初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

ジャスティスの称号


「……おめ?」
「ディッチさん! 他人事だと思ってそんなこと言わない!! ディス! 生温かい目でこっちを見るな!!」
 ディッチの言葉にジャスティスが叫んでいた。

 ジャスティスは人竜族と同じ特徴の耳に、長くのびた爪。そして何より、ずっと短くしていた髪が長くなった。
「人竜族のステータスは他の種族のステータスをはるかに超えるのだが」
「そういう問題じゃねぇぇぇぇ!! 何年間もやってて愛着が湧いてた外見だぞ!? 問答無用で替えられたら、誰だって怒るわ!!」
「ジャスティスは嫌なの? 私と一緒」
 ドラゴンの幼生も人族と同じ姿になっていた。どうやら、幼生も加護を受けたようだ。
「ドラゴンの幼生って女の子だったんだな」
 ぼそりとディスカスが呟く。
「ジャスティスは私の婿になってくれないの?」
「はぁ!?」
 ジャスティス以外の声がはもった。


 ジャスティスが声をあげれなかったのは、いろんなことが一気におきすぎて処理しきれず、フリーズしていただけなのだが、幼生の「婿」発言に何も言わないことから、ディッチたちに「ロリ○ン」と少しばかりからかわれることになる。

 全員の驚きが落ち着く頃には「限定クエストクリア」の案内が「TabTapS!」内でされていた。

「にしてもまぁ、確かに人竜族のステータスはかなりいいんだな。羨ましい限りだよ。ジャス。俺だったらその子は娘にするけどね」
 タブレットを見ながらディッチは追い討ちをかけていく。
「お前は、私を娘にするのか?」
「そりゃもちろん。俺の可愛い奥様はリアルでもゲームでもユーリだけだからね」
 そう言ってユーリを抱きしめれば、もの凄く真っ赤になっていた。それもまた可愛いと思うのだが。
「ジャスティス! 私とジャスティスであの二人のような夫婦をめざ……」
「ごめん。さすがに幼女は対象外だわ」
 その言葉に幼生が泣きじゃくり、両親の元に行く。
「んでもって、いくらステータスがよくなっても、前の姿に愛着があるんですが」
「何も、朕の加護の腕輪をしておれば問題ない。表向きのステータスも以前と同じ。LVUPの時に徐々に人竜族のステータスに近づける」
「それ先に言え!!」
 さすが常に突っ込み役となっているジャスティスなだけある。竜神は笑ってジャスティスに腕輪を渡していた。
 それをはめるとすぐに以前と同じ姿になっている。
『それで、鱗は……』
 カナリアが何をうずうずしていたのかと思えば、それだけが言いたかったらしい。
「カナリア……」
『ジャスティスさん、どうしました?』
「他に言うことない?」
『えっと……ステータスアップおめでとうございます?』
「違うから!!」
『変幻自在で羨ましいです』
 何も突っ込む気力がなくなったジャスティスは、がくりと頭を垂れていた。


 結局、竜神の鱗は常に生え変わるらしく棲家にも大量にあり、全員が鞄に詰められるだけ詰めていた。

 そのあと、鱗が武器防具に、そしてアクセサリーや家具まで色々な方面で使えることが分かり、竜神にお願いしてギルド本拠地に鱗全てを転送してもらうことになる。

 竜神も己の棲家が綺麗になり、こちらは素材がたくさん手に入るということでWin-Winの関係になっていた。
 それどころか竜神が鱗を持ってきて、本拠地でクィーンやアントニーと話しこむ姿が風物詩になるまで時間はかからなかった。

 そして、その竜神に「お供」でドラゴンの幼生がくっついてきて、ジャスティスにアプローチをかけるようになる。


 ちなみに、余談ではあるが。ジャスティスの称号は「竜神の寵を受ける者」と「人竜に愛される男」だった。

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