異世界で教師⁈やらされました

田中 凪

3

俺は町から戻ると、すぐに大浴場へ行った。この世界では、やはり風呂は貴族の道楽らしい。だが、この学園では違うようだ。ここは、貴族が多く通い風呂がないと耐えられないから作ったんだとか。うん、わからなくもない。元日本人としては嬉しいものだ。まあ、冒険者になって宿に風呂がない。なんてことになったら、絶対作るけどな。
その後は、食堂でちょっと早めの夕食を食べた。パンと肉野菜炒めという、シンプルなものだった。もう、The異世界。て感じがした。だって、オークとかの魔物の肉使ってんだぜ?しかも野菜はこの学園で採れたものらしい。キャベツと人参、もやし、ピーマンだと思われる。
んでまぁ、テレビも漫画もゲームもない。スマホ?ほぼ調べ物しかできん。SNSなどもできやしない。つまらん。
というわけで寝た。案外寝れるもんだな。朝までぐっすりだった。



翌朝、朝食を食べに食堂へ行くと学長がいた。
どうやら、今日が始業式らしいのでその時に一言言わなければならないらしい。
えー、めんどくさい。
・・・どうやら、マイクではなく風邪魔法を使い、声を飛ばしているらしい。俺が舞台に上がると生徒がざわめく。どうやら、自分達と同じぐらいの歳なのに教師だということに驚いているようだ。
大「学長からの紹介もあったので俺からは一言だけです。至らない点があるとは思いますが、これからよろしくお願いします。」
できる限り丁寧に言っておいた。



俺は受け持つことになった3ーDの教室に入る。すると、話し合っていた生徒達が静かになる。
大「えー、朝も紹介があった通り俺は新米だ。間違っていたり、わからないことがあったらどんどん言ってくれ。」
と言うと、早速質問があった。クラス委員的な存在の女子生徒からだ。そっと【鑑定】を使ってみようかと思ったけど、鑑定を受けると体がくすぐったくなるとかよく言うので、やめておいた。
アナ「私は、このクラスのクラス委員アナ=カレイナです。」
名字があるってことは貴族か?まあいいや。 
大「なにかな?」
アナ「どうして、私達と歳が大して変わらないのに教師ができるんですか?それと、このぶ厚い書物はなんですか?」
大「1つ目の質問。これは訳あって答えられない。俺が何者かは君たちもいずれたどり着くであろう。というか、2つ目の質問の書物を開けばなにかしらの考察ができると思う。」
うん。嘘は言ってない。
大「では、裏に名前を書いた人から開いてください。」
最初、彼らはこの意味を知らなかったようだ。ってか、勝負を挑んできたりしないのな。
お前なんかが教師なわけあるか!
って言って突っかかってくるかなぁ。と思っていたのにそんなことがない。
大「これは、個人の所有物となる。そのため、無くさないように名前を書いておけ!」
と言っておく。すると、生徒達は騒めき出す。
この反応を見るからに、この世界では紙は貴重なもののようだ。まあ、新しく作っておいた、【コピー】って魔法使ってるから問題ないんだけどね。
大「よし、だいたい開いたな。3年はこの書物を使う。何か質問がある人は?」
今度は獣人の男子生徒が手を挙げた。
ライ「俺は、ライルっていいます。この書物が魔法を勉強する上で役に立つのですか?」
大「ああ、もちろんだ。では、今から講義を始める。ノートを取るようにしてくれ。紙はいくらでもある。ない奴は来い。」
すると、クラスのほぼ全員がもらいに来た。おうふ、まじかよ。まあいいや。俺の使いかけのノートの1ページをコピーして渡していく。
大「それと、ノートは授業が終わったら提出してもらうからな。」
一応、この学園に入っているのだから、文字の読み書きぐらいはできるだろう。
大「では、講義を始める。まず、君達は、魔法がどういったものか、魔力がどういったものなのか、答えられる人はいるか?」
今度は、真面目そうな男子生徒が手を挙げた。
アカ「僕は、アカシって言います。魔法とは、魔力を使い才能のある人だけが使いこなすことのできるものです。魔力は様々なところに漂っており、また、体内にも蓄積されていて魔法を使う時に、使うものです。そして、失われた魔力は食べ物を食べたり、深呼吸をすることにより回復していきます。」
大「ふむ、魔力の説明はあっているが、魔法の説明は違うな。魔法とはすなわち、自らが思い描いたこと、また、これはこうだからこうなる。とわかっていて初めて使うことができるものだ。そして、魔力の保有量は人それぞれだが、一定量以上は持っている。つまりだ。俺の授業を受ければ、魔法が誰でも使えるようになる。」
全員「そんなわけあるか!」
おおぅ、全ツッコミですかい。そこまで否定されると凹んじゃうなぁ。
もう、こうなったら実力行使だ!

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品