転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~
第一話 テンプレの予感
三年の月日が経った。
カインは十三歳まで成長し、身長は百六十センチを超え少し大人びてきた。
ドリントルの街の発展は留まることを知らず、人口はすでに二万人弱まで増えており、街を大規模に広げて区画を整理したことにより、新しい住宅が建ち並び、また、鍛冶屋や魔道具屋などの区画を作り誘致したことによって大々的に発展していた。特に街の住民税に関しては、戸籍管理をしたことと、カインが商売で儲けているということで、他の街より抑えられている。
そして、子供たちを預かる学園の新設、孤児院など、教育に熱心に力を入れたことにより、更に住民が集まることになった。
「カイン、報告書に目を通してもらえるかな」
ドリントルの執務室にはカイン、アレクがテーブルを囲んでおり、入り口にはダルメシアが控えている。
領主になった時とは、街の規模が変わり目を通す書類も山積みとなっていた。
「もうアレク兄様に任せてもいいんですけど……」
嫌々そうに書類を受け取りながら目を通していく。
決裁をすること以外にも、他貴族からの陳情書もその中に入っていた。
「また他の貴族から文句が書かれているね……」
「またですか……」
二人でため息をつきながら貴族からの手紙を読んでいく。
人口がこれだけ増えれば、逆に減る街もある。国へ納める税収は街の規模により異なるが、特別なことがない限りは減ることはない。
人口が減った街にとっては死活問題に直結するのだ。そういった貴族からドリントルへと苦情の手紙が届くことがよくあった。
「書類の確認も終わったから、王都の屋敷に戻りますね。明日は王城に呼ばれているので……」
「また国王からか……カインも大変だね」
何かあるたびに、王城かの呼び出しをされているカインに、アレクは苦笑しながらも書類に目を通していく。
「それでは戻りますね。また来ます」
カインは転移を使いその場から消えていった。
「カイン様も相変わらず忙しそうですね。紅茶をお出ししましょう」
「ダルメシア、ありがとう。いただくよ」
アレクはダルメシアに笑顔で言い、いつものように職務をこなしていくのだった。
王城の応接室には、国王と、マグナ宰相、エリック公爵、そしてテレスティアとシルク、カインがいた。
「なぜ、テレスティア王女殿下と、シルク嬢まで?」
いつもいないメンバーにカインは首を傾げる。
「実はな……バイサス帝国の皇帝より親書が届いたのじゃ。それで内容がな――」
国王からの説明では、バイサス帝国との親交を図るため、第六皇女を王国に留学させたいとのことだった。
今は夏休みだが、夏休み明けには留学することが希望だそうだ。
交換留学ではなく、第六皇女と少数の護衛と侍女たちだけで王都の学園に留学させるということで、下手をすれば人質になってしまうのではないかと考えたが、第六皇女では王位継承権は低く人質にならないと説明されていく。
「あちらの意図が見えないが……断ることにもいかなくてな、歳がテレスと一緒であるから、お主たちのクラスに編入させようと思う。それで今回来てもらったのじゃ」
国王の言葉にカイン、テレスティア、シルクの三人は頷いた。
「少し心配でもありますわ……」
テレスティアが心配そうな顔をしてカインに視線を送る。
「テレス、何が心配なのじゃ?」
テレスティアの言葉に国王が質問をすると、テレスティアは頷き言葉を続ける。
「またカイン様の婚約者が増えるようになることは……」
その言葉に何かを気づいたように国王はカインに視線を送った。
「そ、それは……。たしかに心配はないと思うが……。なんせお主は何をしでかすかわからんからな……」
「カイン君の事だからねぇ~。さすがに国際問題になるから気を付けてよ?」
「カイン卿……頼むから面倒は起こさないように……」
国王、エリック公爵、マグナ宰相の三人から念を押すように言われるが、カインとしてはまったく自覚はなく、言いがかりとしか思えない。
「そんな節操なしのような言い方をされても困ります。しかも皇女殿下ですよ。何かあるわけないじゃないですか」
カインは力説するが、この部屋にいる誰一人として信用していない。
「カイン様……そう言いながら聖女様も……」
テレスティアが心配そうな顔でカインを見つめるが、みんなの視線に耐え切れなくなったカインはテーブルに伏せた。
「まぁ次は問題起こさないことを期待しよう……。するだけ無駄かもしれんが……」
国王の言葉で話は終わった。
カインは疲れ果てた表情をしながら、馬車に乗って屋敷に戻った。
自分の屋敷に戻ったカインを出迎えたシルビアは、カインのあまりにも疲れ果てた表情を見て心配になったが、カインからの説明を聞き納得していた。
「カイン様なら……王女様、聖女様、そして……皇女様までもありえますね……」
同じようにシルビアの隣で並んでいるコランまでもが頷いている。
「二人揃って同じことを……」
カインは大きくため息を一つつき、項垂れるのであった。
エスフォート王国より正式な返事は、すぐにバイサス帝国の使者へと手渡された。
一時的な休戦協定を結んでいる国家ではあるが、それはエスフォート王国のみであり、他国へと侵略を続けて大きくなっているのは現在も変わってはいない。
返事を手渡された使者も感謝の言葉を述べ、早々と帰国していった。
そして夏休みが明けた。
カインは十三歳まで成長し、身長は百六十センチを超え少し大人びてきた。
