初心者がVRMMOをやります(仮)
ディッチ、クリスと遭遇する
火山口に到着する頃には、かなりの体力を消耗していた。
モンスターも勿論出てくる。ジャスティスは「防具の素材」と喜んで倒しているが、初めてこんな場所に来たカナリアは、そこまで気が回らない。
「とりあえず、飲料飲むぞ。それから一人五分の計算で、あそこに行く。カナリア君は最後。最初は誰にする?」
「あ、俺が行きます」
ジャスティスがあっさりと言い、ジャスティス、タカ、スカーレット、ユウ、ディッチ、カナリアの順番で行くことになった。
五分を少しばかり過ぎたところで、ジャスティスが戻ってきた。
「遅い。あと三十秒で死に戻りするところだったぞ」
「悪い。手前のが少ないから奥まで行ってた。それに俺の持ってる『水の加護』だとあとこのアクセサリーをつけてれば、あと五分くらいは大丈夫みたいだったけど」
「……マジ?」
ディッチが不思議そうに訊ねる。
「そうみたいですよ。俺限定らしいですけど。あとは……身体能力の強化で、もう少しいけるみたいでしたけど」
周囲に聞こえないようにジャスティスが言う。
『ジャスティス以外で加護を受けた者は、このアクセサリーにプラス三分が限度』
メルがジャスティスの言葉に付け足すように言う。
「それが出来るのは俺とカナリア君か。了解。他三人は死に戻りしない程度でやってくれ。それが終わったら、俺がカナリア君と一緒に行く」
「その方がいいかもね」
スカーレットがディッチに同意し、次々と火草花を採取していく。
「これが火草花。採取時は、マグマに触れない程度のしたの部分を切り取ること。花だけ採ってもいいが、何故か効能がだいぶ違ってくる」
ジャスティスが採取してきた火草花を見せて、ディッチがカナリアに教える。
「真っ赤で綺麗ですね」
花も茎も葉も真っ赤だ。
「そう。火属性耐性のエンチャントの媒体としてよく使われる。あとは錬金で上級の火薬にするんだ」
「……へぇ」
「それから、マグマの中でしか育たないから、普通に栽培は出来ないからね」
ディッチに釘を刺されて、少しばかりカナリアは不貞腐れた。
出来うることなら育てたいとは思っていた。
「ディスが擬似マグマでやろうとしたけど無理だった。天然のマグマでないと無理のようだ」
「そうですか」
もう少しLVがあがったらそのあたりもやってみようと、カナリアは思った。
ディッチと共に採取をしていると、いきなり攻撃をくらった。
「カナリア君!」
そこにいたのは、トールである。
「先生! カナリア! 一回引け!!」
ユウが慌てたように言う。
あまり採取していなかったが、慌てて戻った。
「あいつは加護で、マグマの上でも地上と同じように攻撃できるんだ」
ユウが悔しそうに言う。それがユウの組んだ「限定クエスト」で得られるスキルだという。称号は「火山の覇者」。
「火草花の数は?」
「依頼数ギリ」
「では撤退!!」
予定ではもっと採取して火薬にまわす予定をしていたが、変更して戻ることになった。
ユニが風を飛ばし、メルが火をふく。そして、トールたちを足止めしている間に、六人は逃げていた。
今回「従魔」扱いにしたのは、このためだという。
従魔であれば、主と多少離れていても、すぐにワープしてこれるらしい。
火山洞窟入り口で待っていると、ユニとメルが戻ってきた。
「巫女待たせた! すぐにここを発つ!! あの男危険!」
ユニがすぐさま大きくなる。
全員が召喚で飛行モンスターを呼び出し、慌てて乗る。その背中には勿論、AIも一緒だ。
近くの町で納品を済ませ、やっと一息ついた。
ディッチはその間、運営と色々やりあっていた。
火山洞窟入り口についた時点で、GMコールをしてPKであると訴えていた。証拠はその場に残っている。
だが、運営側ではディッチたちがPKをしたと言っているのだ。
かなり頭に来た。
運営がトールに甘いということを浮き彫りにさせていく。
「おや、お困りのようだね」
そんな中、声をかけてきたのはクリスである。
「……嫌味ですか?」
「いや? あの男にはほとほと愛想が尽きている。私は自分の身内を優遇したいとは思わない」
「……さいですか」
こちらを無視してクリスはタブレットを出す。
そして、なにやら操作を始めていた。
タブレットを操作する動きは、ジャッジに似ている。そうディッチが思っていた時だった。
「終わったよ。とりあえずトールたちには私の権限でイエローカードを出しておいた。また絡むようなら自動でレッドカードになる」
楽しそうにクリスが笑う。
「それからMy dear son(私の可愛い息子)に伝えておいてくれるか? 『TabTapS!』の発案者はセラフィムだと」
「?」
「セラフィムは発案するだけで、ゲーム内はノータッチで見ているだけだったとね」
「機会があったら伝えておく。それから、今回の一件は感謝する」
「それは女帝に言ってくれ。私が絡んでいると分かりながら、二つのギルドと仲良くやるという方針を打ち出してくれたものでね」
「……あの方の考えは俺には分からん」
「私も分からない。だが、さすが『女帝』と呼ばれるだけはある」
クリスが楽しそうに言う。
