殺人鬼の3怪人と不思議な少女
突然の乱入者
なんとしても欲しい。
そう思ってアタッシュケースにしまい込んでいる鉈かなんかでケースを打ち破ろうかとしたが、その前に声をかけられる。
「取ってあげようか?」
ふと若い男性に声を掛けられて振り向くと、そこには男女のカップルが立っていた。
彼らは2人とも美男美女であり、容姿の他にも雰囲気からして柔和で見ていて安心できる笑みを浮かべている。
急に現れた美男美女、葛原ですらその美貌に息を呑む……が、ハッと気付いたように彼らが着ている服に葛原は目を向けた。
そのTシャツ、2人が着ていた服の胸元にはデカデカとアニメキャラクター、半裸の女の子がプリントされていた。
よく見ると彼らの腰元には同じようなアニメキャラクターがプリントされた缶バッジが幾つも付いており、スラットしたスタイルにこれでもかというほど似合わないものが付いている。
怪訝な表情を浮かべる葛原だったが、取れないこともあってその玄人みたいな彼らにクレーンゲームを譲る。
「あのぬいぐるみが欲しいんだ。でも全然取れなくてイライラしてたから取ってくれ。取れたらあげるからさ」
「欲しいんじゃないの?」
「取れなくてイライラする。狩り好きな素人がが楽しんで狩りをするのと同じだ。金は渡すからあれを取ってくれ」
「ふーん、分かった」
とそう言って葛原に代わって彼らがゲームの前に立つ。
お金を入れて起動させる。
男は手慣れた手つきでボタンを押してクレーンを動かす…その前に彼女らしきポニーテールの女性が彼の腕を掴んで甘えた声で言った。
「ねぇーねぇーツッキー、私違うぬいぐるみ欲しいんだけどー」
「えー?うーんどうしよっかなー」
「一緒に手に入れちゃおうよ〜」
悩むツッキーと呼ばれた青年。
対して葛原は「何言ってんだあの女…」と思いながら見ていたが、何故か首を縦に動かして頷く青年。
「よし、だったら二つとも手に入れちゃおうか!」
「は?」
「わーい!ツッキーカッコイイ!!」
何を無理なことを言っているんだ?
無謀だと思いながらテンションを上げる青年と応援する女性を見守る。
ぬいぐるみは抱えるほどデカイものだ。
それを一回で、しかも二個も取れるわけがない。
取れるわけがない。
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