殺人鬼の3怪人と不思議な少女

鬼怒川 ますず

訪問

私は白緑びゃくろく

この名前はあの人が付けてくれた大事なもの。
あの人は私にとって色を与えてくれた人だった。
でも、今はいない。
あの黒い大人達から私を逃がしてくれるために、命を落としたからだ。

それからは一心不乱に逃げ続けている。
寒さと飢えで死にそうだが、それでも足を止めない。

あの人が言った大切な人を見つけるために。


何日も彷徨った森を抜けた先に、街の明かりが見えた。
それを見てホッとしてしまった私は、急に脱力してしまい力が尽きそうだった。
そんな時、目の前に廃れた工場があった。

そこの一室が明るく照らされており、人がいることが分かる。
誰でもいいから、とにかく何か食べ物をもらわなければ。

最後の力で歩き出し、工場内で光が漏れている場所に着く。
中からは男の人の声がするが関係ない。
ドアノブを回して入る。

1番最初に目にしたのは、女性の生首を眺めている巨漢の背中だった。
ドアの前に突っ立っていたのだ。

「なんだ? 急に風が入ってきて寒くなったな…おい葉隠、ドア閉めろよ空いてるぞ」

「はぁ?俺は開けてなんか…」

巨漢が振り返って、そこで私を見る。

「え……お嬢ちゃん……誰?」

「お腹…空い…て……」

気力も無かった私はその場に倒れた。
お腹が空いてそれどころじゃ無いから。

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