「初心者VRMMO(仮)」小話部屋

神無乃愛

カナリアのイースター その2


<彼女を温かく見守れる……となるとよほどのベテランか、物好きだな>
<同意するよ。ただ、イースターバニーになって貰って、ああやって動いてもらえたら和むね>
<スクショが飛び回るくらいな>
 などとロイドとルーファスは話している。その間にもイッセンとリリアーヌは二人にフィールド等での動き方を説明していた。
<面白いスレッドが立っていると報告があってきたら、Little Ladyがこちらにきていたのか>
<!!>
 唐突に後ろから声をかけられ、二人はさすがベテランというべきか、すぐさま剣を抜いていた。

<あ、そんなに警戒しなくていいよ。こちらでは初めましてだね。Little LadyにCheerful guy、Fraeulein>
「げ」
 その呼び名で三人を呼ぶのは一人しかいない。
<そんなに嫌そうにしないでくれたまえ>
<なんであんたがいるのさ>
<え? このゲームのアカウント持ってるからこうやって来てるんだけど>
<イッセン、知り合いか?>
<知り合いの括りにいれたくない>
 うんうんと、リリアーヌが頷いていた。一人、誰だか分かっていないカナリアだけが、キョトンとしている。
「酷いな、三人とも」
 そして男はクリスと名乗った。

「私なら、君たちの言う『ベテラン』という括りにも、Little Ladyの予測不能な動きにも慣れているが」
「登録サーバは」
「勿論Britainだよ」
「断る理由がないじゃんか! ジャッジさんにばれたら俺らがしばかれる!」
 頭を抱えつつ、イッセンが抗議した。……が、クリスはどこ吹く風である。
「Little Ladyに頼めば大丈夫だよ。私からも言っておくから。それ以前にあちらでイースターバニーコスチュームを見せたら、一気に機嫌が直ると思うけど」
「それはそれで、み……カナリアに危険ががが」
「My dear sonはそこまで酷いのか」
「だから困ってんじゃんか」
「私の方であの子のプライベートメールに入れておくからいいよ。『Little Ladyを見かけたから、一緒にクエストに行ってくる』って」
 あえてどこの、と言わないあたりに悪意を感じてしまうのだが。

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