俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~
第二十九回 簡単すぎだろ?
ガッシャーン!!
三人の冒険者が……Cランク冒険者が吹き飛んでいった。とびかかってくるBランク冒険者も軽くあしらう。その出来事を招いた主である少女。
少女は上を向いてかけてあるモニター画面を見つめた。
「ふん。ヴェリトも強くなったもんだな。さぁてストレス発散を続けるか……誰から来る? 全員迷わず来いよ、冒険者だろう?」
「ひぃっ」
「……やってやらぁああ!!」
この試合に勝ったら彩は三位決定戦に進出できる。モニター画面に映っているのは彩と同じくらい活躍している少年、ヴェリトだ。
そして期待のプロ、ミハル。
彩はどちらかというとミハルの方が強いと思っている。
そのミハルと勝敗が決まらない少女、アナリア。
「才能の集まりだな、面白くなってきたじゃないか」
ミハルもアナリアもSランク冒険者だ。この2人と対決することそのものが……。
『うああっ!!』
その時、ヴェリト達の勝敗が決まった。彩はよそ見しながらも低級冒険者達をあしらっていく。ヴェリトが投げ飛ばされて負けた。
にやりと笑みを浮かべる少女は、確かフェルトと名のったはずである。
いくらなんでも、Aランクの実力に及ぼうとするヴェリトを、一撃で投げ飛ばすなんて不可能だ。手慣れのSランクでも苦戦はする。
ヴェリトは速さが売りだからだ。
ミハルとアナリアのチームでは、アナリアがミハルのすきをついて勝った。
「ふん、さっさと終わらせるか―――ライト」
「やばい! 結界だあああ!」
『ライト・バーニング!!』
『結k』
「ぎゃああああっ!!!」
先程何を言おうとしたのか忘れてしまい、少しイライラしたので彩は一撃の光魔術で全員葬った。この場で魔術を使ったのはこれが初めてである。
十人以上の挑戦者が担架に運ばれ、治癒魔術をかけられていく。
『勝者は期待の新人! 竜舞姫アヤさんです―――!!』
「だから……その称号はいらんといっているのに」
盛大な拍手を送る中、審判と共に階段を降りていく彩の顔は赤くなっていた。竜舞姫という名前がかっこよすぎて、自分に似合いすぎていて。
しかしナルシストかもしれないと思ってしまう。
ああ、最高だ。
願わくば永遠にこの名前で呼ばれ続けたい。
しかし、この称号を貰うきっかけになったのは彩ではなくユリウス。
「よし」
「どうしましたか? 竜舞姫様?」
「いや。何でもない」
「そうですか。それでは僕は此処で失礼させて頂きますね」
「ああ」
竜舞姫アヤと書かれている三位決定戦まで進むと約束された者専用の待合室に案内されると、審判だった者は走り去っていった。
彩は扉のドアノブを右に回し、中に入っていく。
外と同じモニター画面と長い机とふかふかのソファー。
「自分でも称号のきっかけを作れたらいいな。準人は確か『凶悪の紅眼』などと呼ばれていたな……アレが一番格好良かった」
彩は自分でも気づいていないだろう、その目が「あの日の」憧憬が広がっており、その奥がきらきら光っているということを。
リーゼルトは彼女の想い人だけではなく、最初に憧れた者でもあるのだ。
あの時、準人が自分が『凶悪の紅眼』だなんて呼ばれていることを知ったとき、あの恥ずかしそうにしたその顔が、可愛かった。
あの時、準人に羨ましいと彩が言った時に『そうか?』と言った後『なら、いいや』と言ったことがとても嬉しかった。
思い出すだけでも何だか心臓がきゅう、と締め付けられる。
「だから早く私のことを見つけてくれ、私も貴様のことを探してやろう……だからいつか会おうじゃないか。会わせてくれないか? 運命様よ」
その時、見計らったかのようにモニター画面がもう一度ついた。最初に敗者復活戦が行われるのだ。ヴェリトとミハルとアンナだ。
アンナは一番最後に彩に負けた者。
