日本円でダンジョン運営

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巨人の主食

「やっぱりこうなるんですね……」

「がっはっは、仕方ないやんか。ここまで来てくれんとあんたの声がよう聞こえんのや」

 私は今、ワールドイーターの肩の上に乗っている。ワールドイーターに服を摘ままれて宙を移動したから死を覚悟したね。服に命を預けて宙を俯せで高速移動するって、どんなジェットコースターだよ。
 そしてワールドイーターも声がうるさい。なぜそこで笑う。親子揃って似た者同士だな。ちなみに息子の方は街のパトロールをするからと言って去っていった。

「そういや、あっしがわざわざ急かしてここまで来てもらったんやが、なんの用なんや?」

 「ここの前に91階層のカースキング、アドゥルさんに会ってきたんですけど、その時に固有モンスターは前世の記憶を持ってると聞いたのであなたもそうなのかと思いここに来た次第です」

「そうかそうか。そう言うんやったら、あっしには前世の記憶があるんやろうな。あんときと比べてここだと食べるもんに困らないから、あんたにはお世話になっとるで」

 食べるもん?ダンジョン内に食べられるものなんてあったのか?

「あの、ダンジョンの中に食べるものなんてありますか?」

「あるもなにも、そこらじゅうに魔力が満ちてるやろ。巨人は魔力さえあれば生きて生けるんや。あっしが空気に満ちてる魔力だけで満腹になったのはここが初めてやがな。そもそも満腹になったのが初めてや」

 なるほど、魔力を食べて生きているなら納得だ。もう今となっては昔のことのように感じるが、神の使いを名乗る男が、ダンジョン内の魔力は現在の資産に比例すると言っていた。今の私の資産は少し使ったけどまだ残っているので、魔力がダンジョン内に満ちているのだろう。

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