殺人鬼の3怪人と不思議な少女

鬼怒川 ますず

※この3人はこれでも能力持ちです

プッシャーマシンには既に人はおらず、大量のカゴに入ったメダルが置いてあるだけだった。
もちろん、大勢いた不審者もいない。

葛原は舌打ちしながら煙で充満し無人になったゲームセンターを走る。
煙が立ち込めているからなのか、追っ手は葛原の姿を見失ったようで追いかけてこない。
そもそも、この煙は何故か吸っても倒れない。
一酸化炭素とは違う煙。

それを理解した上で彼は近くにあったゲーム機に身を隠してアタッシュケースから彼の武器を取り出す。
鉈、少しばかり刃こぼれした刃物。
人間の体を切るのに使っていた犯行道具を持ち、物陰から様子を伺う。

追っ手の姿はボヤけてはいるが目に入る。
彼らはウロウロと葛原を探している。

と、そんな彼らの1人が少しだけ距離を取る。
そこにつけ込む。

葛原はアタッシュケースを持ちながら腰を低くし、素早く1人になった男の元に向かう。
気づかれる前に彼は鉈を振るう。

グボ。

鈍い音と共に男の首に鉈が刺さり、そのまま勢いをつけて地面に倒した。

何が起こったのか理解できていない顔を浮かべた男の首を無理やり切断。
悲鳴すら上げさせなかった。

手慣れた感じでやるとまた姿を隠す。

倒れる音を聞いた他の2人が殺された1人の元に駆けつけ、その悲惨な死体を見て息を飲む。

それを見逃さない。

ゲーム台から台へと身を隠して移動し、彼らの背後に回り込み、すぐさま鉈を縦に振るう。

ザク。

肩から斜めに斬りつけ、赤黒い血が顔にかかる。


『ぐぁぁ!?』


悲鳴を漏らしたことで片方の男がようやく気づき、持っていた拳銃を葛原に向けて発砲する。
斬りつけた男を盾にして防ぎ、そのまま銃を発砲する男に撃たれてコト切れた男をぶつける。

発砲していた男は撃たれた男と一緒に倒れて下敷きになる。

それに覆いかぶさるように葛原は彼らにまたがり、一番下にいた男の首に迷いなく鉈を振り下ろす。

ザク。

ビュービューと血が飛び出て、そのまま絶命する男。


この間わずか1分半。
葛原は立ち上がると冷静に彼らを見下す。
食べる目的以外で似合わない殺人を行なったことに少し嫌になる。
本来ならこの死体を余すことなく食べるのだが、今の彼にそんな余裕はない。


(勿体無いが、あのガキが取り戻されると面倒だ。葉隠と黒田がいるから大丈夫だろうが…あの女が裏切るかもしれねーし、さっさと見つけて逃げねーとな)


彼は何処かに行った4人を探すために血まみれの身体でゲームセンターを後にした。

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