殺人鬼の3怪人と不思議な少女

鬼怒川 ますず

急な展開こそ彼らの仕事

まずい、どうしよう。

心臓もバクバクと動かしながら視線を4人の方にも向ける。
彼らの方にもここにいる連中の倍、多くの人影が向かっているのがわかる。
ここで捕らえられておしまいか。
最後の抵抗に彼らの喉元に歯を突き立てて嚙み殺そうか。

葛原が最後の抵抗を考え、それを実際に行おうと振り返った。
同じ背の外人男性3人が急に振り返る葛原と顔を合わせる。
彼らより早く行動に移そうと動こうとした。

その時だった。

急に館内中に火災報知機のサイレンが鳴り響く。

ジリリリリリリリリリリリリーーーーー!!!!!

一斉に、各所から大音量で鳴り響くその報知器のサイレンに葛原もそうだが、彼と向かい合っていた3人も驚く。
一斉に鳴り響いた警報機の音と一緒にアナウンスが放送される。


『ただいま火災が発生しました。火元はゲームセンターとの事です。皆様慌てずに係員の指示に従って避難してください』


男性の声でアナウンスされ、困惑する群衆。


(火元判明早いな)


葛原がツッコミ、襲いかかろうとしていた敵も混乱していた時にゲームセンターの奥から煙のようなのが立ち込み始める。


「きゃー火事!」

「早く逃げろ逃げろ!!」


葛原の耳に聞き覚えのある声が入り、声がした方を見たが逃げ惑う客ばかりでよく見えなかった。
悲鳴が響き、ゲームセンターから出て来た人達が蜘蛛の子を散らすように逃げる。
その姿を見て買い物途中の人達も急いで逃げ出す。


「早く消火しろ!」

「は、はい!」


店員も慌てて火元を確認しようとする。
しかし。


「こっちもう消せないほど火が出てるから逃げて!」

「煙吸いすぎたら死ぬよ!!」


またしても若い男女の声が聞こえ、店員を止めるところでその姿を見た。
それはさっきの男女のカップル。
彼らは店員に逃げるように言う。
そう言われて怖気付いたのか、消火活動を諦めた店員はすぐに踵を返して逃げる。


『おい、警報器は作動しないはずだろ!?』

『俺に聞くなよ、工作部隊がなんかヘマしたんじゃねーの!?』

『オイいま他からも通信が入った。どうやら三階全域で煙が立ち込めているらしい!!』

『何でこのタイミングで…!』


英語で会話をし始めた彼らを横目に葛原は4人がいた所へ向かう。
その時同時に銃声が何発も響く。
遅れてそれに気づいた3人も躊躇しながらも葛原の後を追いかける。

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