転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~
第十三話 王都へ
王都に行く日が決まった。
貴族では五歳となり、国王への謁見とお披露目会がある。
来年から姉のレイネも王都の学校へ通うことから一緒に行くこととなった。
「カイン君と離れるのはイヤ! そのまま王都の屋敷に住めばいいのに」
レイネが駄々を捏ねている。
「あちらには、マリアやジンやアレクがいるだろう。言うことを聞くようにするのだよ」
ガルムが説得するが、カインに抱きつき離さない。
「レイネ姉さま、姉さまが五年生の時に僕も学校に入学します。姉さまが学校で活躍しているのを楽しみにしていますね」
期待を込めて言った。
レイネが目を輝かせ胸を張る。まだふくらみもないけど。
「カイン君。見ていてね! カイン君の姉として頑張っちゃうから!」
あっという間にご機嫌になった。
相変わらずチョロイ姉だとカインは微笑む。
◇◇◇
そして王都に行く日となった。
王都までは、七日間の距離にあるが、今回は十日間かけて行くことになっている。途中の各街に寄る必要があるからだ。貴族ともなれば、各街や村に泊まることにより、金を落とす必要がある。
護衛を含めれば、それなりの人数になり、多少なりとも経済に影響があるからだ。
今回同行するのは、領主のガルム、サラ、レイネ、僕、執事のセバスと僕専属のメイドのシルビアだ。護衛として騎士が十名同行している。
「初めての王都だから楽しみです」
今までグラシア領から出たことがなかったので、初めての王都に気持ちが高ぶっていた。
『探査』を使い、三キロ先までは何もないのがわかっている。
「ガルム様、レノマの街が見えてきました。もう少しで到着となります」
騎士数名が先に馬で走って知らせにいった。
街の門には、衛兵が両脇に並んでいる。
そのまま街の中に入り、領主館まで進む。今日の宿は領主館の隣の迎賓館だ。
迎賓館の入口には、この街の領主であるサファル・フォン・タルマール子爵が待っていた。
「ガルム辺境伯様、この度はこの街へよっていただきありがとうございます」
「サファル卿、この度は世話になる。紹介しよう、今回、王都でお披露目する三男のカインだ」
「カイン・フォン・シルフォードになります。本日はお世話になります」
「これはカイン殿ご丁寧に、本日はゆっくりおやすみください」
かるく会話をしたあとに、迎賓館のメイドに部屋を案内をされた。
部屋に入りソファに腰を据える。
シルビアがさっそく紅茶を入れてくれる。
「馬車とはいえやはり疲れるなぁ」
「カイン様、紅茶の準備ができました。今日はゆっくりとおやすみください」
「ありがとうシルビア」
紅茶を飲んだあとは、毎日、日課にしている魔力循環だ。瞑想し体内を魔力を巡らす。
もう常識な範囲を超えた魔力量だが、日課になっているため、やらないと落ち着かない。
十分に魔力循環を終わらせたあとにベッドに入る。
疲れていたこともあり、すぐに意識を手放した。
◇◇◇
いくつかの街を過ぎ、王都まで残り三日となった。
順調に道のりを進む。 探査は相変わらず使用中だ。
膨大な魔力量のおかげで日中ずっと起動したままだ。
あ、前方三キロで戦いが起こっている。
「大変です。この先で戦いが起こってます」
カインが慌てて伝える。
「なにっ! そんなことまでわかるようになったのか!」
ガルムが驚いている。
「はい。父上に優秀な冒険者の先生を、つけてもらいましたからね」
「十人くらいに魔物が数十匹群がっているみたいです。早く行かないと」
「まずは数人応援に行けっ!」
四人の騎士が先行して馬で駆けていく。
探査でずっと様子を伺っているが、騎士が段々と倒れていく。
このままでは間に合わない。
「父上、このままでは間に合いません。僕も先行して行きます」
