初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

「死に戻り」のペナルティ


 どこからともなく、「後ろ」という叫び声を聞いて、全員が一瞬だけ振り返った。
 ドラゴンがこちらをロックオンしたのだ。そして、上空には鳥のようなものが連なっている。両方が一度に攻撃してくればまずいのは分かりきっている。既にカナリアのMポーションは枯渇しており、町の住民たちもさすがに門から逃げ出している。
「カナリア君。今の状況を四字熟語で言うなら?」
「絶体絶命?」
「他には?」
「四面楚歌?」
「そのとおり!!」
「んな授業やってる場合じゃない! くそ兄貴!!」
「久方ぶりに『死に戻り』を経験しますか」
 にやりとジャスティスが笑う。
「しかも空はグリフォンに乗った『深窓の宴』メンバーだ。証拠隠滅されるな、こりゃ」
 ジャッジまでもが軽く言う。
「カナリア君。『死に戻り』をした場合、緊急クエストで得た経験値は貰えず、ドロップしたアイテムもここにおいていく形になる。そして、バッグに入っている一部のものも消えるし、ペナルティとしてLVも下がる場合がある。覚えておくといい」
「はい」
「おそらくだが、『死に戻り』で俺たちが出てくる場所に、『深窓の宴』メンバーが張り付いている可能性もある。……何度も殺される可能性がある。だから、死ぬ順番を決めておく」
「先生!」
「まずはレット、それから俺。そしてカナリア君。……他三人はなるべく同時で」
「了解!!」
 カナリア以外が賛同した。
「さて、久しぶりの『死に戻り』。楽しんでやる!!」
 スカーレットが特攻をかけるために日本刀をしまった。

 丁度その時。
 グリフォンが急降下してきた。
「カナリア君!」
「カナリア!」
「カナリアちゃん!」
 あっという間にグリフォンに乗っている人物に、カナリアは上空へと連れ去られた。

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