初心者がVRMMOをやります(仮)
PvPは楽しい!?
ジャッジたちは準決勝で「リアライズ」と対戦することが出来た。
ディッチがジャスティスに頼んで何かを作ってもらっているようだが、さすがに控え室の装備ではいいものなど作れない。
「これぐらい出来れば上等!」
ディッチがにやりと笑って受け取っていた。
それが何なのかを知った瞬間、止めて置けばよかったと少しばかり後悔することになる。
『さて、本日は準決勝二試合! 第一試合はこちら!! “カエルム”VS“リアライズ”だ!! 今回はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか!』
実況担当が凄いノリで宣言していた。
「……あれ? 兄貴は?」
「さぁ?」
スカーレットの問いに、ジャッジも首を傾げる。さっきまでそこにいたはずのディッチが、消えているのだ」
ばさり、と何かをとる音が聞こえたかと思うと、ディッチは赤い鬼の面をつけていた。
「俺、参じょ……」
「兄貴! あんたがふざけてどうする!? そして赤はあたしのカラーだ! ネタのためとはいえとるな!!」
すぐさまディッチに蹴りをいれ、面を剥がしていた。
「……いや、どうでもいいんだけどさ」
おろおろする周囲をよそに、ジャッジはかなり呆れていた。
「試合始まる前に味方のHP削る行為ってどうよ? んでもってディッチさん、こんなふざけたのことためにアイテム欄消費したんですか?」
そう、この名乗りのためだけに、アイテム欄を最低でも三つ消費しているのだ。
これをみていた「リアライズ」の面々は。
「さすが『カエルム』やることが違う」
「名乗りで持ってかれたのは初だね」
「味方にも攻撃するとは、さすが姐御」
「珍しくジャッジさんが冷静な突っ込みを入れてるよ」
などという、ほのぼのとした会話がなされていた。
ちなみに。
本日「リアライズ」の服装は忍者コスという、今までよりもネタに走らないものだったりした。
試合が開始するなり、またディッチの姿が消えた。
さすがにジャッジたちも驚いたが、それを表に出すわけにはいかない。
「……ステルスマント被ったな」
「まぁ、あの名乗りはそういうこった」
ジャッジとジャスティスは状況を判断しながら話していた。
「大体のことは分かったが、司令塔が雲隠れするってどうよ? せめてユーリ先輩かディスだろう」
「俺もそのつもりで作った。まさかディッチさんが試合でも使うと思わなくてさ」
ひゅん、と風が動く。どうやら、向こうからの魔法攻撃が来たようだ。
「まぁ、いつもどおり動けってことじゃね?」
言わんとしていることは分からなくも無いが。カナリアがいたら軽くパニックを起こしただろうと思う。
ディスカスがジャッジの剣に魔法を付加する。
それに対して、「リアライズ」はディッチの魔法を封じようとしていた。それを止めたのは、ジャスティスだ。
「ほい、よっと」
「サンキュ」
かかる少し前に「気功」を使い起動を逸らしたのだ。
既にタンク&壁役としての役割を果たしている。そして、魔法防御もかなり高い。
これ位の魔法攻撃なら、ジャスティスは全く受け付けないらしい。
これもかなりゲーム仕様としてはチートだと思ってしまう。
「ずるいな~~。加護もちは」
「いや、ジャスは例外」
「リアライズ」のメンバーの一人がぼやいていたので、ジャッジが返す。
トールたちのせいで、ジャスティスもかなり強力な加護を持っていることは知れ渡っている。それならば素直に言ってしまったほうがいい。
ちなみに壊されないように、タブレットはしまってある。
「それにジャスは元からタンクだ」
「それは知ってますっ」
それでもうらやましいというのが、「リアライズ」側の言い分らしい。
「トールたちも退場したことだ。頑張ってクリアしろ」
剣を交えながらも、そんな会話をしていた。
「あいつら緊張感ないのな」
それがディスカスの呟きだったという。
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