召しませ後宮遊戯~軍師と女官・華仙界種子婚姻譚~

簗瀬 美梨架

エピローグ 召しませ後宮遊戯

華仙界では優しい風が一輪の紅月季を抱いている。その前で紫山茶花は水を与えていた。
「…この華仙界に紅月季はもう芽吹かないと思っていたのですが、さっき華開いたのです」
「ふうん……すごい大輪が残ったねえ」
 柔らかな春の風が吹く中で、紫山茶花が懐かしそうな顔をしている。
「いつかこの枝がまた愛を吸い込み、成熟したら、あの紅月季さまになるかも知れません。私はもう一度あの方に逢える。そんな気がするのです。愛していたのかも知れません」
 蒼杜鵑が空を振り仰ぐ。
「愛…ねえ…まあ、ボクらの命はまだまだ尽きない。地上からの愛を少しでも広めないとね。どういうものか分からないけど…」
 蒼杜鵑が言った。
「世界を変える程の、素晴らしいものだって言うのは分かるよ。時間をかけて、ゆっくりと。理解するために華仙は長生きなのかもね。ボクも誰かを愛したくなった。すべての奇跡は我愛你の名の元にあると知ったからね」

―――――ねえ梨艶。私達がしっかりと愛し合う限り、華仙界は美しい世界でいられるよ。責任重大だよ。喧嘩出来ないね。
 ―――――世界の命運をかけた愛?…
ハ。そんなくらいで俺が怖気づくわけがない。
 ―――――そういうと思ったね。
 ―――――俺が怖気づくとすれば、お前を喪う事だ。愛琳…。

重ねた唇が僅かに離れると少しだけ寂しくなる。だからもっと触れたくなる。その心は瞬時に受け取られる悦びに満ちて、もっと心を温める。きつく抱きしめあった間から、梨艶の発さない声が、愛琳の心に響いた。

 ―――――ならば、今度はこちらから天へ愛を贈ろう。愛琳、我愛你――…。

召しませ後宮遊戯 了

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