魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
5 影蛇の女王
俺は闇に目を向ける。
急速に巡る酸素は脳をクリアにする。
まずは敵を知ることから。わかっていることは、やつは闇に紛れる能力があるということ。そして、移動速度は特段に速くはない。
速さなら上回ることができる。
魔力感知で敵を探る。
やつは近づいてきている。感じからして、俺がスタミナ切れをしたとでも思っているのだろう。
なら、その隙をつく!
現在、森の中に光はない。只々、黒が埋め尽くす。
「強化」
俺は静寂に支配されたこの場で一人呟く。
強化魔法が俺の全身を強化する。手に、足に、体を構成する筋肉に力が満ちる。
だが、これだけではダメだ。
「雷よ」
俺は雷魔法で雷を纏う。雷光が闇に亀裂を入れる。
雷を纏うことで俺の反応速度、移動速度は極限まで高められる。デメリットは攻撃に使える魔法が一つに限定されてしまうこと。
今行使している魔法は強化と雷。既に二つ発動中だ。俺が同時に行使できる魔法の数は最大で3つ。
問題ない。
俺は神経の先まで集中させるように、深く息を吐く。
魔力感知を使わずとも敵がそこにいることがわかる。
闇の中に一瞬、二つの光が現れる。やつが動いた。
俺はギリギリまで待ち構える。今動けば意味がない。相手の隙を最大限に活かせるタイミングで動くんだ。
闇から現れたのは巨頭の蛇だった。
大きく口を開け、俺を丸呑みするつもりで近づいてくる。こいつが、敵の正体。
大蛇の目と俺の目が合う。
大蛇の目は狩人の、その目だった。
しかし、対する俺の目は怯えきった獲物の目なんかではなく、諦めの文字が一つもない瞳。狩られる者ではなく、むしろ狩る者としての眼光が大蛇を射抜く。
さすがの大蛇も、その目に戸惑いが感じられる。
だが、大蛇は止まらない。現状、優勢なのは大蛇なのだから。自分が狩られる何て微塵も考えていないのだろう。
大蛇の牙が迫る。太く、白く、そして鋭く尖った牙は突き立てた相手の命を確実に絶つだろう。
大蛇が俺を捉え、口を閉じようとしたその時。
俺は動く。
雷の鎧はバチバチと音を立て、その雷光を強くする。
俺は右へ消えたように避ける。
大蛇は開いた口を完全に閉じるが、その中に俺はいない。大蛇は不審に思ったのか辺りを見る。
刹那、俺は巨頭の左側に現れる。
「火よ!」
俺は右拳に炎を纏い、電光石火の如くその巨頭を雷炎の拳で殴りつける。
『ファイアーライジング!』
火魔法と雷魔法による二重魔法だ。右拳を炎と雷が渦巻き、インパクトの瞬間に雷炎が放たれる。威力は十二分。
「シャァーっ!?」
大蛇の頭がその威力に押される。が、大蛇は勢いのまま闇の中へとその姿を消す。
また、消えたか。
今のでやっとわかった。あいつはクイーンシャドースネーク。別名「女王影蛇」。 
影蛇の女王種。影蛇は潜伏と感知に優れた中級魔獣だ。影蛇が一度影へと潜伏してしまえば、中々見つけ出すことはできないという。
また、高い感知能力によって獲物を見つけ出すことができる。影蛇の潜伏と感知の組み合わせは手強い。
そして、女王影蛇はその数段上を超える力をもつ。
中級魔獣の上位種にして、上級ではなく最上級の位。その力は侮れない。
何故、最上級と呼ばれるのか。それ程までに高い潜伏と感知能力があるということ。
魔力が消えた? 逃げたのか? そんなことは無いはず。
「っ!?」
背後に迫る殺気を感じ、俺は低くしゃがむ。
頭上を黒い何かが通り過ぎる。俺の魔力感知では捉えきれない。
何だ!? 女王影蛇の攻撃なのか?
女王影蛇は魔力も遮断できるのかもしれない。これはかなり厄介だ。さっきまでは視覚を頼れない状況でも、魔力感知でどうにかなった。
だが、今はその魔力さえも感じ取れない。
いや、落ち着け。大丈夫だ。
やつが攻撃するときに感じる微かな殺気を捉える。
「ふぅー……」
母さんと修行をしていてよかった。女王影蛇の殺気は単純だ。
きた。
「土よ!」
右後ろから迫る殺気に対して俺は土魔法で壁を作る。
ドガッ!
女王影蛇の攻撃が壁にぶつかった瞬間に俺は後方へと軽く飛ぶ。
やつが闇に紛れる前にもう一度ダメージを与える!
「求めるは火! 深紅の火よ、烈火となりて燃やし尽くせ!」
これは以前、セレーナに魔法を教えていたときに使った魔法。あの時は制御が上手くできなかったが、今は完全に使いこなせている。はず……。
壁のあった辺りに魔法陣が現れる。まだ炎は見えないというのに、ひしひしと感じる熱。
『クリムゾンフレア!!』
魔法陣の中央に収束するエネルギー。次の瞬間、紅い炎が魔法陣から放たれる。特大の火柱が空高く伸びる。
急速に巡る酸素は脳をクリアにする。
まずは敵を知ることから。わかっていることは、やつは闇に紛れる能力があるということ。そして、移動速度は特段に速くはない。
速さなら上回ることができる。
魔力感知で敵を探る。
やつは近づいてきている。感じからして、俺がスタミナ切れをしたとでも思っているのだろう。
なら、その隙をつく!