少しだけ彩の攻撃に耐えられたが、すぐに気絶してしまったのだ。
アンナが右ストレートを撃つもののミハルにあっさりかわされ、後ろからヴェリトに襲撃されて担架で運ばれていく。
弱者は先に排除するというやり方だろう。
『御主人様。ミハルの方がヴェリトさんよりもすべてのステータスが100以上上回っております。はっきり言って勝つのは難しいかと』
「そうか。でもそうだとしてもヴェリトは四位になる。あいつにしてはいい結果だとヴェリトなら言うだろう」
そう言って彩はアーナーが出現させたコーヒーを優雅に飲んでいく。
「漆黒の翼を再現できた者は悲しみなどあることはない」
今は少し、中二病を戻してみたかった。
ヴェリトの表情は勝っても負けてもいいや、当たって砕けろという表情で、最初から本気でぶち抜いている。
それを余裕の表情でかわしていくミハル。
「ふん……まだある。ミハルを抜いていける方法はあるな」
ミハルがついに面倒くさくなったようで大きな技を振りかざす準備をしている。
この大会まで、二日あった。
二日、彩はヴェリトをぶちのめすくらいの勢いで彼と修行していた。大きな技を放った後、彩にある弱点がミハルにもあった。
才能ではなく、これは経験の差で詰めていくもの。
彩もヴェリトもずいぶん経験していて、ミハルの経験を超えているのだ。
彼は冒険者ではあったものの、全て仲間に任せていて戦闘などしたことがない。
それでここまで来たのは褒めるべきだが……。
『砕獄の鎖』
真っ赤に染まり、その周りを黒い電撃がまとう鎖がミハルの手から無数に出て行ってヴェリトを捕まえようと試みる。
彩の分析によると、これを超えられるなら。
そして彼の弱点を見分けられるのなら。
勝機は大幅に増え、勝てる確率も推して知るべしと言えるくらいにはなる。
「行け、ヴェリト」
ヴェリトが行動をした。その表情は至って余裕である。
三人の冒険者が……Cランク冒険者が吹き飛んでいった。とびかかってくるBランク冒険者も軽くあしらう。その出来事を招いた主である少女。
少女は上を向いてかけてあるモニター画面を見つめた。
「ふん。ヴェリトも強くなったもんだな。さぁてストレス発散を続けるか……誰から来る? 全員迷わず来いよ、冒険者だろう?」
「ひぃっ」
「……やってやらぁああ!!」
この試合に勝ったら彩は三位決定戦に進出できる。モニター画面に映っているのは彩と同じくらい活躍している少年、ヴェリトだ。
そして期待のプロ、ミハル。
彩はどちらかというとミハルの方が強いと思っている。
そのミハルと勝敗が決まらない少女、アナリア。
「才能の集まりだな、面白くなってきたじゃないか」
ミハルもアナリアもSランク冒険者だ。この2人と対決することそのものが……。
『うああっ!!』
その時、ヴェリト達の勝敗が決まった。彩はよそ見しながらも低級冒険者達をあしらっていく。ヴェリトが投げ飛ばされて負けた。
にやりと笑みを浮かべる少女は、確かフェルトと名のったはずである。
いくらなんでも、Aランクの実力に及ぼうとするヴェリトを、一撃で投げ飛ばすなんて不可能だ。手慣れのSランクでも苦戦はする。
ヴェリトは速さが売りだからだ。
ミハルとアナリアのチームでは、アナリアがミハルのすきをついて勝った。
「ふん、さっさと終わらせるか―――ライト」
「やばい! 結界だあああ!」
『ライト・バーニング!!』
『結k』
「ぎゃああああっ!!!」
先程何を言おうとしたのか忘れてしまい、少しイライラしたので彩は一撃の光魔術で全員葬った。この場で魔術を使ったのはこれが初めてである。
十人以上の挑戦者が担架に運ばれ、治癒魔術をかけられていく。
『勝者は期待の新人! 竜舞姫アヤさんです―――!!』
「だから……その称号はいらんといっているのに」
盛大な拍手を送る中、審判と共に階段を降りていく彩の顔は赤くなっていた。竜舞姫という名前がかっこよすぎて、自分に似合いすぎていて。
