「初心者VRMMO(仮)」小話部屋
良平の災難 その三
「やっほー」
「スカーレットさん!!」
晴香こと、スカーレットがログインするのも久しぶりだった。
「先生、大丈夫だったんですか?」
「問題なし! 今日から学校行ったみたいだし」
良平ことディッチがぎっくり腰になったと聞いて、心配したのはカナリアのみ。そんなカナリアは、未だディッチがログインできないためにスカーレットに聞いてきたのだ。
「ディッチさんも年相応になったってことだよな」
「無駄に元気なんだよ、あの人」
元教え子たちは言いたい放題だった。
そして、今日良平の身に起きた出来事を笑い話として披露した。
「マジか!」
「きつくベルト締めすぎだと思うけどね」
タカが、理由にあたりをつけていた。
「せめて下着の上からじゃないと、あれは難しいからね」
「じゃあ、せり上がらないために、股下から押さえるといいんでしょうか?」
カナリアがキョトンとした顔で己の考えを披露した。……その瞬間、男たちの顔が痛々しいものに変わった。
「カナリア、それするとまず用足しが大変だな。そのあと再度ベルト調節となるとかなりの手間。それからもう一つ言うなれば、だんだんせり上がった時点で痛い」
ジャッジが代表して説明を始めた。
「その部分だけ開けたって、股が痛いと思うぞ」
付け足したのはジャスティス。残る面々は何度も頷く。
「多分、女性のボディスーツのほうが、そんなベルトよりもましよ。あれだって大変なのよ」
そんなことを言うのは、ママンだ。
「つかさ、腰痛ベルトのことをコルセットっていうけどさ、マジでぎゅっと逝くもんなんだね」
リリアーヌが呟いた。逝くに聞こえたのは、スカーレットだけではないはずである。
「中世のドレス用コルセットは、最初からみっちり締め付けるからな。まともに飯も食えんぞ」
ディスカスのジェスチャーしながらによる説明に、全員が押し黙った。
後日。カナリアの突拍子もない話を聞いた良平は……
「そんなもんつけてて、せり上がったとこで締まったら、気絶するわ!」
と叫んだという。
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