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圧倒的と理不尽の戦後

 バルトが負けた。そのことは予想していた通りだった。バルトはその圧倒的な力で勝利を重ねてきたが、カオスゴッドもまた理不尽な力で勝利を重ねてきた。圧倒的と理不尽、比べればどちらが強いかなんて、明白だ。

 しかし、あの圧巻の戦いを見せつけられてしまっては声も出ない。観戦していた他の大ボス達も、皆唖然としている。

 カオスゴッドは沈黙を勝利宣言と受け取ったのか、はたまた勝利を確信していたのかは判らないが、一歩ずつ私の方へと歩いてくる。その体にある外傷といえば、ゾンビメイドの残した腕の欠損だけだ。

 などと考えている内に、気づけば目の前にカオスゴッドが立っていた。

「……」

「えーっと、なんでしょうか?」

 理不尽な力を見せつけられたのと無言で詰め寄られたのとで、思わず敬語を使ってしまった。

「後少しだね。章を重ねた先。この間は思わずでしゃばったけど、刻が来るまでは待って貰うよ」

 唐突に複数の人の声が重なった不愉快で奇っ怪な甲高い声をカオスゴッドが発した。あまりに突然のことだったので、何を言ったのかよく聞き取れなかった。

「今なんて言った……のですか?」

「……」

 疑問を無言で返されてしまった。

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