モンスターも勿論出てくる。ジャスティスは「防具の素材」と喜んで倒しているが、初めてこんな場所に来たカナリアは、そこまで気が回らない。
「とりあえず、飲料飲むぞ。それから一人五分の計算で、あそこに行く。カナリア君は最後。最初は誰にする?」
「あ、俺が行きます」
ジャスティスがあっさりと言い、ジャスティス、タカ、スカーレット、ユウ、ディッチ、カナリアの順番で行くことになった。
五分を少しばかり過ぎたところで、ジャスティスが戻ってきた。
「遅い。あと三十秒で死に戻りするところだったぞ」
「悪い。手前のが少ないから奥まで行ってた。それに俺の持ってる『水の加護』だとあとこのアクセサリーをつけてれば、あと五分くらいは大丈夫みたいだったけど」
「……マジ?」
ディッチが不思議そうに訊ねる。
「そうみたいですよ。俺限定らしいですけど。あとは……身体能力の強化で、もう少しいけるみたいでしたけど」
周囲に聞こえないようにジャスティスが言う。
『ジャスティス以外で加護を受けた者は、このアクセサリーにプラス三分が限度』
メルがジャスティスの言葉に付け足すように言う。
「それが出来るのは俺とカナリア君か。了解。他三人は死に戻りしない程度でやってくれ。それが終わったら、俺がカナリア君と一緒に行く」
「その方がいいかもね」
スカーレットがディッチに同意し、次々と火草花を採取していく。
「これが火草花。採取時は、マグマに触れない程度のしたの部分を切り取ること。花だけ採ってもいいが、何故か効能がだいぶ違ってくる」
ジャスティスが採取してきた火草花を見せて、ディッチがカナリアに教える。
「真っ赤で綺麗ですね」
花も茎も葉も真っ赤だ。
「そう。火属性耐性のエンチャントの媒体としてよく使われる。あとは錬金で上級の火薬にするんだ」
「……へぇ」
「それから、マグマの中でしか育たないから、普通に栽培は出来ないからね」
ディッチに釘を刺されて、少しばかりカナリアは不貞腐れた。
出来うることなら育てたいとは思っていた。
「ディスが擬似マグマでやろうとしたけど無理だった。天然のマグマでないと無理のようだ」
「そうですか」
もう少しLVがあがったらそのあたりもやってみようと、カナリアは思った。
ディッチと共に採取をしていると、いきなり攻撃をくらった。
「カナリア君!」
そこにいたのは、トールである。
「先生! カナリア! 一回引け!!」
ユウが慌てたように言う。
あまり採取していなかったが、慌てて戻った。
「あいつは加護で、マグマの上でも地上と同じように攻撃できるんだ」
ユウが悔しそうに言う。それがユウの組んだ「限定クエスト」で得られるスキルだという。称号は「火山の覇者」。
「火草花の数は?」
「依頼数ギリ」
「では撤退!!」
予定ではもっと採取して火薬にまわす予定をしていたが、変更して戻ることになった。
ユニが風を飛ばし、メルが火をふく。そして、トールたちを足止めしている間に、六人は逃げていた。
今回「従魔」扱いにしたのは、このためだという。
従魔であれば、主と多少離れていても、すぐにワープしてこれるらしい。
火山洞窟入り口で待っていると、ユニとメルが戻ってきた。
「巫女待たせた! すぐにここを発つ!! あの男危険!」
ユニがすぐさま大きくなる。
全員が召喚で飛行モンスターを呼び出し、慌てて乗る。その背中には勿論、AIも一緒だ。
近くの町で納品を済ませ、やっと一息ついた。
ディッチはその間、運営と色々やりあっていた。
火山洞窟入り口についた時点で、GMコールをしてPKであると訴えていた。証拠はその場に残っている。
だが、運営側ではディッチたちがPKをしたと言っているのだ。
かなり頭に来た。
運営がトールに甘いということを浮き彫りにさせていく。
「おや、お困りのようだね」
そんな中、声をかけてきたのはクリスである。
「……嫌味ですか?」
「いや? あの男にはほとほと愛想が尽きている。私は自分の身内を優遇したいとは思わない」
「……さいですか」
こちらを無視してクリスはタブレットを出す。
そして、なにやら操作を始めていた。
タブレットを操作する動きは、ジャッジに似ている。そうディッチが思っていた時だった。
「終わったよ。とりあえずトールたちには私の権限でイエローカードを出しておいた。また絡むようなら自動でレッドカードになる」
楽しそうにクリスが笑う。
「それからMy dear son(私の可愛い息子)に伝えておいてくれるか? 『TabTapS!』の発案者はセラフィムだと」
「?」
「セラフィムは発案するだけで、ゲーム内はノータッチで見ているだけだったとね」
「機会があったら伝えておく。それから、今回の一件は感謝する」
「それは女帝に言ってくれ。私が絡んでいると分かりながら、二つのギルドと仲良くやるという方針を打ち出してくれたものでね」
「……あの方の考えは俺には分からん」
「私も分からない。だが、さすが『女帝』と呼ばれるだけはある」
クリスが楽しそうに言う。
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