魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
21 試験終了
「次、ソーンさんお願いします」
「ハイッ」
俺は副団長のユーリさんから少し離れた位置に立ち、改めて息子さんをじっくりと見る。
最初は普通の少年かと思っていたけど、大間違いだ。
一見、構えずにただ立っているように見えるが、自然体で隙がない。それにさっきのアールさんとの模擬戦で見た魔法を無効化する技もある。
どう攻めればいいかイメージできない。
だからと言ってむざむざと負けたりしたら武龍団の名折れだ。
一撃入れてみせる!
「では――始め!」
開始の合図と同時に俺は駆け出す。
反撃されない1分間が勝負だ。
俺は息子さんに迫る。
しかし息子さんは動かない。油断している?
いや、やっぱり隙が見つからない。
俺は大きく踏み込み、拳を突き出す。
だが予想通り、息子さんは拳がギリギリ届かない距離で避ける。
そこを狙うッ!
「風よ!」
突風が俺の背中を押す。
そして俺の拳が伸びる。
一撃入れれば合格……これでどうだ!
息子さんと目が合う。
動揺の色は見えなかった。
むしろ、この状況すらもわかっていたかのように半歩移動して俺の一撃を避ける。
ダメかッ……いや、まだまだ!
それから俺は食らいつくように何度も拳や蹴りを繰り出した。
風魔法を使い緩急をつけた攻撃だ。
副団長も認めてくれた俺の武術。
しかしその一撃が息子さんに届くことはなかった。
***
俺に投げられ、魔力もほとんど使い果たしたソーンさんは仰向けになって息を切らしている。
「ありがとうございました」
そう俺が言うと、ソーンさんは一度大きく深呼吸をしてから立ち上がる。
「完敗です……ありがとうございました!」
丁寧に礼をしたソーンさんはそのまま俺に握手を求める。
俺はもちろん拒むことなく、その手を握り返す。
「風魔法を組み合わせた、いい武術でした」
「副団長に認めてもらった自慢の武術です。それに息子さんにも認めてもらえた。今日はそれだけでも誇らしい気持ちで帰れます!」
「俺のことはユーリって呼んでください!」
「はい、ユーリ班長!」
ソーンさんは清々しい笑顔で訓練場を去っていった。
俺はその姿を見送ると、肩の力を抜いてその場に座り込んだ。
空は意外にもまだ青い。
慣れないことをして少し疲れた、そんな感じだ。
「お疲れ様」
影から出てきたアカネが隣に座って声をかけてくれる。
「ご苦労様なのじゃ」
師匠も刀から人の姿に変わって出てきた。
「ユーリくん! おつかさま!」
少し遅れてセレーナがやって来た。
「うん、みんなありがとう」
さ、どうしよう。
全員不合格にしちゃった。
いや、でもさ。試験内容、簡単過ぎかなって不安に思ったくらいなんだけどね……。
俺の気持ちを察してか、アカネも難しい顔を、それに師匠も難しい顔をしていた。
セレーナはいつも通りニコニコしていた。
合格者0人。
アカネと師匠がいるんだし、もういっそ3人で行くか?
うーん……武龍団が弱いわけじゃないと思う。俺が強くなった、そういうことなのかもしれない。
このまま何名かの団員を連れて行ったとしても、何となくだけどダメな気がする。
もう1段階上の力が欲しい。
俺が鍛える? いや、そんな時間が果たしてあるのか。
これは長に相談するしかないか。
こうして調査班班員選抜試験は無事(?)終了した。
読んで頂きありがとうござます!!
今回めっちゃ短くてごめんなさい!
一区切りという意味で切りました。
早く調査に行けよ、という声も聞こえてきそうですが、もう少しお待ち下さい!
「ハイッ」
俺は副団長のユーリさんから少し離れた位置に立ち、改めて息子さんをじっくりと見る。
最初は普通の少年かと思っていたけど、大間違いだ。
一見、構えずにただ立っているように見えるが、自然体で隙がない。それにさっきのアールさんとの模擬戦で見た魔法を無効化する技もある。
どう攻めればいいかイメージできない。
だからと言ってむざむざと負けたりしたら武龍団の名折れだ。
一撃入れてみせる!
「では――始め!」
開始の合図と同時に俺は駆け出す。
反撃されない1分間が勝負だ。
俺は息子さんに迫る。
しかし息子さんは動かない。油断している?
いや、やっぱり隙が見つからない。
俺は大きく踏み込み、拳を突き出す。
だが予想通り、息子さんは拳がギリギリ届かない距離で避ける。
そこを狙うッ!
「風よ!」
突風が俺の背中を押す。
そして俺の拳が伸びる。
一撃入れれば合格……これでどうだ!
息子さんと目が合う。
動揺の色は見えなかった。
むしろ、この状況すらもわかっていたかのように半歩移動して俺の一撃を避ける。
ダメかッ……いや、まだまだ!
それから俺は食らいつくように何度も拳や蹴りを繰り出した。
風魔法を使い緩急をつけた攻撃だ。
副団長も認めてくれた俺の武術。
しかしその一撃が息子さんに届くことはなかった。
***
俺に投げられ、魔力もほとんど使い果たしたソーンさんは仰向けになって息を切らしている。
「ありがとうございました」
そう俺が言うと、ソーンさんは一度大きく深呼吸をしてから立ち上がる。
「完敗です……ありがとうございました!」
丁寧に礼をしたソーンさんはそのまま俺に握手を求める。
俺はもちろん拒むことなく、その手を握り返す。
「風魔法を組み合わせた、いい武術でした」
「副団長に認めてもらった自慢の武術です。それに息子さんにも認めてもらえた。今日はそれだけでも誇らしい気持ちで帰れます!」
「俺のことはユーリって呼んでください!」
「はい、ユーリ班長!」
ソーンさんは清々しい笑顔で訓練場を去っていった。
俺はその姿を見送ると、肩の力を抜いてその場に座り込んだ。
空は意外にもまだ青い。
慣れないことをして少し疲れた、そんな感じだ。
「お疲れ様」
影から出てきたアカネが隣に座って声をかけてくれる。
「ご苦労様なのじゃ」
師匠も刀から人の姿に変わって出てきた。
「ユーリくん! おつかさま!」
少し遅れてセレーナがやって来た。
「うん、みんなありがとう」
さ、どうしよう。
全員不合格にしちゃった。
いや、でもさ。試験内容、簡単過ぎかなって不安に思ったくらいなんだけどね……。
俺の気持ちを察してか、アカネも難しい顔を、それに師匠も難しい顔をしていた。
セレーナはいつも通りニコニコしていた。
合格者0人。
アカネと師匠がいるんだし、もういっそ3人で行くか?
うーん……武龍団が弱いわけじゃないと思う。俺が強くなった、そういうことなのかもしれない。
このまま何名かの団員を連れて行ったとしても、何となくだけどダメな気がする。
もう1段階上の力が欲しい。
俺が鍛える? いや、そんな時間が果たしてあるのか。
これは長に相談するしかないか。
こうして調査班班員選抜試験は無事(?)終了した。
読んで頂きありがとうござます!!
今回めっちゃ短くてごめんなさい!
一区切りという意味で切りました。
早く調査に行けよ、という声も聞こえてきそうですが、もう少しお待ち下さい!
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