老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
142話 ボーリングの街
ゆったりとカレン達と歩いて行く。
街まではそんなに遠くないらしい。
この森は普段はあのような魔物もいないし、少し先の別荘に移動する予定だったそうだ。
突然飛び出してきた甲虫に馬が驚いてしまい転倒、馬車から投げ出されてしまったカレンは甲虫に追われて逃げ出してしまって馬車側とはぐれてしまった。
幸運にもユキムラ達の居るところに向かって走っていた事で皆救われた。
「ユキムラ殿はかなりの魔法使い、それにレン殿は高等回復魔法を使われる。
さらにヴァリィ殿ほどの屈強な護衛。さぞかし名のある方々なのでしょうねぇ!」
「いえいえ、我々は隠者として各地を渡って神に祈りを捧げるものでございます」
「ふむ、なるほど。余計な詮索はいたしませぬ。お嬢様と私達の生命の恩人ですからな」
レンの少し含みのある言い方だけで察してくれる隊長、なんか黒い二人である。
ユキムラはいい意味で正直な男なのでレンがこういうところではきちんとフォローする。良い師弟だ。
「見えてまいりましたな、あれがわが街ボーリングです」
海岸線に砂浜が広がり日も高いため次の漁の準備をしているのか人々が作業をしている。
石で組まれた街を囲む壁はあまり高さがないので街としての開放感を感じられる。
建物はあまり背の高い建物がなく、海沿いの街らしい雰囲気がある。
海の香りが強く、海からの風も強い。
砂利道を進んでいくと門を守る衛兵が近づいてくる。
「お嬢様は今日は別荘へ向かわれたのでは?」
「うむ、実は途中森を抜ける前に魔物に襲われてしまってな、危ないところじゃったがこちらの御仁達に助けていただいて皆無事じゃ。その旨旦那様に伝えてもらえるかな?」
ユキムラ達が一緒に行っても怪しまれないように先触れを出してくれたようだ。
「ユキムラ殿、先に教会で身分証を出していただくのが良いでしょう。
コレを見せればつつがなく行われるはずです」
そう言いながら隊長は家紋のはいったナイフを渡してくれた。
「手続きが終わる前には使いを出させますのでお待ちくださいませ。またあとでお会い出来ることを楽しみにしておりますぞ」
何度も頭を下げながら馬車と馬が走り出していく。
街は丘状の高台からの斜面に作られている。
多分あの一番高くにある比較的大きく目立つ建物が屋敷なのだろう。
衛兵の1人が教会へと案内してくれる。
衛兵にしては革鎧に、あまり作りが良いといはいえない槍と、腰には剣を下げている。
もしかしたらこの街はあまり裕福とは言えないのかもしれないな。レンやソーカは考えていた。
ユキムラは海岸線にあるポイントを巡りたいなぁとウズウズしている。
レンやソーカも含めて森を歩いている時に何箇所かポイントを見つけてウズウズしている。
本当にこんな状態でも救えない労働中毒者たちだ。
ヴァリィはまだ服飾スキルと調理スキルぐらいしかまだ身につけていない。
ヴァリィがそれ以外のスキルをみっちり仕込まれるのはほんのちょっと先になる。
教会で提出した短剣は効果抜群で、名を言うだけで信者としての証を手に入れた。
証に描かれていた月の女神様は本人が見たら抗議するんじゃないかな? という出来だった。
「ユキムラ殿、お迎えに上がりました」
外へ出ると迎えの馬車がつけられていた。
今までのやり取りからでもこの館の持ち主である領主があの隊長に厚い信頼を置いていて、それに応えるだけの器量が彼にあることが十二分に理解できた一行であった。
馬車に乗りながら4人は街の様子を観察する。
魚介類の漁が中心のようで店頭にはたくさんの食材が並んでいる。
街にはそれなりの活気があるが、少し子供の数が少ないような印象をうける。
それでも街の人達は笑顔が溢れていて悲壮感みたいなものは感じなかった。
馬車は予想通り坂を登っていく。街の雰囲気も雑多溢れる感じから少し綺麗な作りになっていく。
その反面街を歩く人は老人が多く、子供を殆ど見なくなってきた。
「お待たせいたしました到着いたしました」
