初心者がVRMMOをやります(仮)
カナリア、缶詰になる
舞踏会クエストが終わったからといって、以前と同じようには動けなかった。
以前よりもかなり多く入ってくる製作依頼は、リハビリを兼ねてやっていると全く進まないのだ。
だから、今日も「初心者の町」にあるジャッジとカナリアの拠点で必死に作業をしている。
「……カナリア。何かクエスト行くか?」
「行きたいですぅぅぅ!! ものすっごく行きたいです! だって、やっと『全状態異常無効化』のエンチャントがついたブレスレットが出来たんですよ!? 『メンモドキ』が楽に採取できるんですよ!? この依頼がなかったら真っ先に行きたいと思ってます!!」
ついでにどれくらい効果があるのか、自分で確かめたいし!
気をつかって声をかけてくれたはずのジャッジに、カナリアは思わずまくし立てた。
「……うっわぁ。少し依頼の量セーブしないとお前、クエスト行けないぞ」
依頼の量を見たジャッジが呆れている。
「セバスチャンにも言われました! これでも少しお断りしたりしてるんです!」
「『少し』じゃ無理だろ、これ。……ったく、もう少し肩の力が抜けるようになってから、依頼が来た方がいいんだがなぁ」
「……ジャッジさんと一緒にいるのに、デートらしいことも出来ないし、……ちょっと寂しいです」
カナリアのもう一つの本音でもある。現実世界では、外に出るのが難しいためせめてゲームの中だけでもと思っている。
「カナリア……たまに俺の理性を試してるよな?」
「?」
本音を伝えると大体こう言われてしまうが、カナリアはよく分からない。
「……お前の無自覚さを甘く見てた。もうすぐログアウトする時間だぞ」
「えぇぇぇ!?」
ログインして、現実世界の時間にて四時間。セバスチャンとジャッジが無理矢理取らせた休憩以外、ずっと作業をしている。
「諦めろ。砂○け婆様がこれ以上やってると、ゲームを一日禁止するって言ってたじゃないか」
「……そうでした」
「少し休んで、陰険策士様に付き合って、それからまた許可が下りたらゲームにログインすればいい」
「ジャッジさんは?」
「マープルばあさんから頼まれたものを仕上げる」
その言葉に、カナリアははっとした。直接祖母と会えない今、ジャッジに頼むしかないのだ。
そのプレゼントはまだ出来上がっていない。
「カナリア、頑張る必要のないところでまで、頑張るなよ」
「はいっ」
余談ではあるが。
仕事量をセーブしているにも関わらず、依頼が増える理由はカナリアにある。どんな依頼も手を抜くことなく、必死になっ手作業で作っている。例外としてタブレットを介して作るのは、小さなビーズなどのみ。
通常のPCであれば、依頼の量が増えればタブレットの使用頻度が上がり、エンチャントがつきにくくなるという弊害がある。それが起きないと、うわさがうわさを呼んでいたのだ。
「初心者の町」のギルドカウンターの社員たちも仕事を減らすようあの手この手を講じているが、難しいのが現状だった。
ある意味自業自得と言えたかもしれない。
以前よりもかなり多く入ってくる製作依頼は、リハビリを兼ねてやっていると全く進まないのだ。
だから、今日も「初心者の町」にあるジャッジとカナリアの拠点で必死に作業をしている。
「……カナリア。何かクエスト行くか?」
「行きたいですぅぅぅ!! ものすっごく行きたいです! だって、やっと『全状態異常無効化』のエンチャントがついたブレスレットが出来たんですよ!? 『メンモドキ』が楽に採取できるんですよ!? この依頼がなかったら真っ先に行きたいと思ってます!!」
ついでにどれくらい効果があるのか、自分で確かめたいし!
気をつかって声をかけてくれたはずのジャッジに、カナリアは思わずまくし立てた。
「……うっわぁ。少し依頼の量セーブしないとお前、クエスト行けないぞ」
依頼の量を見たジャッジが呆れている。
「セバスチャンにも言われました! これでも少しお断りしたりしてるんです!」
「『少し』じゃ無理だろ、これ。……ったく、もう少し肩の力が抜けるようになってから、依頼が来た方がいいんだがなぁ」
「……ジャッジさんと一緒にいるのに、デートらしいことも出来ないし、……ちょっと寂しいです」
カナリアのもう一つの本音でもある。現実世界では、外に出るのが難しいためせめてゲームの中だけでもと思っている。
「カナリア……たまに俺の理性を試してるよな?」
「?」
本音を伝えると大体こう言われてしまうが、カナリアはよく分からない。
「……お前の無自覚さを甘く見てた。もうすぐログアウトする時間だぞ」
「えぇぇぇ!?」
ログインして、現実世界の時間にて四時間。セバスチャンとジャッジが無理矢理取らせた休憩以外、ずっと作業をしている。
「諦めろ。砂○け婆様がこれ以上やってると、ゲームを一日禁止するって言ってたじゃないか」
「……そうでした」
「少し休んで、陰険策士様に付き合って、それからまた許可が下りたらゲームにログインすればいい」
「ジャッジさんは?」
「マープルばあさんから頼まれたものを仕上げる」
その言葉に、カナリアははっとした。直接祖母と会えない今、ジャッジに頼むしかないのだ。
そのプレゼントはまだ出来上がっていない。
「カナリア、頑張る必要のないところでまで、頑張るなよ」
「はいっ」
余談ではあるが。
仕事量をセーブしているにも関わらず、依頼が増える理由はカナリアにある。どんな依頼も手を抜くことなく、必死になっ手作業で作っている。例外としてタブレットを介して作るのは、小さなビーズなどのみ。
通常のPCであれば、依頼の量が増えればタブレットの使用頻度が上がり、エンチャントがつきにくくなるという弊害がある。それが起きないと、うわさがうわさを呼んでいたのだ。
「初心者の町」のギルドカウンターの社員たちも仕事を減らすようあの手この手を講じているが、難しいのが現状だった。
ある意味自業自得と言えたかもしれない。
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