初心者がVRMMOをやります(仮)
赤い女性
クエスト報酬も受け取り、ジャスティスの工房に戻ってきた。
既にセバスチャンにより、食事の用意は出来ている。
「……『大蜘蛛の体液』か。これは錬金専用素材だよな」
全員のバッグから取り出された取得アイテムを見ながら、ジャスティスが呟いた。
「『大蜘蛛の体液』は、『錬金術師』が変換することによって、薬液になる。錬金素材の中でも上級のものだ」
追加で説明をしたのは、ディッチだった。カナリアはそんなものもあるのかと、軽くメモをしていた。
しかもこの薬液、すぐさま錬金しないとだめなのだとか。鞄の保管が効かないアイテムというのもあるということを、カナリアは初めて知ることになる。
「さてと、どうしたもんかね。……レットが欲しがってたが」
「レットしか使えないだろ。あいつは俺らが知る中で超一級の錬金術師だ」
「すぐに呼ばないと使えなくなるだろ」
「レットなら呼ばれればすぐに『飛んで』来るぞ」
カナリアを除く四人が思い思いに話していた。
「カナリア。少しの間隠れていろ」
ジャッジが唐突に言う。
「錬金のことで紹介しようとは思ってたが、癖が強いからな。何せ、ディッチさんの妹だ」
「先生の妹さんですか!?」
「リアル妹なんだが、かなりな奇人・変人なんだ。カナリアにディッチさん以上の絡み方をするのは……」
「あら、誰が奇人・変人なのかな? ジャッジ君」
驚いたようにジャッジが言葉を切った瞬間、カナリアを後ろから抱きしめる女性がいた。
女性、と分かったのは胸の柔らかさが鎧の上からも分かったからだ。
恐る恐る後ろを見ると、赤い髪に赤い瞳、そして赤の鎧を来た女性が立っていた。
「はぁい。兄貴に言われて飛んできた。『大蜘蛛の体液』が手に入ったんですって?」
「ほれ、これだ」
「まぁぁぁ!! すぐに錬金しないと! またあとでね」
嵐のような勢いで去っていった。
「……えっと」
何を話そうかと全員が固まっていると、ぴこん、とカナリアのタブレットが鳴った。
――スカーレットさんよりフレンド申請がきています。受領しますか?――
スカーレットって誰だろう? あのクエストの最中にもたくさんのフレンド申請が着ており、誰なのか分からずにいると「保留できる」とディスカスに言われ、そのままにしてある。
「どどど、どうしましょう……」
「任せる」
さらりとジャッジが言う。
「どっちにしても連休中に会わせる予定はしてたんだ。錬金のことを聞くには一番だと思ったからな」
そういうことならと、思わずカナリアは申請を受領した。
それを少しばかり後悔することになる。
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