初心者がVRMMOをやります(仮)
またしても新素材
少しばかり騒動が落ち着いてきたころ、またしても新素材が出てきた。こうなると喜ぶのがカエルムである。
「今回の新素材は何かね」
聞いてからでないと、調査するのも難しい。
「スパイダーシルクの巣だと思って突っ込んだら、武器が切断されたんだと。別のところでは、巣にぶつかったプレイヤーが死に戻りしたらしい」
「元ネタが色々あるから大丈夫だな。で、何かに仕えそうなのか?」
「カナリア離脱。テグス扱いしようとしたら、ビーズが全滅したらしい。憤慨しているが、元はスパイダーだからな。どうでもいいとさ」
「珍しい」
「その巣にいるスパイダーも凶暴なんだよ。倒す気力も、テイムする気力もないとさ」
ディスカスの報告に、カナリアらしいとディッチは思った。逆に燃えているのが、ディスカス、ジャスティス、スカーレットの三人だ。
「どうすんだ?」
「レットは錬金術で使いやすく出来ないか考えるみたいだな。俺もジャスもその結果が出てからでないと動けない」
「その前に量産できるほど採取できるかが問題だろ」
「それな」
触れればあらゆるものを切り刻むという、その糸。よくぞカナリアが扱えたと感心してしまう。
「少量落ちたやつなら、『これはただの糸だ』と思えば普通に触れる。ところが切り刻むところを見てしまうと、厄介な糸になる」
「……使わせる気ないだろ」
「俺も思った」
どんな暗示だ。しかも、先ほどタブレットに運営からメッセージが来た。
曰く。
「新素材の糸をうまく扱えたら、願い事を一つ叶えようじゃないか。ただし、期限は現実世界の一か月後まで」
らしい。
「カナリア君は離脱、と。他はどうする?」
「俺としちゃ、糸を武器として扱うのも楽しそうだから、参加で」
「防具に組み込めれば、相手の武器を無効化できそうだよな」
「トラップとして考えれば、最高だな」
「やるに決まってるでしょ」
ディッチの問いに、ディスカス、ジャスティス、ジャッジ、スカーレットがあっさりと言い放った。
逆に、イッセン、リリアーヌは参加しないらしい。
今いるペットだけで充分、というあたり室内飼いを想定しているようだ。
「……ん?」
「それじゃね?」
「まずはどうやってでも確保か」
素材として使えるようになってからテイムを考えていたが、逆の発想もありかもしれない。
そのためには捕獲せねばならないのだが、巣に近づくことも出来ず四苦八苦することとなった。
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