魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
サイドストーリー10 宣戦布告
何、あの腑抜けたユーリの顔!
アカネの心は荒れに荒れていた。
***
目を覚ます。大量の陽の光が森を照らし、あまりの眩しさに目を再び閉じてしまう。
ゆっくりと目を開き、眩しさに目が慣れてきたところで私は下で寝ているユーリを見る。
ぐっすり寝てる。
その姿を確認して何となく安堵する。
それと同時にふと、あることを思い出す。
……ユーリ約束してた、よね。
いくら好ましくないユーリの婚約者と言えど、ユーリに約束を破らせるのは使い魔としてダメだと思いユーリを起こす。
起きたら直ぐに転移すると予想できたため影に潜り込んでおく。
転移後、わずか数秒で始まった2人の世界に思わず魔法を撃ち込んでやろうかと思った。
落ち着け、私。
何故こんなにもイライラとするのか、そんなのはどうでもいいと2人のやり取りをただ影から見つめる。
あ、手を繋いだ。
2人の手がギュッと結ばれるほど私の胸もギュッと締め付けられるように感じる。
何故? わからない。
苦しさから逃れるため私は目を背けるしかなかった。
しばらく私はぼーっと影から見える外の景色を眺めていた。
私とユーリがいた森よりもずっと明るく穏やかな世界。
この世界はきっと平和なのだろう。
少なくとも私にはそう思える。
それは悪いことではないはずなのに、喜ばしさよりも寂しさを感じた。
ユーリならこの気持ちがわかる……?
そんな問いを今はそっと閉まっておく。
景色が一転して目を見張るほどの色鮮やかな花々で埋め尽くされた場所が映し出される。
綺麗……。
こんなにも綺麗な花畑は見たことがなかった。
私が花畑に魅了されているとユーリが空間魔法を使って大きな布を取り出していた。
そう言えば、お昼にするとか言ってたような。
2人の会話を聞いていると突然、ユーリが私の名前を出した。
『アカネも一緒にいいかな?』
驚いて思わず肩をビクッとさせてしまう。
私の名前が出てくるなんて思ってなかった。
『もちろんっ』
私は再び驚いた。
そして何故、という疑問がすぐに浮かび上がる。
私は邪魔なはず……。
よくわからない気持ちのままユーリの顔を見てみると、さっきまでの感情はどこにいったのか怒りが急速に湧き上がる。
何、あの腑抜けたユーリの顔!
毛を逆立てながら私はいつの間にか影から飛び出ていた。
しかし外に出てから急に冷静になった私はどんな顔をして行けばいいのかわからなくなり、ユーリの背にひとまず隠れる。
そしてユーリの背を掴み、ゆっくりと目の前にいる要注意人物を覗き見る。
「アカネちゃん、こんにちは」
悪意のカケラもない明るい笑顔を、確かセレーナとか言う人は私に向ける。
これじゃ私が臆病者みたい……。
それはすごく嫌な気がした。
「一緒にご飯食べよ?」
セレーナが続けて言った。
余裕ってこと?
私は今までにないくらい激しく燃える感情の昂りを感じた。
ここで逃げたら私の負け。ユーリの使い魔に負けは許されない。
私の信条が新たな戦いへと駆り立てる。
「……ん」
負けない。
私は『隣は譲らない』という意味を込めてユーリの真横に座る。
「じゃあ、改めて――いただきます!」
「いただきます」「……いただきます」
今この時、女の戦いの火蓋が切られたことを幸か不幸かユーリは知らないのであった。
読んで頂きありがとうございます!!
物語には直接的な影響はないのですが、書きたくなってしまったので書いちゃいました!
正ヒロインという名のラスbo……げふん、げふん。
セレーナのお話もまた書きたいです!
アカネの心は荒れに荒れていた。
***
目を覚ます。大量の陽の光が森を照らし、あまりの眩しさに目を再び閉じてしまう。
ゆっくりと目を開き、眩しさに目が慣れてきたところで私は下で寝ているユーリを見る。
ぐっすり寝てる。
その姿を確認して何となく安堵する。
それと同時にふと、あることを思い出す。
……ユーリ約束してた、よね。
いくら好ましくないユーリの婚約者と言えど、ユーリに約束を破らせるのは使い魔としてダメだと思いユーリを起こす。
起きたら直ぐに転移すると予想できたため影に潜り込んでおく。
転移後、わずか数秒で始まった2人の世界に思わず魔法を撃ち込んでやろうかと思った。
落ち着け、私。
何故こんなにもイライラとするのか、そんなのはどうでもいいと2人のやり取りをただ影から見つめる。
あ、手を繋いだ。
2人の手がギュッと結ばれるほど私の胸もギュッと締め付けられるように感じる。
何故? わからない。
苦しさから逃れるため私は目を背けるしかなかった。
しばらく私はぼーっと影から見える外の景色を眺めていた。
私とユーリがいた森よりもずっと明るく穏やかな世界。
この世界はきっと平和なのだろう。
少なくとも私にはそう思える。
それは悪いことではないはずなのに、喜ばしさよりも寂しさを感じた。
ユーリならこの気持ちがわかる……?
そんな問いを今はそっと閉まっておく。
景色が一転して目を見張るほどの色鮮やかな花々で埋め尽くされた場所が映し出される。
綺麗……。
こんなにも綺麗な花畑は見たことがなかった。
私が花畑に魅了されているとユーリが空間魔法を使って大きな布を取り出していた。
そう言えば、お昼にするとか言ってたような。
2人の会話を聞いていると突然、ユーリが私の名前を出した。
『アカネも一緒にいいかな?』
驚いて思わず肩をビクッとさせてしまう。
私の名前が出てくるなんて思ってなかった。
『もちろんっ』
私は再び驚いた。
そして何故、という疑問がすぐに浮かび上がる。
私は邪魔なはず……。
よくわからない気持ちのままユーリの顔を見てみると、さっきまでの感情はどこにいったのか怒りが急速に湧き上がる。
何、あの腑抜けたユーリの顔!
毛を逆立てながら私はいつの間にか影から飛び出ていた。
しかし外に出てから急に冷静になった私はどんな顔をして行けばいいのかわからなくなり、ユーリの背にひとまず隠れる。
そしてユーリの背を掴み、ゆっくりと目の前にいる要注意人物を覗き見る。
「アカネちゃん、こんにちは」
悪意のカケラもない明るい笑顔を、確かセレーナとか言う人は私に向ける。
これじゃ私が臆病者みたい……。
それはすごく嫌な気がした。
「一緒にご飯食べよ?」
セレーナが続けて言った。
余裕ってこと?
私は今までにないくらい激しく燃える感情の昂りを感じた。
ここで逃げたら私の負け。ユーリの使い魔に負けは許されない。
私の信条が新たな戦いへと駆り立てる。
「……ん」
負けない。
私は『隣は譲らない』という意味を込めてユーリの真横に座る。
「じゃあ、改めて――いただきます!」
「いただきます」「……いただきます」
今この時、女の戦いの火蓋が切られたことを幸か不幸かユーリは知らないのであった。
読んで頂きありがとうございます!!
物語には直接的な影響はないのですが、書きたくなってしまったので書いちゃいました!
正ヒロインという名のラスbo……げふん、げふん。
セレーナのお話もまた書きたいです!
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