死神始めました

田中 凪

第107話 魔の森に放り出された者達その2

ここは、オルリント大森林の半ば。強いモンスターはあまりでない場所だ。そこでは1万〜2万ほどの志願者が散らばっている。そして、所々で戦闘が行われていた。その一つを覗いてみよう。ここでは3体のオーガが、5人の冒険者と戦っていた。
「チィッ!なんてパワーだ!普通のオーガじゃこんな強くねぇぞ!」
前衛でオーガの振り下ろす棍棒を受け止めていた冒険者がそう叫んだ。
「仕方ない!ここは普通のモンスターよりも強くなってるんだ!なんたってオルリント大森林だからな。魔法は撃てるか!?」
「ああ、でかいのをブチ込めるぞ!」
「全員退がれ!」
前衛は3人、後衛には魔法使いと、弓術士が一人づついる。かなりバランスのとれたパーティである。
「くたばりやがれ!【ウィンドカッター】!」
魔法使いが叫ぶと、数枚のブレードが飛び出す。そして、胴体へと命中し、オーガを切り裂く。
「ゴァァアァア!」
「ギァァアアァア!」
「グギャァアアァァ!」
それぞれ苦悶の声を発し命の炎が消えていく。
「か、勝ったな。」
「ああ、だがオーガの死体はどうする?」
そう、オーガは素材が取れず売ることができない。そのためゴブリン、オークと共にあまり人気では無い。まあ、初心者が倒せばそれなりにステータスとなるのだが、そもそもそんな者達がここにいたら間違いなく死んでいただろう。
「けど、王様は買い取ってくれるって言ってなかった?」
「確かに言ってたな。どんな魔物でも丸ごと買い取るって。」
「じゃあこのまま、マジックボックスにでも入れておくか。」
魔法使いの言葉に他の者達も頷く。そして、手っ取り早くしまうと、今日の生きる糧となる魔物を探しに森の中へ入って行った。

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