気分屋文庫

有賀尋

I don't believe fate

「シャンパンいただきましたー!」

俺はホストクラブで働いている。
キャストは全員Ω、相手は金持ちのαかそれに引っ張られてきたβ。
俺は好きでこの仕事をしてるわけじゃない。
正直αなんて大っ嫌いだし、ただの金ヅルだと思ってるし、運命の番なんていないと思ってる。

俺はαの父親とΩの母親との間に生まれた。
母に聞いたら、俺がΩだと分かって番を解消して出て行ったらしい。それで母は苦しんだ。
Ω特有の発情期が今までよりもひどい方向で再発し、誰とも番になれなくなった。そんなΩを雇う会社はまずない。生活は貧しかった。貯金も母親の薬に消えた。少しでも力になりたくて、バイトもしたけど、Ωだからと断られたりもした。そうなってくると何が出来るのか。

簡単だ、体を売ればいい。

そういう店で仕事として体を売って少しでも稼ぐ。そうしてきた。高校を卒業して、直ぐにホストクラブで働き始めた。
キラキラとした店は嫌いだ。でも、生活するにはここしかない。特にこの体の俺は尚更。
嫌でもαを求めてしまう。こんな体も嫌いだ。

こんなもの、なければいいのに。

何度そう願っただろう。

だけど、俺は見つけてしまった。

「運命の番」とやらを。

相手も分かったみたいだった。それもそうだろう、バッチリ目が合ってしまったんだから。

「...貴方が...俺の...」

はっと言いかけて口を噤む。

俺は何を言いかけた?
そんなもの信じちゃいけないと分かっているのに。

俺は逃げるようにその場を後にした。
惹かれたくない。
でも見つけてしまった。

...あの人は...俺を...変えてくれるのかな...


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