(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
『血』肉の料理・中編
「……メリューさん、遅いね?」
「そうだね。うーん、ちょっと手間取っているのかな?」
メリューさんがいつもより若干遅れている。とはいえ、それでも未だ十五分程度だから、全然普通の店に比べれば早いほうかもしれないけれど、それにしても少し遅いように見える。
ちょっと心配になったので、俺はサクラをカウンターに置いてメリューさんを見に行くために厨房に向かおうとしたが、
「メリューなら問題ないよ」
久しぶりに登場したティアさんが、俺にそういった。
ティアさんは相変わらず何か重たい本を読んでいた。ちなみに久しぶりに登場、とは言ったけれど会話に参加しなかった、というだけで常にお店には来ている。ティアさんには休みはないのだろうか? と思うけれど、まあ、ここに住んでいるようなものだから休みは無いようなもので問題ないのだろう。きっと。
「問題ない、とは?」
「時間はかかっているけれど、トラブルが発生しているというわけではない……ということ。それに、あまりまだ時間はかかっていないほうだ。一番時間がかかったときは一時間程度かかったこともある。それを考えるとスピードは上がったほうだと思うけれど?」
いや、そういう問題でもないような気がするけれど……。
そう思ったが、ティアさんにはあまりそういう問答は通用しない。なんというか、うまい感じに避けていくスタイルなのだ。
「ねえ、まだ料理は出来ないのかしら?」
案の定、女王様からの催促。
まあ、理解できないことでもないが。
「申し訳ありません。もう少しだけお待ちいただけませんでしょうか。きっとお客様が満足する料理が……」
「お客様、大変お待たせいたしました」
そう言ってメリューさんが登場したのは、ちょうどその時だった。
メリューさんは丼を持っている。
それが料理だというのだろうか。
「遅かったわね。けれど……、うん、いい香り」
カウンターにそれを置いて、メリューさんは言った。
「レバーとニラの炒め物をごはんに乗せてみました」
それを聞いて俺とサクラは同時に納得した。
レバーとニラの炒め物。レバニラ。
レバニラといえば、鉄分を多く含んだ料理の代名詞だ。成る程、そういうことだったのか。これならば確かに血を提供する必要はない。貧血になったら鉄分を、というくらい血と鉄分は切っても切れない関係だからな。
「レバーと……ニラ?」
「ええ。レバーとは、肝臓のことですね。今回はブタの肝臓を使用しています。これを食べると、血を作るための構成要素が多く含まれているので、とても身体には良いものと言えますよ。あ、ご安心してください。ニンニクは入っていません。ほんとうは入れるともっと美味しくなるのは事実なのですがね……」
悲しそうにメリューさんはそう付け足したが、女王様にはそんなこと関係なかった。
それよりも初めての料理に興味津々の様子だった。
「そうだね。うーん、ちょっと手間取っているのかな?」
メリューさんがいつもより若干遅れている。とはいえ、それでも未だ十五分程度だから、全然普通の店に比べれば早いほうかもしれないけれど、それにしても少し遅いように見える。
ちょっと心配になったので、俺はサクラをカウンターに置いてメリューさんを見に行くために厨房に向かおうとしたが、
「メリューなら問題ないよ」
久しぶりに登場したティアさんが、俺にそういった。
ティアさんは相変わらず何か重たい本を読んでいた。ちなみに久しぶりに登場、とは言ったけれど会話に参加しなかった、というだけで常にお店には来ている。ティアさんには休みはないのだろうか? と思うけれど、まあ、ここに住んでいるようなものだから休みは無いようなもので問題ないのだろう。きっと。
「問題ない、とは?」
「時間はかかっているけれど、トラブルが発生しているというわけではない……ということ。それに、あまりまだ時間はかかっていないほうだ。一番時間がかかったときは一時間程度かかったこともある。それを考えるとスピードは上がったほうだと思うけれど?」
いや、そういう問題でもないような気がするけれど……。
そう思ったが、ティアさんにはあまりそういう問答は通用しない。なんというか、うまい感じに避けていくスタイルなのだ。
「ねえ、まだ料理は出来ないのかしら?」
案の定、女王様からの催促。
まあ、理解できないことでもないが。
「申し訳ありません。もう少しだけお待ちいただけませんでしょうか。きっとお客様が満足する料理が……」
「お客様、大変お待たせいたしました」
そう言ってメリューさんが登場したのは、ちょうどその時だった。
メリューさんは丼を持っている。
それが料理だというのだろうか。
「遅かったわね。けれど……、うん、いい香り」
カウンターにそれを置いて、メリューさんは言った。
「レバーとニラの炒め物をごはんに乗せてみました」
それを聞いて俺とサクラは同時に納得した。
レバーとニラの炒め物。レバニラ。
レバニラといえば、鉄分を多く含んだ料理の代名詞だ。成る程、そういうことだったのか。これならば確かに血を提供する必要はない。貧血になったら鉄分を、というくらい血と鉄分は切っても切れない関係だからな。
「レバーと……ニラ?」
「ええ。レバーとは、肝臓のことですね。今回はブタの肝臓を使用しています。これを食べると、血を作るための構成要素が多く含まれているので、とても身体には良いものと言えますよ。あ、ご安心してください。ニンニクは入っていません。ほんとうは入れるともっと美味しくなるのは事実なのですがね……」
悲しそうにメリューさんはそう付け足したが、女王様にはそんなこと関係なかった。
それよりも初めての料理に興味津々の様子だった。
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