老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
321話 いよいよ
完全に敵の気配が消える。
引き裂かれた空間もパリパリと残滓は残しているが元通りだ。
いろいろとあったせいでレンはその場へ腰掛けてしまう。
「はぁ……こんなに疲れた戦闘は初めてです……」
タロがタッタッタと近づいてきてペロペロと顔を舐めている。
レンの苦労をねぎらってくれている。
「レンちゃん。お疲れ」
「ヴァリィさん。ご協力感謝します」
ガッツリと手を握りレンを立たせる。
アイテムから冷たいお茶を出して一息をつく。
「いやー、うまく行って良かったねーレン」
「ソウデスネー」
「もー、ユキムラさんったら演技下手なんだもん私ドキドキしちゃいましたよー」
「ソウヨネー」
「え? 俺うまくやってたでしょ?」
「え?」
「え?」
それ以上、レンは何も語ることはなかった……
【白狼隊の皆さんお疲れ様でした。今、無事に作戦が成功したとオトハから報告がありました!】
音もなくふわりとアルテスが降り立つ。
「珍しいですね、奥の部屋かと思いました」
【少しでも早く成功を伝えたくて来ちゃった】
テヘペロ。お茶目な女神である。
【せっかくなので一緒に行きましょうか】
スタスタと最後の扉に向かいさっさと扉を開けて奥に入っていってしまう。
突然の女神の来訪とマイペースな振る舞いに少しあっけに取られてしまったが、アルテスの後に続いて最後の部屋に入る。
部屋の作りは見慣れた感じ。
ただ中央に置かれた石像が少しいつもと異なっている。
「……猫?」
「ワン!」
タロがブンブンと尻尾を振ってその石像に近づいていく、前足を装置に引っ掛けると装置が起動し始める。
丸くなって寝ているような猫の石像も光に包まれて、三毛猫が現れる。
「うん? ここはどこ?」
【花子先輩、おはよう】
アルテスは慣れた手つきで三毛猫を抱きかかえる。
タロが嬉しそうに足元をクルクルと回っている。
「アルテスちゃん。それにこの体……うーん、なんかいろいろ起きてるのね」
「アンアン!」
「あらまぁ~……なるほど。そういう感じになっているのねー」
【ふふふ、先輩の毛並みは相変わらず素敵ですねー】
アルテスがニコニコで三毛猫を撫で回している。
「アルテスちゃん、タロさんの首輪に触らせてちょうだい」
【あっ、はーい!】
「タロさん。もう少し頑張ってあげてくださいね……」
タロのネックレスにちょこんと触ると神々しい光が吸い込まれていく。
全員のネックレスにも力がみなぎるのがわかる。
【みんなも先輩がくれば喜びます。
さて、ユキムラ、とうとうこの旅を成し遂げましたね。
あなた方をサナダ街へと送ります。
色々と統合性は整えておきますけど、経験したこととちょっと変わってるかもしれないわ。
今回の作戦の結果を反映したいから、魔王の侵攻まで一年無理やりこじ開けたわ。
そこで準備を整えてね。
本当にありがとう。あなた達のおかげでここまでやってこられました。
準備が整ったら、タロにお願いしてね】
「ワンワン!」
手を振りながらアルテスと花子先輩は光に包まれて消えていく。
「……さーて、宝をもって、帰ろうか!」
「そうですね師匠。僕達の街へ!」
ユキムラは全員の顔を見渡す。この長い旅も一つの終わりを迎える。
ユキムラたちの脳裏にはすでに世界改造計画が入っている。
マニュアルも出来ている。
装備量産計画も立案されている。
冒険者、兵士、この世界に住む人々の強化計画もしっかりと作られている。
1年もの時間が与えられるとは思っていなかったので、かなり余裕が出来ている。
「ダンジョンの宝はかなりのものだね、素材にしたり合金に使えば大量に製造できるね……」
ユキムラが悪い顔をしながら宝箱の中身を吟味している。
ユキムラ達特製ダンジョンによる育成は大量の素材を手に入れるためにも非常に役立っている。
量産される世界を変える武器防具、既存の店からはサナダ商会が買い上げ素材に戻して合金や生活用魔道具の素材にしていく。
世界征服に近いかもしれないが、ユキムラはその戦いを終えたらサナダ商店は国家に委譲してもいいと考えている。
ユキムラにとって大事なのは楽しく冒険しながらこの世界を愉しめばそれでいいのだ。
「それじゃぁ、皆準備はいい?」
全員が顔を見合わせ頷く。
長い時をめぐる旅もこれで終わる。
全員、旅の始まりよりも成長した顔つきをしている。
たくさんの出会いと、たくさんの別れ、そしてたくさんの、本当にたくさんの戦闘によって彼らは鍛え抜かれた。
タロを中心に円陣を組むように囲む。
「わん?」
「うん。タロ、頼むよ」
「アオーン!」
タロが軽く吠えるとタロを中心に地面に魔法陣が展開していく。
はじめは地面に複数の魔法陣が重なり合っていく、それが白狼隊を包み込むように立体的に多重構造を作っていく。
「これは、かっこいいな……」「ですね……」
その幻想的な光景に全員、特に2名ほど目を奪われている。
全ての魔法陣が展開されると、まるで歯車のように魔法陣が動き出す。
同時に光の柱が白狼隊を包み込む。
ふわっとした浮遊感に襲われると、白狼隊達は長い時の旅から故郷へと戻る。
プラネテル王国、サナダ街。
