初心者がVRMMOをやります(仮)
オークゴブリンレイド戦4
カナリアが回復をメインにサポートし、ディスカスが残る四人と策を練る。
といっても、五人共に好き勝手に動いているに等しい。弱点をカナリアが見つけ、ディスカスに言えば、あっさりとディスカスが魔法を放つ。
そして拳銃の弾薬に、カナリアとディスカスで属性魔法を付与したりしている。
スカーレットより、心臓も欲しいとみっちり言われたせいだ。
「心臓狙わないって、かなりしんどいな」
「というか、五臓六腑全部そのままにしとけって、先生の妹さんも無茶振りだよな」
「それでこそのレットだがな」
上からジャッジ、ユウ、ディスカスの順だ。
ジャスティスはタンク役として最前線にいる。
「カナリアッ。そろそろSTRUPかけてくれ」
「はいっ」
ジャスティスの依頼どおりSTRUPをかけた後、残る全てもかけていく。特にジャスティスにはSTRの他、防御系は二重にかけておく。
「やれやれ……若い者について行くのは難しい」
ぼそりとタカが呟いた。
そして、悪巧みをすべくニヤリと笑う。
丁度、飛行モンスターが捨ててあった。
「ここはタカの名前らしく、いっちょやりますか」
「あ゛――!!それ俺の飛行モンスター!!」
どこかで少年の声が響いていた。
「……おい、シュウ。てめぇ、ここで何やってんだ?」
ジャッジの口調は、このゲームを始めて以来最悪の状態だ。
「い……依頼だっ!!」
叫び声で周囲がその存在に気付き、ジャッジが背中に庇う。
「トールがしなくなったと思ったら、お前が今度はカナリアのストーカーかよ」
ユウも呆れたように言う。
現在、カナリアのいるPTでオークゴブリンと対峙しているのは、ジャスティスだけというシュールな状況になっている。
当然それに気付いたジャスティスが別の意味でキレないわけはなく……。
「ふっざけんなっ!!」
PKにもなりそうな勢いで、二つのPTの間の地面を殴りつけた。
その間、タカは上空から一体ずつオークゴブリンをライフルで撃っていた。
わざとカナリアたちの方へ向かわせたオークゴブリンが状態異常スキル「パニック」が付属されて逃げてきた。
パニックに陥っていたオークゴブリンが、他のオークゴブリンにも「パニック」に陥らせて行く。
「全員総攻撃!!」
ディッチが不思議に思ったものの、すぐに指示を出す。
何が起きたか分からないが、とりあえず攻撃に移るしかない。
パヒュンという音が上空から響き、援護射撃のような動きが尚更仕留めやすくして行く。
剥ぎ取りも上手くいき、あっという間に片付いた。
レイドらしくない。それが、ディッチの感想だった。
通常レイド戦の終了となっても、休息場、もしくは近くの町に戻る気配がない。
「向こうのほうに行ってみる?」
スカーレットがディッチに訊ねてきた。
カナリアだったらクエスト終了となったら、帰還を選択してもおかしくない。もし、万が一でも採取にばかり気を取られていたら、周囲が帰還を指示するだろう。
それがないのは、むこうが「またしても」限定クエストをひいてしまったのかと思ったのだ。
そして、カナリアたちを見つけたディッチも呆れ、そして怒った。
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