しかしナルシストかもしれないと思ってしまう。
ああ、最高だ。
願わくば永遠にこの名前で呼ばれ続けたい。
しかし、この称号を貰うきっかけになったのは彩ではなくユリウス。
「よし」
「どうしましたか? 竜舞姫様?」
「いや。何でもない」
「そうですか。それでは僕は此処で失礼させて頂きますね」
「ああ」
竜舞姫アヤと書かれている三位決定戦まで進むと約束された者専用の待合室に案内されると、審判だった者は走り去っていった。
彩は扉のドアノブを右に回し、中に入っていく。
外と同じモニター画面と長い机とふかふかのソファー。
「自分でも称号のきっかけを作れたらいいな。準人は確か『凶悪の紅眼』などと呼ばれていたな……アレが一番格好良かった」
彩は自分でも気づいていないだろう、その目が「あの日の」憧憬が広がっており、その奥がきらきら光っているということを。
リーゼルトは彼女の想い人だけではなく、最初に憧れた者でもあるのだ。
あの時、準人が自分が『凶悪の紅眼』だなんて呼ばれていることを知ったとき、あの恥ずかしそうにしたその顔が、可愛かった。
あの時、準人に羨ましいと彩が言った時に『そうか?』と言った後『なら、いいや』と言ったことがとても嬉しかった。
思い出すだけでも何だか心臓がきゅう、と締め付けられる。
「だから早く私のことを見つけてくれ、私も貴様のことを探してやろう……だからいつか会おうじゃないか。会わせてくれないか? 運命様よ」
その時、見計らったかのようにモニター画面がもう一度ついた。最初に敗者復活戦が行われるのだ。ヴェリトとミハルとアンナだ。
アンナは一番最後に彩に負けた者。
少しだけ彩の攻撃に耐えられたが、すぐに気絶してしまったのだ。
アンナが右ストレートを撃つもののミハルにあっさりかわされ、後ろからヴェリトに襲撃されて担架で運ばれていく。
弱者は先に排除するというやり方だろう。
『御主人様。ミハルの方がヴェリトさんよりもすべてのステータスが100以上上回っております。はっきり言って勝つのは難しいかと』
「そうか。でもそうだとしてもヴェリトは四位になる。あいつにしてはいい結果だとヴェリトなら言うだろう」
そう言って彩はアーナーが出現させたコーヒーを優雅に飲んでいく。
「漆黒の翼を再現できた者は悲しみなどあることはない」
今は少し、中二病を戻してみたかった。
ヴェリトの表情は勝っても負けてもいいや、当たって砕けろという表情で、最初から本気でぶち抜いている。
それを余裕の表情でかわしていくミハル。
「ふん……まだある。ミハルを抜いていける方法はあるな」
ミハルがついに面倒くさくなったようで大きな技を振りかざす準備をしている。
この大会まで、二日あった。
二日、彩はヴェリトをぶちのめすくらいの勢いで彼と修行していた。大きな技を放った後、彩にある弱点がミハルにもあった。
才能ではなく、これは経験の差で詰めていくもの。
彩もヴェリトもずいぶん経験していて、ミハルの経験を超えているのだ。
彼は冒険者ではあったものの、全て仲間に任せていて戦闘などしたことがない。
それでここまで来たのは褒めるべきだが……。
『砕獄の鎖』
真っ赤に染まり、その周りを黒い電撃がまとう鎖がミハルの手から無数に出て行ってヴェリトを捕まえようと試みる。
彩の分析によると、これを超えられるなら。
そして彼の弱点を見分けられるのなら。
勝機は大幅に増え、勝てる確率も推して知るべしと言えるくらいにはなる。
「行け、ヴェリト」
ヴェリトが行動をした。その表情は至って余裕である。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
49989
-
-
440
-
-
3395
-
-
140
-
-
37
-
-
6
-
-
1978
-
-
107
-
-
3
コメント