「カイン。お前ではまだ危ない。いくら訓練したとはいえ危険だ」
「父上、僕なら負けません。それなりにレベルもあがりましたから。行きます」
帯剣をし、馬車を飛び降りた。
このままでは間に合わないと思い、あまり家族の前では見せたくはなかったが身体強化と風魔法を使うことにした。
風を身体に纏い一気に加速していく。
時速百キロを超えるスピードでカインは草原を駆け抜けていく。
あっという間に馬車からはカインの姿が消えていった。
周りの護衛も唖然とした。もちろんガルム含め家族たちもだ。
途中で先行した騎乗した騎士を追い抜き、そのままの速度で駆け抜けていく。
先行した四人より先についた。
オークの群れが騎士たちを襲っていた。
騎士たちが、馬車を守るように戦っている。
残りはすでに三人しかいない状態だった。他の騎士はオークの攻撃により倒れている。
そこにカインがついた。
「加勢いたします!!」
カインが叫んだ。
「子供がこんなとこにきてはいけない!逃げろ!!」
騎士はカインに逃げるように言った。
「見ててください。大丈夫です」
『空気弾』
十発の空気の弾がオークに向かって飛んでいく。オークの額に吸い込まれ頭を爆散させる。
十発で十体のオークが倒れた。
残っているのはあと二十体だ。
『真空刃』
十枚の真空の刃が舞う。また十体のオークが切り裂かれて倒れた。
残っているオークはあと十体だ。ただ、騎士と戦っており魔法は打てない。
「次は剣だ。いくぞっ」
剣を持ちオークに襲いかかる。身体強化した身体は弾丸のように飛んでいく。
一歩踏み込むだけで十メートルは進んだだろうか。
次々とオークを切り裂いていく。オークの振り回す棍棒を避けながら剣を振るう。
「これで終わりだっ!」
最後に残ったオークに向けて剣を振るう。
剣で一閃し首のない最後の一体が倒れた。
「大丈夫ですか?」
倒れている騎士に向かう。
残っている騎士がこちらに剣を向ける。
「馬車に寄るな。そこで止まれ」
その場で止まる。馬車はいかにも貴族の馬車だった。うちの馬車よりも豪華だ。
剣を帯納し姿勢を正す。
「申し遅れました。カイン・フォン・シルフォードと申します。ガルム・フォン・シルフォード・グラシアの三男になります」
後ろから騎士が馬で駆けてくる。
やっと4人の騎士が到着した。
「ガルム・フォン・シルフォード・グラシア辺境伯の騎士である。応援に参ったって、あれ? なんでカイン様がいるのですか?」
周りの倒れているオークを見渡す。
「しかも全部倒してしまってるし」
騎士は呆れてた。
「それよりも、負傷している騎士の治療をさせてください。回復魔法が使えます」
そう言いながら、倒れている騎士に向かう。
数人は既に事が切れていたが、まだ息があるものを治療する。
『エリアハイヒール』
近くにいた息のある騎士たちが一瞬にして白い光に包まれていき、ケガが一瞬にして治っていく。
「なんだこれはっ!?」
騎士たちが驚いている。
「さすがに流した血までは戻りません。安静にして血になるものを食べるといいでしょう」
前世の知識から、カインは言う。
「もう少しで父も来るはずです。そしたら安心していただけるかと」
後ろから騎士を連れた馬車が追いかけてきた。
近くで止まると、馬車からガルムを筆頭にサラやレイネが降りてくる。
ガルムに気づいたのか、相手の騎士たちが整列をする。
「まったく。消えたと思ったら……。今は聞かん、あとで正直に話せ」
ガルムが話す。
「ガルム・フォン・シルフォード・グラシアだ。その馬車の紋章はサンタナ公爵家のものと見受けられる。ご無事か」
貴族の馬車だとは思ってたけど、公爵家かよっ。それなら近くに寄るなってのもわかるな。
突然馬車の扉が開いた。
馬車から降りてきたのは、侍女に支えられ震えた手を取り合っている同じ年くらいの女の子二人だった。
