初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

再ログインと……


 かなり期間を空けてのログインは、大事をとってあまり長時間にならないようにと、通達があった。
「巫女、酷い。暫くと言うから我慢したのに……」
「ユニちゃんごめんなさい」
 拠点で不貞腐れていた兎のぬいぐるみに声をかけた。
「ユニちゃん、ちょっとギルド本拠地に行くから、一緒に行こう?」
「我が大きくなって乗せるぞ!」
「ユニちゃんはそのままで大丈夫」
 そしてジャッジへと視線をうつすと、ジャッジはユニの耳を掴んで引き摺り始めた。
「貴様! 我に何をするか!」
「久しぶりの抱擁は認めたんだ。大人しく引き摺られてろ」
「痛い! 我の尻が!!」
「ジャッジさん!」
 カナリアも慌てて抱きかかえようとしたが、あと一歩のところで叶わず、拠点までユニは引き摺られることになった。

「こやつ酷い男だ! しかも心が狭い!! 巫女には相応しく……」
「ほほう?」
「ぬいぐるみと争うって、低レベルだぞ。ジャッジ」
「ユウ。こいつはぬいぐるみじゃなく、一角兎。しかも羽があるやつだ」
 しれっとジャッジがユウに答えていた。ユウは隆二の使うキャラクターで、犬耳を持つ。やっとユウに指摘され犬耳ではなく、人狼族だと分かった。……ちなみに、ユウこと隆二の父親が使うキャラクターはアントニーと同じ鬼族で、名前はタカだという。「親父がタカだからね。相棒として?」とユウが言っていたが、意味が分からなかった。

「あ、そうそう。カナリアその服重くない?」
 唐突にディスカスがカナリアに話しかけてきた。
「いえ。軽いですけど、アクセサリーの作業には不向きです」
 あれからずっと十二単風の白い衣装のままだ。他のを着ようとするものの、巫女として仕事する時はこの服が必須らしく、いつ巫女としての仕事をするか分からないため、そのままである。
「ほれ、ディッチにも言っておいたが、新しい服。魔法の言葉を唱えると、いつでもこの白い衣装になれるようジャスとレットで作ったやつだ。で、こちらが新しい杖だ」
 そう言って渡された服はワンピースで、杖は上に三日月があり、その下に円のようなもの、そしてもち手は二十センチくらいの小さなものだった。
「……おい、これ……」
 ユウが引きつった顔で驚いていたが、ディスカスにすぐ着るように言われその場をあとにした。

「……お、お待たせ、しました」
 ただのワンピースだと思い込んで着てしまったのが間違いだった。青のセーラーカラーに白の身体にフィットした身頃、そして同じく青のプリーツの目立つミニスカートワンピースだった。しかも、ノースリーブな上にリボンは赤。リボンにも杖についている円のようなブローチがついていた。
「これなら作業には支障をきたさない! そして唱える呪文はこうだ。『ムーンプリ……』」
「あんたそれ、やばいから!!」
 即座にユウがディスカスの言葉を遮りながら頭を叩き、ユーリが兎柄の和服を持ってきてくれた。
 またしても慌しく着替えることになった。
「……さっきの呪文って……」
「カナリアちゃんは知らなくていいの」
 珍しくユーリが怖い顔で止めてきた。

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