老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
325話 護る意思
「ゆ……ユキムラ様……」
 不安そうな兵士たちが結界の中で震え上がっている。
「大丈夫、絶対にその結界から出ないでね」
今ユキムラは少しだけピンチだった。
訓練のために訪れたダンジョンで、降りた階層がモンスターハウスで、しかも部屋の構造的に四方から間断なく魔物が補充されている状態になってしまった。
どんなに気をつけていても、ランダム形成なダンジョンではこういうことがあり得る。
すぐに連れている11人を防御結界内に避難させて、襲い掛かってくる魔物をユキムラ一人で撃退している。
魔物のレベルもすでにかなりのものになっていて、大技ぶっ放して駆逐。なんて単純には行かない。
連れてきているメンバーもそれなりに成長しているが、もし防御結界が破られればいかにユキムラでも犠牲無しで乗り越えるのが難しい。
ちょっとピンチだ。
冷静に状況を整理して導き出したユキムラの答えだ。
そして思い出す。
大手ギルドが大同盟を作って、圧倒的不利の中一人で勝ち残った戦いを……
「あの時より数は多いが……中身が違う! アイツラはもっともっと強くて、狡猾で、熱かった!」
両手剣を薙ぎ払うように巨大な斬撃を敵の集中しているところに叩きつける。
4方から攻められる現状を一つ一つ潰して逆撃体制を整えることが第一。
味方の位置取りも急いで防御結界を展開したために四方八方から攻撃を受けている。
「グラビティフィールド! ホーリーウォール! よし!
全員今作った一画へ駆け足!」
敵の行動を阻害して、今開けた場所への魔物の侵入を一時的に防ぐ。
その場所までの安全な通路を魔法障壁によって作り上げる。
隙間なく、一瞬で作り出す障壁。地味だけど職人技だ。
「はい!」
ユキムラの指示に迅速に行動を開始する。
ユキムラ達と一緒に一度でも訓練をやった人間は、その言葉に無条件に従う。
それだけのカリスマ性がユキムラ達5人には備わっている。
「防御結界を再展開」
これで壁を利用して攻撃される方向を2方向に絞れる。
ユキムラも状況を把握しやすくなる。
いざとなったら囮代わりにGUをばらまいて大暴れさせることも考えたが、狭いダンジョン内で複数のGUを全力起動させると周囲の魔力が枯渇して、結界維持もできなくなる危険性もある。
リスクが高すぎる。
もちろん大量の魔石を消費すれば何とかなるが、戦いの準備のために魔石を消費しているのは本末転倒だ。最終手段として最後まで使いたくはない。
「もうちょっと状況を整理していくか!」
二刀流で群がる敵を華麗に膾切りにしていく。
ユキムラの本領発揮な多対一の戦い。
四方八方から降り注ぐ攻撃の雨をプレイヤーテクニックで見事に捌き、的確に反撃を行っていく。
槍が迫れば槍を捌き、魔法が降り注げば跳ね返し、打ち寄せる波のような敵軍を縦横無尽に粉々に粉砕していく。
一瞬でも判断を誤れば途端に血祭りになるような致命の一撃、命には至らずとも深刻な怪我で後の戦闘に支障をきたす攻撃が雨あられのように降り注ぐ中、まるで時が別の流れを流れているように、優雅に美しくユキムラは踊っている。舞の後にはまるでチップのように大量の魔石が転がっていく。
同行している戦士たちはその眼を見開き、瞬きをする間も惜しむように、ユキムラの戦いを心に焼き付けている。
「よっし、だいぶ減らしたぞー。流入も落ち着いてきたし。
それじゃぁ皆、訓練再開するぞー。
落ち着いて対処すれば大丈夫だ。
まずは敵を有利な状況を作って待ち構えて、しっかりと一体ずつ対処していこう!」
目の前で起きた奇跡とも感じた偉業を気にすることもなく、ユキムラのノーテンキな指示が飛ぶ。
いくら装備で底上げしていても圧倒的に強大な敵に訓練生達がリラックスして臨めるのは、この教官による圧倒的な安心感と信頼感があるからだろう。
各地の訓練もこのように、戦士たちの実力が高まっていくのと同じような勢いで、白狼隊5人の名声をドンドン高め続けていくのであった。
こうして各国の戦士育成に装備、魔道具、兵器、補給物資など様々な事が戦争に向けて動いていく。
半年も経過すると各国の差は埋まってくる。
主要都市には女神の壁による防衛機能、各都市、各国を繋ぐ情報網。
非戦闘員の避難用シェルターから備蓄食料。
惜しみなくアイテムボックスという物資の保存における最強のチートアイテムを使い、短距離なら内部を共有もできる。
製造を防壁内で行い、防壁の間際までアイテムボックス間で移動。
防壁外に移動、こんな荒業も可能だ。
流石に防壁を越えてのアイテム転送は出来ない。
その分女神の壁の防壁としての機能には一部の隙もないと言ってよかった。
防壁の防御能力を上回る圧倒的エネルギーによる破壊以外にこの防壁を破る方法は皆無だ。
「攻撃よりも防御、これは絶対条件」
ユキムラが口を酸っぱくして伝えている。
攻撃が最大の防御というのは、確実に戦闘が一戦で終わって、しかも一撃のもとで敵を粉砕できると言う条件が揃った時だけ。ユキムラの戦闘理論だ。
もちろん、ユキムラのように超越した戦闘能力があればカウンター狙いで防御無視なんて戦法も可能だが、ユキムラは自分以外にその戦法を許すことは決してしないだろう。
攻める側からすれば、悪夢のような積み重ねられた防御陣が構築されていく。
しかも、日々その防御が日進月歩で進化していくのだから、魔王軍たちに同情さえ禁じ得ない。
過剰とも言える準備は、戦争が始まるその日まで徹底して積み重ねられていくのであった……
 不安そうな兵士たちが結界の中で震え上がっている。
「大丈夫、絶対にその結界から出ないでね」
今ユキムラは少しだけピンチだった。
訓練のために訪れたダンジョンで、降りた階層がモンスターハウスで、しかも部屋の構造的に四方から間断なく魔物が補充されている状態になってしまった。
どんなに気をつけていても、ランダム形成なダンジョンではこういうことがあり得る。
すぐに連れている11人を防御結界内に避難させて、襲い掛かってくる魔物をユキムラ一人で撃退している。
魔物のレベルもすでにかなりのものになっていて、大技ぶっ放して駆逐。なんて単純には行かない。
連れてきているメンバーもそれなりに成長しているが、もし防御結界が破られればいかにユキムラでも犠牲無しで乗り越えるのが難しい。
ちょっとピンチだ。
冷静に状況を整理して導き出したユキムラの答えだ。
そして思い出す。
大手ギルドが大同盟を作って、圧倒的不利の中一人で勝ち残った戦いを……
「あの時より数は多いが……中身が違う! アイツラはもっともっと強くて、狡猾で、熱かった!」
両手剣を薙ぎ払うように巨大な斬撃を敵の集中しているところに叩きつける。
4方から攻められる現状を一つ一つ潰して逆撃体制を整えることが第一。
味方の位置取りも急いで防御結界を展開したために四方八方から攻撃を受けている。
「グラビティフィールド! ホーリーウォール! よし!