ドリントルの街の発展は留まることを知らず、人口はすでに二万人弱まで増えており、街を大規模に広げて区画を整理したことにより、新しい住宅が建ち並び、また、鍛冶屋や魔道具屋などの区画を作り誘致したことによって大々的に発展していた。特に街の住民税に関しては、戸籍管理をしたことと、カインが商売で儲けているということで、他の街より抑えられている。
そして、子供たちを預かる学園の新設、孤児院など、教育に熱心に力を入れたことにより、更に住民が集まることになった。
「カイン、報告書に目を通してもらえるかな」
ドリントルの執務室にはカイン、アレクがテーブルを囲んでおり、入り口にはダルメシアが控えている。
領主になった時とは、街の規模が変わり目を通す書類も山積みとなっていた。
「もうアレク兄様に任せてもいいんですけど……」
嫌々そうに書類を受け取りながら目を通していく。
決裁をすること以外にも、他貴族からの陳情書もその中に入っていた。
「また他の貴族から文句が書かれているね……」
「またですか……」
二人でため息をつきながら貴族からの手紙を読んでいく。
人口がこれだけ増えれば、逆に減る街もある。国へ納める税収は街の規模により異なるが、特別なことがない限りは減ることはない。
人口が減った街にとっては死活問題に直結するのだ。そういった貴族からドリントルへと苦情の手紙が届くことがよくあった。
「書類の確認も終わったから、王都の屋敷に戻りますね。明日は王城に呼ばれているので……」
「また国王からか……カインも大変だね」
何かあるたびに、王城かの呼び出しをされているカインに、アレクは苦笑しながらも書類に目を通していく。
「それでは戻りますね。また来ます」
カインは転移を使いその場から消えていった。
「カイン様も相変わらず忙しそうですね。紅茶をお出ししましょう」
「ダルメシア、ありがとう。いただくよ」
アレクはダルメシアに笑顔で言い、いつものように職務をこなしていくのだった。
王城の応接室には、国王と、マグナ宰相、エリック公爵、そしてテレスティアとシルク、カインがいた。
「なぜ、テレスティア王女殿下と、シルク嬢まで?」
いつもいないメンバーにカインは首を傾げる。
「実はな……バイサス帝国の皇帝より親書が届いたのじゃ。それで内容がな――」
国王からの説明では、バイサス帝国との親交を図るため、第六皇女を王国に留学させたいとのことだった。
今は夏休みだが、夏休み明けには留学することが希望だそうだ。
交換留学ではなく、第六皇女と少数の護衛と侍女たちだけで王都の学園に留学させるということで、下手をすれば人質になってしまうのではないかと考えたが、第六皇女では王位継承権は低く人質にならないと説明されていく。
「あちらの意図が見えないが……断ることにもいかなくてな、歳がテレスと一緒であるから、お主たちのクラスに編入させようと思う。それで今回来てもらったのじゃ」
国王の言葉にカイン、テレスティア、シルクの三人は頷いた。
「少し心配でもありますわ……」
テレスティアが心配そうな顔をしてカインに視線を送る。
「テレス、何が心配なのじゃ?」
テレスティアの言葉に国王が質問をすると、テレスティアは頷き言葉を続ける。
「またカイン様の婚約者が増えるようになることは……」
その言葉に何かを気づいたように国王はカインに視線を送った。
「そ、それは……。たしかに心配はないと思うが……。なんせお主は何をしでかすかわからんからな……」
「カイン君の事だからねぇ~。さすがに国際問題になるから気を付けてよ?」
「カイン卿……頼むから面倒は起こさないように……」
国王、エリック公爵、マグナ宰相の三人から念を押すように言われるが、カインとしてはまったく自覚はなく、言いがかりとしか思えない。
「そんな節操なしのような言い方をされても困ります。しかも皇女殿下ですよ。何かあるわけないじゃないですか」
カインは力説するが、この部屋にいる誰一人として信用していない。
「カイン様……そう言いながら聖女様も……」
テレスティアが心配そうな顔でカインを見つめるが、みんなの視線に耐え切れなくなったカインはテーブルに伏せた。
「まぁ次は問題起こさないことを期待しよう……。するだけ無駄かもしれんが……」
国王の言葉で話は終わった。
カインは疲れ果てた表情をしながら、馬車に乗って屋敷に戻った。
自分の屋敷に戻ったカインを出迎えたシルビアは、カインのあまりにも疲れ果てた表情を見て心配になったが、カインからの説明を聞き納得していた。
「カイン様なら……王女様、聖女様、そして……皇女様までもありえますね……」
同じようにシルビアの隣で並んでいるコランまでもが頷いている。
「二人揃って同じことを……」
カインは大きくため息を一つつき、項垂れるのであった。
エスフォート王国より正式な返事は、すぐにバイサス帝国の使者へと手渡された。
一時的な休戦協定を結んでいる国家ではあるが、それはエスフォート王国のみであり、他国へと侵略を続けて大きくなっているのは現在も変わってはいない。
返事を手渡された使者も感謝の言葉を述べ、早々と帰国していった。
そして夏休みが明けた。
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コメント
ノベルバユーザー375143
フラグ
モブキャラ
あと一年経つのに何話かかるか
スザク
1行で3年(´・ω・`)
ノベルバユーザー308172
あー、うん。これは、増えるね。
ノベルバユーザー304999
増えるな(確信)