「初心者VRMMO(仮)」小話部屋
カナリアのイースター その3
結局、このメンバーでクエストを回ることになった。
「こっちのウサギさんって、卵から生まれるんだねぇ」
専用フィールドでのほほんと言うのは、もちろんカナリアである。
目の前の卵がいきなり割れてイースターラビットが出て来た時の感想だったりするのだが。
「Little Lady、少し違うかな。イースターにはウサギと卵というのは外せない。イースターというのは、キリスト教圏ではキリストが処刑された後に復活したその日を祝うものだからね」
「キリストの復活に卵とウサギさんって関係あるんですか?」
「端的に言ってしまえば、卵は生命の始まり。そして時を経て殻を割って産まれてくるという様子が、復活を表す。そしてウサギは多産であることから、豊饒や繁栄のシンボルとされているんだよ。
そしてイースターエッグを生んだのがウサギであるという伝承から、二つは切り離せないんだ」
ふんふんふん。
カナリアが聞くからこそ、簡単にでもクリスは教える。そしてそのおこぼれに預かる、イッセンとリリアーヌである。
二人からしてみれば「そんなもの」とか「どこかの行事」という風にしか見ていなかったのだが、カナリアは「何故、どうして」という疑問をぶつけてくる。敢えて今までそのままにしていたことが、カナリアのおかげで知ることが出来る。
<講義はここまで! ハントの始まりだ!>
ルーファスの掛け声とともに、ロイドとイッセンがヘイトを稼ぐために、攻撃を仕掛けた。
そして、カナリアと言えば。
例の如く、採取をしようとしてリリアーヌに止められていた。ここに採取できるようなポイントは一切ないのである。
「……そう、なの?」
「うん。今回はイベント限定フィールドだからね。終わった後にドロップしたイースターエッグを拾って終わりだよ」
「そっか」
しょんぼりとしたカナリアを宥め回復薬に任命し、これまた前線へと向かって行った。
「『TabTapS!』は専用フィールドなんて存在しないからね。さて、私も暴れまわるから、全員のHPだけはしっかり把握して欲しい。それから、自分の周りにも気を付けて」
「はいっ!」
「まったく。誰もかれもがLittle Ladyに甘すぎる。私も人のことが言えないけど」
本来、どう動くべきかなど教えるプレイヤーなどいないのである。
気心が知れすぎた者どうしなら、先ほどのカナリアの動きとて笑い話で終わる。だからと言って開始早々やらないのがマナーというものである。プレイヤーによっては激怒してしまうものもいるだろう。
「だって、今日おれの我侭でこっち連れてきたんだもん。それくらい許容してくれる人と組むさ」
クリスの呟きが聞こえたイッセンから、そう返された。
「未だヘイトの稼ぎ方とか、分かってないし」
「……それもどうなのだろうね」
続けざまに言われた言葉に、クリスはそれしか言えなかった。
「こっちのウサギさんって、卵から生まれるんだねぇ」
専用フィールドでのほほんと言うのは、もちろんカナリアである。
目の前の卵がいきなり割れてイースターラビットが出て来た時の感想だったりするのだが。
「Little Lady、少し違うかな。イースターにはウサギと卵というのは外せない。イースターというのは、キリスト教圏ではキリストが処刑された後に復活したその日を祝うものだからね」
「キリストの復活に卵とウサギさんって関係あるんですか?」
「端的に言ってしまえば、卵は生命の始まり。そして時を経て殻を割って産まれてくるという様子が、復活を表す。そしてウサギは多産であることから、豊饒や繁栄のシンボルとされているんだよ。
そしてイースターエッグを生んだのがウサギであるという伝承から、二つは切り離せないんだ」
ふんふんふん。
カナリアが聞くからこそ、簡単にでもクリスは教える。そしてそのおこぼれに預かる、イッセンとリリアーヌである。
二人からしてみれば「そんなもの」とか「どこかの行事」という風にしか見ていなかったのだが、カナリアは「何故、どうして」という疑問をぶつけてくる。敢えて今までそのままにしていたことが、カナリアのおかげで知ることが出来る。
<講義はここまで! ハントの始まりだ!>
ルーファスの掛け声とともに、ロイドとイッセンがヘイトを稼ぐために、攻撃を仕掛けた。
そして、カナリアと言えば。
例の如く、採取をしようとしてリリアーヌに止められていた。ここに採取できるようなポイントは一切ないのである。
「……そう、なの?」
「うん。今回はイベント限定フィールドだからね。終わった後にドロップしたイースターエッグを拾って終わりだよ」
「そっか」
しょんぼりとしたカナリアを宥め回復薬に任命し、これまた前線へと向かって行った。
「『TabTapS!』は専用フィールドなんて存在しないからね。さて、私も暴れまわるから、全員のHPだけはしっかり把握して欲しい。それから、自分の周りにも気を付けて」
「はいっ!」
「まったく。誰もかれもがLittle Ladyに甘すぎる。私も人のことが言えないけど」
本来、どう動くべきかなど教えるプレイヤーなどいないのである。
気心が知れすぎた者どうしなら、先ほどのカナリアの動きとて笑い話で終わる。だからと言って開始早々やらないのがマナーというものである。プレイヤーによっては激怒してしまうものもいるだろう。
「だって、今日おれの我侭でこっち連れてきたんだもん。それくらい許容してくれる人と組むさ」
クリスの呟きが聞こえたイッセンから、そう返された。
「未だヘイトの稼ぎ方とか、分かってないし」
「……それもどうなのだろうね」
続けざまに言われた言葉に、クリスはそれしか言えなかった。
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