「初心者VRMMO(仮)」小話部屋
猫の日&忍者の日SS
忍者でにゃんこ
マリル諸島では「忍者の日」ということもあり、どこもかしこも忍び装束のプレイヤーが多い。この日のためにと、ジャスティスに忍び装束を依頼したプレイヤーもいたくらいである。
「おい、砂〇け婆。その恰好はなんだ」
一応忍び装束に身を包んでいるはずのクィーンに向かってジャッジが言葉を投げかけた。
「今日は忍者の日でもあるが、猫の日でもあるからの。三毛猫模様の忍び装束じゃ」
というものの、二股に分かれた猫尻尾とフードには猫耳が鎮座している。
「かわゆいであろ?」
「なんであんたが着ているんだ!! それをデザインしたのは俺で、カナリアに着せるつもりだったんだぞ!!」
そう、このデザインをジャスティスの工房に持ち込んだのはジャッジである。
そして、今日カナリアに着せるつもりで嬉々としてログインした……はずだった。
「カナリアにはかわゆいウサ耳がついておる。あれを外すは愚の骨頂じゃ」
それは認めるが、カナリアのネコ姿も見たかったのだ。
そして、現在マリル諸島では忍びスタイルのコンテストもある。優勝を目指していたのだ。
優勝者には、景品として限定フィールドが貰える。そこにカナリアと籠るつもりだった。
つい先ほどまで目の前にいたはずのクィーンは、少し目を離したすきに消えた、と思ったら後ろに回りまたしても首筋に扇子があてられていた。
余談だが「カエルム」内限定で、クィーンとアントニーから首筋に扇子をあてられると「ゲームオーバー」扱いになる時がある。
二人に言わせれば「それだけ隙があり、もしこれば真剣であれば首が刎ねられている」ということらしい。
「というわけで、現実世界の時間で一時間ほど頭を冷やしてまいれ」
「くそっ」
一度も気づけたためしがない。
どんな気配の絶ち方をしているのか、問いただしたくなる。
そして、ジャッジが戻る頃にはコンテストが開始されており。
何故かクィーンの優勝が決定していた。
「解せぬ」
思わずぼやいたジャッジに、ディッチが乾いた笑いを浮かべていた。
「仕方ないだろうが。あのお方は猫以上に気配を絶てるんだ。挙句、コンテスト会場の屋根の上からの登場。しかも、他の忍びスタイルのやつらの背後全部取ったし、マリル諸島で『忍者』をうたっているやつらの上をいったんだ。満場一致で二次審査なしで決定だったぞ」
「……カナリアだって単独優勝できたのに」
「お前ね。俺だったらあの格好をしたユーリを他の男どもになんて見せたくないな」
「ディッチさん、何言ってんっすか。あの中には猫尻尾付きのビキニ水着を用意して……」
またしても背後から首筋に扇子があてられた。
「どうせ、限定フィールド内でいちゃこらしようと思うていたのであろ? 我がさせると思うのか?」
「デスヨねー」
クィーンの言葉にうんうんと頷くディッチ。
自称カナリアの「保護者」たちはそういったことに厳しいのだ。
そして、有無を言わさずクィーンはジャッジを限定フィールドに放り込んだ。
「しばし反省しておれ」
それだけ言うと、フィールドの入り口をあっさりと閉じたのだった。
マリル諸島では「忍者の日」ということもあり、どこもかしこも忍び装束のプレイヤーが多い。この日のためにと、ジャスティスに忍び装束を依頼したプレイヤーもいたくらいである。
「おい、砂〇け婆。その恰好はなんだ」
一応忍び装束に身を包んでいるはずのクィーンに向かってジャッジが言葉を投げかけた。
「今日は忍者の日でもあるが、猫の日でもあるからの。三毛猫模様の忍び装束じゃ」
というものの、二股に分かれた猫尻尾とフードには猫耳が鎮座している。
「かわゆいであろ?」
「なんであんたが着ているんだ!! それをデザインしたのは俺で、カナリアに着せるつもりだったんだぞ!!」
そう、このデザインをジャスティスの工房に持ち込んだのはジャッジである。
そして、今日カナリアに着せるつもりで嬉々としてログインした……はずだった。
「カナリアにはかわゆいウサ耳がついておる。あれを外すは愚の骨頂じゃ」
それは認めるが、カナリアのネコ姿も見たかったのだ。
そして、現在マリル諸島では忍びスタイルのコンテストもある。優勝を目指していたのだ。
優勝者には、景品として限定フィールドが貰える。そこにカナリアと籠るつもりだった。
つい先ほどまで目の前にいたはずのクィーンは、少し目を離したすきに消えた、と思ったら後ろに回りまたしても首筋に扇子があてられていた。
余談だが「カエルム」内限定で、クィーンとアントニーから首筋に扇子をあてられると「ゲームオーバー」扱いになる時がある。
二人に言わせれば「それだけ隙があり、もしこれば真剣であれば首が刎ねられている」ということらしい。
「というわけで、現実世界の時間で一時間ほど頭を冷やしてまいれ」
「くそっ」
一度も気づけたためしがない。
どんな気配の絶ち方をしているのか、問いただしたくなる。
そして、ジャッジが戻る頃にはコンテストが開始されており。
何故かクィーンの優勝が決定していた。
「解せぬ」
思わずぼやいたジャッジに、ディッチが乾いた笑いを浮かべていた。
「仕方ないだろうが。あのお方は猫以上に気配を絶てるんだ。挙句、コンテスト会場の屋根の上からの登場。しかも、他の忍びスタイルのやつらの背後全部取ったし、マリル諸島で『忍者』をうたっているやつらの上をいったんだ。満場一致で二次審査なしで決定だったぞ」
「……カナリアだって単独優勝できたのに」
「お前ね。俺だったらあの格好をしたユーリを他の男どもになんて見せたくないな」
「ディッチさん、何言ってんっすか。あの中には猫尻尾付きのビキニ水着を用意して……」
またしても背後から首筋に扇子があてられた。
「どうせ、限定フィールド内でいちゃこらしようと思うていたのであろ? 我がさせると思うのか?」
「デスヨねー」
クィーンの言葉にうんうんと頷くディッチ。
自称カナリアの「保護者」たちはそういったことに厳しいのだ。
そして、有無を言わさずクィーンはジャッジを限定フィールドに放り込んだ。
「しばし反省しておれ」
それだけ言うと、フィールドの入り口をあっさりと閉じたのだった。
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