舞台は始まりの地へと移動する。
引き裂かれた空間もパリパリと残滓は残しているが元通りだ。
いろいろとあったせいでレンはその場へ腰掛けてしまう。
「はぁ……こんなに疲れた戦闘は初めてです……」
タロがタッタッタと近づいてきてペロペロと顔を舐めている。
レンの苦労をねぎらってくれている。
「レンちゃん。お疲れ」
「ヴァリィさん。ご協力感謝します」
ガッツリと手を握りレンを立たせる。
アイテムから冷たいお茶を出して一息をつく。
「いやー、うまく行って良かったねーレン」
「ソウデスネー」
「もー、ユキムラさんったら演技下手なんだもん私ドキドキしちゃいましたよー」
「ソウヨネー」
「え? 俺うまくやってたでしょ?」
「え?」
「え?」
それ以上、レンは何も語ることはなかった……
【白狼隊の皆さんお疲れ様でした。今、無事に作戦が成功したとオトハから報告がありました!】
音もなくふわりとアルテスが降り立つ。
「珍しいですね、奥の部屋かと思いました」
【少しでも早く成功を伝えたくて来ちゃった】
テヘペロ。お茶目な女神である。
【せっかくなので一緒に行きましょうか】
スタスタと最後の扉に向かいさっさと扉を開けて奥に入っていってしまう。
突然の女神の来訪とマイペースな振る舞いに少しあっけに取られてしまったが、アルテスの後に続いて最後の部屋に入る。
部屋の作りは見慣れた感じ。
ただ中央に置かれた石像が少しいつもと異なっている。
「……猫?」
「ワン!」
タロがブンブンと尻尾を振ってその石像に近づいていく、前足を装置に引っ掛けると装置が起動し始める。
丸くなって寝ているような猫の石像も光に包まれて、三毛猫が現れる。
「うん? ここはどこ?」
【花子先輩、おはよう】
アルテスは慣れた手つきで三毛猫を抱きかかえる。
タロが嬉しそうに足元をクルクルと回っている。
「アルテスちゃん。それにこの体……うーん、なんかいろいろ起きてるのね」
「アンアン!」
「あらまぁ~……なるほど。そういう感じになっているのねー」
【ふふふ、先輩の毛並みは相変わらず素敵ですねー】
アルテスがニコニコで三毛猫を撫で回している。
「アルテスちゃん、タロさんの首輪に触らせてちょうだい」
【あっ、はーい!】
「タロさん。もう少し頑張ってあげてくださいね……」
タロのネックレスにちょこんと触ると神々しい光が吸い込まれていく。
全員のネックレスにも力がみなぎるのがわかる。
【みんなも先輩がくれば喜びます。
さて、ユキムラ、とうとうこの旅を成し遂げましたね。
あなた方をサナダ街へと送ります。
色々と統合性は整えておきますけど、経験したこととちょっと変わってるかもしれないわ。
今回の作戦の結果を反映したいから、魔王の侵攻まで一年無理やりこじ開けたわ。
そこで準備を整えてね。
本当にありがとう。あなた達のおかげでここまでやってこられました。
準備が整ったら、タロにお願いしてね】
「ワンワン!」
手を振りながらアルテスと花子先輩は光に包まれて消えていく。
「……さーて、宝をもって、帰ろうか!」
「そうですね師匠。僕達の街へ!」
ユキムラは全員の顔を見渡す。この長い旅も一つの終わりを迎える。
ユキムラたちの脳裏にはすでに世界改造計画が入っている。
マニュアルも出来ている。
装備量産計画も立案されている。
冒険者、兵士、この世界に住む人々の強化計画もしっかりと作られている。
1年もの時間が与えられるとは思っていなかったので、かなり余裕が出来ている。
「ダンジョンの宝はかなりのものだね、素材にしたり合金に使えば大量に製造できるね……」
ユキムラが悪い顔をしながら宝箱の中身を吟味している。
ユキムラ達特製ダンジョンによる育成は大量の素材を手に入れるためにも非常に役立っている。
量産される世界を変える武器防具、既存の店からはサナダ商会が買い上げ素材に戻して合金や生活用魔道具の素材にしていく。
世界征服に近いかもしれないが、ユキムラはその戦いを終えたらサナダ商店は国家に委譲してもいいと考えている。
ユキムラにとって大事なのは楽しく冒険しながらこの世界を愉しめばそれでいいのだ。
「それじゃぁ、皆準備はいい?」
全員が顔を見合わせ頷く。
長い時をめぐる旅もこれで終わる。
全員、旅の始まりよりも成長した顔つきをしている。
たくさんの出会いと、たくさんの別れ、そしてたくさんの、本当にたくさんの戦闘によって彼らは鍛え抜かれた。
タロを中心に円陣を組むように囲む。
「わん?」
「うん。タロ、頼むよ」
「アオーン!」
タロが軽く吠えるとタロを中心に地面に魔法陣が展開していく。
はじめは地面に複数の魔法陣が重なり合っていく、それが白狼隊を包み込むように立体的に多重構造を作っていく。
「これは、かっこいいな……」「ですね……」
その幻想的な光景に全員、特に2名ほど目を奪われている。
全ての魔法陣が展開されると、まるで歯車のように魔法陣が動き出す。
同時に光の柱が白狼隊を包み込む。
ふわっとした浮遊感に襲われると、白狼隊達は長い時の旅から故郷へと戻る。
プラネテル王国、サナダ街。
舞台は始まりの地へと移動する。
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