初心者がVRMMOをやります(仮)
似たもの親子
クリスのHPが残り五%をきり、シュウは勝利を確信したその時だった。
「油断は禁物だよ、坊や」
前にいたはずのクリスの声が後ろからした。
振り返ったその時、本来であれば己と一緒に動くはずのタブレットが動きを止めていたことに気づかなかった。
そして、己の剣でタブレットを斬った。
「なっ!?」
そしてすぐさま爆発、シュウのHPがあっという間に半分以下になった。
「ありがとう。おかげで回復薬を使わずにHPを回復できたよ」
気が付くと手に持っていた剣はボロボロになっており、使い物にならなくなっていた。
「My dear sonが相手だと、こんな簡単な手段はとれないんだけどね」
そしてそのままシュウを蹴り上げてきた。
「ぐはぁっ……」
数発の蹴りをまともに食らったシュウは、すでに身動きすらできなかった。
「手ごたえがなさすぎだよ、坊や。ステータスすら気づけないって、どれだけ間抜けなの? おそらく坊やよりも、外の人の方が分かっているだろうから言っちゃうけど、各ステータスは通常の十分の一以下になってるよ」
いつの間にそんなものを仕込んだというのか。
「いつ? そんなもの、最初に決まってるじゃないか。私はプログラマーだよ。規律に違反しない程度のプログラムはいつでも組めるということを忘れていないかい? 坊やが二つのタブレットを破壊したことが鍵になっているだけだよ」
再度、クリスは蹴り上げてくる。
「愚かだね。坊やはとても弱い」
くすくすと楽しそうに笑う声が聞こえる。
「誰かに守られるのが当たり前だと思っている。誰かの力が自分のものだと思い込んでいる」
ぱしゃりと水がかけられた。
「Hポーションだよ。もう少しだけ付き合ってもらいたいからね」
Hポーションは基本飲むことによって効果を得るが、それ以外でも効果は薄れるが回復する。
「な……」
「正直、私は坊やに興味はない。視界に入ったとしてもどうでもいいんだけどね。……My dear sonがさ、犯罪に手を染めて欲しくないし。Little ladyが怯えるのも見たくないし」
そう言って今度は鳩尾を踏みつけてきた。
「がはっ……」
「現実じゃなくてよかったね。My dear sonが再起不能にするところだよ」
そのあとシュウはブラックアウトした。
「力に驕った弱者が。ふざけるのも大概にしろ」
クリスの声はPvPのアナウンスで誰にも聞かれることはなかった。
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