貴族では五歳となり、国王への謁見とお披露目会がある。
来年から姉のレイネも王都の学校へ通うことから一緒に行くこととなった。
「カイン君と離れるのはイヤ! そのまま王都の屋敷に住めばいいのに」
レイネが駄々を捏ねている。
「あちらには、マリアやジンやアレクがいるだろう。言うことを聞くようにするのだよ」
ガルムが説得するが、カインに抱きつき離さない。
「レイネ姉さま、姉さまが五年生の時に僕も学校に入学します。姉さまが学校で活躍しているのを楽しみにしていますね」
期待を込めて言った。
レイネが目を輝かせ胸を張る。まだふくらみもないけど。
「カイン君。見ていてね! カイン君の姉として頑張っちゃうから!」
あっという間にご機嫌になった。
相変わらずチョロイ姉だとカインは微笑む。
◇◇◇
そして王都に行く日となった。
王都までは、七日間の距離にあるが、今回は十日間かけて行くことになっている。途中の各街に寄る必要があるからだ。貴族ともなれば、各街や村に泊まることにより、金を落とす必要がある。
護衛を含めれば、それなりの人数になり、多少なりとも経済に影響があるからだ。
今回同行するのは、領主のガルム、サラ、レイネ、僕、執事のセバスと僕専属のメイドのシルビアだ。護衛として騎士が十名同行している。
「初めての王都だから楽しみです」
今までグラシア領から出たことがなかったので、初めての王都に気持ちが高ぶっていた。
『探査』を使い、三キロ先までは何もないのがわかっている。
「ガルム様、レノマの街が見えてきました。もう少しで到着となります」
騎士数名が先に馬で走って知らせにいった。
街の門には、衛兵が両脇に並んでいる。
そのまま街の中に入り、領主館まで進む。今日の宿は領主館の隣の迎賓館だ。
迎賓館の入口には、この街の領主であるサファル・フォン・タルマール子爵が待っていた。
「ガルム辺境伯様、この度はこの街へよっていただきありがとうございます」
「サファル卿、この度は世話になる。紹介しよう、今回、王都でお披露目する三男のカインだ」
「カイン・フォン・シルフォードになります。本日はお世話になります」
「これはカイン殿ご丁寧に、本日はゆっくりおやすみください」
かるく会話をしたあとに、迎賓館のメイドに部屋を案内をされた。
部屋に入りソファに腰を据える。
シルビアがさっそく紅茶を入れてくれる。
「馬車とはいえやはり疲れるなぁ」
「カイン様、紅茶の準備ができました。今日はゆっくりとおやすみください」
「ありがとうシルビア」
紅茶を飲んだあとは、毎日、日課にしている魔力循環だ。瞑想し体内を魔力を巡らす。
もう常識な範囲を超えた魔力量だが、日課になっているため、やらないと落ち着かない。
十分に魔力循環を終わらせたあとにベッドに入る。
疲れていたこともあり、すぐに意識を手放した。
◇◇◇
いくつかの街を過ぎ、王都まで残り三日となった。
順調に道のりを進む。 探査は相変わらず使用中だ。
膨大な魔力量のおかげで日中ずっと起動したままだ。
あ、前方三キロで戦いが起こっている。
「大変です。この先で戦いが起こってます」
カインが慌てて伝える。
「なにっ! そんなことまでわかるようになったのか!」
ガルムが驚いている。
「はい。父上に優秀な冒険者の先生を、つけてもらいましたからね」
「十人くらいに魔物が数十匹群がっているみたいです。早く行かないと」
「まずは数人応援に行けっ!」
四人の騎士が先行して馬で駆けていく。
探査でずっと様子を伺っているが、騎士が段々と倒れていく。
このままでは間に合わない。
「父上、このままでは間に合いません。僕も先行して行きます」
「カイン。お前ではまだ危ない。いくら訓練したとはいえ危険だ」
「父上、僕なら負けません。それなりにレベルもあがりましたから。行きます」
