初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

クエスト三連戦 準備


 喫茶店「安楽椅子・TabTapS!店」は本日も繁盛している。
 カナリアも調理場にて色々と作っている。
「ミ・レディ。オークゴブリン香草焼き出来上がりましたよ」
「セバスチャン、自分で持っていけますか?」
「無理です。他の料理を作っています。ミ・レディは何を?」
「パフェ作ってます!」
「あ、持っていきます」
 今来たばかりのNPCが慌てたように持っていく。
 本日、雇ったNPCの他はカナリアとセバスチャンのみである。オーダーのほとんどがオークゴブリンを調理したものなのは、何故なのだと聞きたくなる。
「ウサミミちゃん、チャーシュー出来てる?」
 そう聞いてきたのは麺類を卸してくれているプレイヤーだ。
「はいっ。いつものところにあります!」
 以前は金銭のやり取りだったが、最近はオークボブリンをチャーシューにしたものと物々交換になっている。
「お。確かに。んじゃ、貰っていくよ。ここに生パスタ麺とかペンネとか置いてくよ。伝票で確認して、過不足分はメール頂戴」
 そう言うと男はそそくさと出て行った。

 本日、いつも以上の混み合いを見せている。その理由は明日、喫茶店を開いて初めて休みにするからだ。
 元を正せばディッチの唐突な思い付きから始まっている。


「カナリア君。今度全員が休みの日、みっちりとクエスト受注しようじゃないか!」
「でも、アクセサリー作りとかお店とか……」
「店は休み。OK? で、アクセサリーを作るための素材採りに行かないとね。最近ほとんど行ってないじゃないか。イッセン君とリリアーヌ君が心配していたよ」
 気がついたら、イッセンとリリアーヌは「カエルム」メンバーになっており、いつの間にやらカナリア以上の戦力となっている。
 さすがイッセンとリリアーヌ。そうカナリアが言うと、「少しはLVあげしようよ」とイッセンに呆れられた。
「そういうわけで、今度カナリア君のLVあげのためのクエスト行くから。レイド三連発」
 どんな鬼ですか。
「カナリア君もヒヒロヒカイネとオリハルコンいるだろう?」
「……欲しいです」
「それからダイヤモンドとルビーにパール。鉱石関係も欲しいだろう?」
「欲しいです」
「だいぶ在庫がなくなっている。この調子じゃなにも作れない。というわけで行こうか」
「はいっ」
 反射的に返事をしてしまった。

 そんなわけで、丸一日休みにしてクエスト三連と相成った。

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