全員今作った一画へ駆け足!」
敵の行動を阻害して、今開けた場所への魔物の侵入を一時的に防ぐ。
その場所までの安全な通路を魔法障壁によって作り上げる。
隙間なく、一瞬で作り出す障壁。地味だけど職人技だ。
「はい!」
ユキムラの指示に迅速に行動を開始する。
ユキムラ達と一緒に一度でも訓練をやった人間は、その言葉に無条件に従う。
それだけのカリスマ性がユキムラ達5人には備わっている。
「防御結界を再展開」
これで壁を利用して攻撃される方向を2方向に絞れる。
ユキムラも状況を把握しやすくなる。
いざとなったら囮代わりにGUをばらまいて大暴れさせることも考えたが、狭いダンジョン内で複数のGUを全力起動させると周囲の魔力が枯渇して、結界維持もできなくなる危険性もある。
リスクが高すぎる。
もちろん大量の魔石を消費すれば何とかなるが、戦いの準備のために魔石を消費しているのは本末転倒だ。最終手段として最後まで使いたくはない。
「もうちょっと状況を整理していくか!」
二刀流で群がる敵を華麗に膾切りにしていく。
ユキムラの本領発揮な多対一の戦い。
四方八方から降り注ぐ攻撃の雨をプレイヤーテクニックで見事に捌き、的確に反撃を行っていく。
槍が迫れば槍を捌き、魔法が降り注げば跳ね返し、打ち寄せる波のような敵軍を縦横無尽に粉々に粉砕していく。
一瞬でも判断を誤れば途端に血祭りになるような致命の一撃、命には至らずとも深刻な怪我で後の戦闘に支障をきたす攻撃が雨あられのように降り注ぐ中、まるで時が別の流れを流れているように、優雅に美しくユキムラは踊っている。舞の後にはまるでチップのように大量の魔石が転がっていく。
同行している戦士たちはその眼を見開き、瞬きをする間も惜しむように、ユキムラの戦いを心に焼き付けている。
「よっし、だいぶ減らしたぞー。流入も落ち着いてきたし。
それじゃぁ皆、訓練再開するぞー。
落ち着いて対処すれば大丈夫だ。
まずは敵を有利な状況を作って待ち構えて、しっかりと一体ずつ対処していこう!」
目の前で起きた奇跡とも感じた偉業を気にすることもなく、ユキムラのノーテンキな指示が飛ぶ。
いくら装備で底上げしていても圧倒的に強大な敵に訓練生達がリラックスして臨めるのは、この教官による圧倒的な安心感と信頼感があるからだろう。
各地の訓練もこのように、戦士たちの実力が高まっていくのと同じような勢いで、白狼隊5人の名声をドンドン高め続けていくのであった。
こうして各国の戦士育成に装備、魔道具、兵器、補給物資など様々な事が戦争に向けて動いていく。
半年も経過すると各国の差は埋まってくる。
主要都市には女神の壁による防衛機能、各都市、各国を繋ぐ情報網。
非戦闘員の避難用シェルターから備蓄食料。
惜しみなくアイテムボックスという物資の保存における最強のチートアイテムを使い、短距離なら内部を共有もできる。
製造を防壁内で行い、防壁の間際までアイテムボックス間で移動。
防壁外に移動、こんな荒業も可能だ。
流石に防壁を越えてのアイテム転送は出来ない。
その分女神の壁の防壁としての機能には一部の隙もないと言ってよかった。
防壁の防御能力を上回る圧倒的エネルギーによる破壊以外にこの防壁を破る方法は皆無だ。
「攻撃よりも防御、これは絶対条件」
ユキムラが口を酸っぱくして伝えている。
攻撃が最大の防御というのは、確実に戦闘が一戦で終わって、しかも一撃のもとで敵を粉砕できると言う条件が揃った時だけ。ユキムラの戦闘理論だ。
もちろん、ユキムラのように超越した戦闘能力があればカウンター狙いで防御無視なんて戦法も可能だが、ユキムラは自分以外にその戦法を許すことは決してしないだろう。
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