帯剣をし、馬車を飛び降りた。
このままでは間に合わないと思い、あまり家族の前では見せたくはなかったが身体強化と風魔法を使うことにした。
風を身体に纏い一気に加速していく。
時速百キロを超えるスピードでカインは草原を駆け抜けていく。
あっという間に馬車からはカインの姿が消えていった。
周りの護衛も唖然とした。もちろんガルム含め家族たちもだ。
途中で先行した騎乗した騎士を追い抜き、そのままの速度で駆け抜けていく。
先行した四人より先についた。
オークの群れが騎士たちを襲っていた。
騎士たちが、馬車を守るように戦っている。
残りはすでに三人しかいない状態だった。他の騎士はオークの攻撃により倒れている。
そこにカインがついた。
「加勢いたします!!」
カインが叫んだ。
「子供がこんなとこにきてはいけない!逃げろ!!」
騎士はカインに逃げるように言った。
「見ててください。大丈夫です」
『空気弾』
十発の空気の弾がオークに向かって飛んでいく。オークの額に吸い込まれ頭を爆散させる。
十発で十体のオークが倒れた。
残っているのはあと二十体だ。
『真空刃』
十枚の真空の刃が舞う。また十体のオークが切り裂かれて倒れた。
残っているオークはあと十体だ。ただ、騎士と戦っており魔法は打てない。
「次は剣だ。いくぞっ」
剣を持ちオークに襲いかかる。身体強化した身体は弾丸のように飛んでいく。
一歩踏み込むだけで十メートルは進んだだろうか。
次々とオークを切り裂いていく。オークの振り回す棍棒を避けながら剣を振るう。
「これで終わりだっ!」
最後に残ったオークに向けて剣を振るう。
剣で一閃し首のない最後の一体が倒れた。
「大丈夫ですか?」
倒れている騎士に向かう。
残っている騎士がこちらに剣を向ける。
「馬車に寄るな。そこで止まれ」
その場で止まる。馬車はいかにも貴族の馬車だった。うちの馬車よりも豪華だ。
剣を帯納し姿勢を正す。
「申し遅れました。カイン・フォン・シルフォードと申します。ガルム・フォン・シルフォード・グラシアの三男になります」
後ろから騎士が馬で駆けてくる。
やっと4人の騎士が到着した。
「ガルム・フォン・シルフォード・グラシア辺境伯の騎士である。応援に参ったって、あれ? なんでカイン様がいるのですか?」
周りの倒れているオークを見渡す。
「しかも全部倒してしまってるし」
騎士は呆れてた。
「それよりも、負傷している騎士の治療をさせてください。回復魔法が使えます」
そう言いながら、倒れている騎士に向かう。
数人は既に事が切れていたが、まだ息があるものを治療する。
『エリアハイヒール』
近くにいた息のある騎士たちが一瞬にして白い光に包まれていき、ケガが一瞬にして治っていく。
「なんだこれはっ!?」
騎士たちが驚いている。
「さすがに流した血までは戻りません。安静にして血になるものを食べるといいでしょう」
前世の知識から、カインは言う。
「もう少しで父も来るはずです。そしたら安心していただけるかと」
後ろから騎士を連れた馬車が追いかけてきた。
近くで止まると、馬車からガルムを筆頭にサラやレイネが降りてくる。
ガルムに気づいたのか、相手の騎士たちが整列をする。
「まったく。消えたと思ったら……。今は聞かん、あとで正直に話せ」
ガルムが話す。
「ガルム・フォン・シルフォード・グラシアだ。その馬車の紋章はサンタナ公爵家のものと見受けられる。ご無事か」
貴族の馬車だとは思ってたけど、公爵家かよっ。それなら近くに寄るなってのもわかるな。
突然馬車の扉が開いた。
馬車から降りてきたのは、侍女に支えられ震えた手を取り合っている同じ年くらいの女の子二人だった。
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