初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

暴走獣、ディッチ


「さて! ここからがお待ちかねのメインイベント! ゴーレムキング七体を従える翼竜の討伐レイド戦だ!」
 嬉しそうにディッチが言う。
 他全員は言葉を失っていた。

 ディスカスだけがすぐさま突っ込みをいれた。
「阿呆か! 俺らのLVプレイヤーが集まった場合ですらライトレイド並みの難易度だぞ!!」
「いや、これが一番採取できるし。おそらくいける!」
「その根拠は?」
「俺の勘!」
 にかっという表現が似合う笑顔でディッチが答えていた。

 だが、その言葉がカカ、トト、スカーレットの怒りにまで火を注いだ。

「ってか、一応理由はある」
 PK扱いでないのが不思議なほどボコボコにされたディッチが言う。
「三人が鞄と倉庫が直結しているのが一つ、そして火力メインのやつがトラップは漢解除を前提に動けば何とかなるっていう結論に達しているのが一つ、ジャスの人竜族能力も当てにしているってのが一つ、この先は従魔扱いでメルが動くって約束してくれてるのが一つ。それに、ここからは全員のAIも一緒に動く。
 ここまで加味すると、面白いくらいにクリアできる確率が高くなる」
 一部を除き、AIとプレイヤーの能力はバランスを取っている。取れていないところは色々と楽しい組み合わせだが、それが予測不可能らしい。
「というわけで、ダメ元。ってか死に戻り上等!」
 どうやっても自分からリタイアする気がないらしいディッチが、すぐさま受注していた。

「……ジャッジさん、どうしましょう」
「やるしかないだろ。確かに素材のために高LVプレイヤーでライトレイド組んでもおいしいやつだからな。その分覚悟してくれ」
 カナリアとてそんな覚悟が出来るなら、最初から聞いていない。だが、ジャッジもそう言ってやるしか方法はない。
「限定クエストもないはずだ! ……多分!」
「兄貴、変なフラグ立てんな!」
「先生、フラグ立て勘弁!」
「阿呆か、お前は!!」
 ディッチのフラグ立てのような発言に、スカーレット、ユウ、ディスカスがすぐさま叩いていた。

 そんなことをしているうちにユニとメルの両親に乗ったAIたちがそばまで来た。

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