現在、森の中に光はない。只々、黒が埋め尽くす。
「強化」
俺は静寂に支配されたこの場で一人呟く。
強化魔法が俺の全身を強化する。手に、足に、体を構成する筋肉に力が満ちる。
だが、これだけではダメだ。
「雷よ」
俺は雷魔法で雷を纏う。雷光が闇に亀裂を入れる。
雷を纏うことで俺の反応速度、移動速度は極限まで高められる。デメリットは攻撃に使える魔法が一つに限定されてしまうこと。
今行使している魔法は強化と雷。既に二つ発動中だ。俺が同時に行使できる魔法の数は最大で3つ。
問題ない。
俺は神経の先まで集中させるように、深く息を吐く。
魔力感知を使わずとも敵がそこにいることがわかる。
闇の中に一瞬、二つの光が現れる。やつが動いた。
俺はギリギリまで待ち構える。今動けば意味がない。相手の隙を最大限に活かせるタイミングで動くんだ。
闇から現れたのは巨頭の蛇だった。
大きく口を開け、俺を丸呑みするつもりで近づいてくる。こいつが、敵の正体。
大蛇の目と俺の目が合う。
大蛇の目は狩人の、その目だった。
しかし、対する俺の目は怯えきった獲物の目なんかではなく、諦めの文字が一つもない瞳。狩られる者ではなく、むしろ狩る者としての眼光が大蛇を射抜く。
さすがの大蛇も、その目に戸惑いが感じられる。
だが、大蛇は止まらない。現状、優勢なのは大蛇なのだから。自分が狩られる何て微塵も考えていないのだろう。
大蛇の牙が迫る。太く、白く、そして鋭く尖った牙は突き立てた相手の命を確実に絶つだろう。
大蛇が俺を捉え、口を閉じようとしたその時。
俺は動く。
雷の鎧はバチバチと音を立て、その雷光を強くする。
俺は右へ消えたように避ける。
大蛇は開いた口を完全に閉じるが、その中に俺はいない。大蛇は不審に思ったのか辺りを見る。
刹那、俺は巨頭の左側に現れる。
「火よ!」
俺は右拳に炎を纏い、電光石火の如くその巨頭を雷炎の拳で殴りつける。
『ファイアーライジング!』
火魔法と雷魔法による二重魔法だ。右拳を炎と雷が渦巻き、インパクトの瞬間に雷炎が放たれる。威力は十二分。
「シャァーっ!?」
大蛇の頭がその威力に押される。が、大蛇は勢いのまま闇の中へとその姿を消す。
また、消えたか。
今のでやっとわかった。あいつはクイーンシャドースネーク。別名「女王影蛇」。 
影蛇の女王種。影蛇は潜伏と感知に優れた中級魔獣だ。影蛇が一度影へと潜伏してしまえば、中々見つけ出すことはできないという。
また、高い感知能力によって獲物を見つけ出すことができる。影蛇の潜伏と感知の組み合わせは手強い。
そして、女王影蛇はその数段上を超える力をもつ。
中級魔獣の上位種にして、上級ではなく最上級の位。その力は侮れない。
何故、最上級と呼ばれるのか。それ程までに高い潜伏と感知能力があるということ。
魔力が消えた? 逃げたのか? そんなことは無いはず。
「っ!?」
背後に迫る殺気を感じ、俺は低くしゃがむ。
頭上を黒い何かが通り過ぎる。俺の魔力感知では捉えきれない。
何だ!? 女王影蛇の攻撃なのか?
女王影蛇は魔力も遮断できるのかもしれない。これはかなり厄介だ。さっきまでは視覚を頼れない状況でも、魔力感知でどうにかなった。
だが、今はその魔力さえも感じ取れない。
いや、落ち着け。大丈夫だ。
やつが攻撃するときに感じる微かな殺気を捉える。
「ふぅー……」
母さんと修行をしていてよかった。女王影蛇の殺気は単純だ。
きた。
「土よ!」
右後ろから迫る殺気に対して俺は土魔法で壁を作る。
ドガッ!
女王影蛇の攻撃が壁にぶつかった瞬間に俺は後方へと軽く飛ぶ。
やつが闇に紛れる前にもう一度ダメージを与える!
「求めるは火! 深紅の火よ、烈火となりて燃やし尽くせ!」
これは以前、セレーナに魔法を教えていたときに使った魔法。あの時は制御が上手くできなかったが、今は完全に使いこなせている。はず……。
壁のあった辺りに魔法陣が現れる。まだ炎は見えないというのに、ひしひしと感じる熱。
『クリムゾンフレア!!』
魔法陣の中央に収束するエネルギー。次の瞬間、紅い炎が魔法陣から放たれる。特大の火柱が空高く伸びる。
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