼らの背後で様々な能力を持った異常脳力者の隊員が拳銃を構える。
そして全員で倒れた男の元に駆け寄る。


『対象の容体はどうだペインエラー』

『痛いですね…ですがこれはただ体を強く打っただけでしょう、動かないのはそれで気を失ったからだと思います』

『よし、気絶しているのなら都合がいい』


『アウトマン』はこの手勢でたった2人を追い込んだのは愚策かもと思ったが、相手の1人は危険人物だ。
聞いていた報告書通りならば、逃げている最中にこちらに被害を及ぼしていたかもしれない。
だが、しなかった。
なぜか分からないが。

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