馬車が止まり屋敷の前に立つ。振り返ると高台から街を一望でき、その向こうには大海が広がる。
絶景であった。
「素晴らしい景色ですね」
「ええ、隣は公園と展望台になっており領民の人気の場にもなっております」
ユキムラの感想に嬉しそうな顔をする使いのおじさん。
「ユキムラ殿、お待ちしておりました」
扉の前で隊長さんが執事服に着替えて迎えてくれた。
話を聞くともともとは執事長が本来の役職で護衛の方が副職だそうだ。
「人手が不足しておりましてな……」
少しさみしそうに呟く。
「さぁさぁ、どうぞ中へ旦那様もお待ちです」
「あ、そうだ。たいちょ、じゃなくて執事長さん」
「どうぞラオとお呼びくださいユキムラ殿」
「そしたらラオさん、僕達この通り旅路を越えてきているので身分ある方に会うならそれなりの服装に着替えますので一室部屋を、あ、二部屋借りられますか?」
「おお、それは気がききませんで、あとで湯浴みはしていただくとして体を拭くものなどもお渡ししましょう!」
用意された部屋で顔をふいてスッキリする。
そしてもう一つやることがある。
「せっかくもらったマントだけど洋服になってもらおう」
教会でもらった旅のマント、これを使ってヴァリィに服を作ってもらう。
「木製の針だけど、これで作れる範囲でお願い」
服飾は道具が命なのであまりこったことは出来ないが、それでも見事に清潔感のある服装を全員分用意できるヴァリィの卓越した技術センスは脱帽である。
「そしたらレン、ソーカにも渡してきてよ」
「いやー、なんとなく師匠が行ったほうが良いと思います!」
もちろん体を拭いているソーカの部屋に入ってラッキースケベ。
なんてことはなくちゃんとノックして入るフラグクラッシャーのユキムラだった。
街まではそんなに遠くないらしい。
この森は普段はあのような魔物もいないし、少し先の別荘に移動する予定だったそうだ。
突然飛び出してきた甲虫に馬が驚いてしまい転倒、馬車から投げ出されてしまったカレンは甲虫に追われて逃げ出してしまって馬車側とはぐれてしまった。
幸運にもユキムラ達の居るところに向かって走っていた事で皆救われた。
「ユキムラ殿はかなりの魔法使い、それにレン殿は高等回復魔法を使われる。
さらにヴァリィ殿ほどの屈強な護衛。さぞかし名のある方々なのでしょうねぇ!」
「いえいえ、我々は隠者として各地を渡って神に祈りを捧げるものでございます」
「ふむ、なるほど。余計な詮索はいたしませぬ。お嬢様と私達の生命の恩人ですからな」
レンの少し含みのある言い方だけで察してくれる隊長、なんか黒い二人である。
ユキムラはいい意味で正直な男なのでレンがこういうところではきちんとフォローする。良い師弟だ。
「見えてまいりましたな、あれがわが街ボーリングです」
海岸線に砂浜が広がり日も高いため次の漁の準備をしているのか人々が作業をしている。
石で組まれた街を囲む壁はあまり高さがないので街としての開放感を感じられる。
建物はあまり背の高い建物がなく、海沿いの街らしい雰囲気がある。
海の香りが強く、海からの風も強い。
砂利道を進んでいくと門を守る衛兵が近づいてくる。
「お嬢様は今日は別荘へ向かわれたのでは?」
「うむ、実は途中森を抜ける前に魔物に襲われてしまってな、危ないところじゃったがこちらの御仁達に助けていただいて皆無事じゃ。その旨旦那様に伝えてもらえるかな?」
ユキムラ達が一緒に行っても怪しまれないように先触れを出してくれたようだ。
「ユキムラ殿、先に教会で身分証を出していただくのが良いでしょう。
コレを見せればつつがなく行われるはずです」
そう言いながら隊長は家紋のはいったナイフを渡してくれた。
「手続きが終わる前には使いを出させますのでお待ちくださいませ。またあとでお会い出来ることを楽しみにしておりますぞ」
何度も頭を下げながら馬車と馬が走り出していく。
街は丘状の高台からの斜面に作られている。
多分あの一番高くにある比較的大きく目立つ建物が屋敷なのだろう。
衛兵の1人が教会へと案内してくれる。
衛兵にしては革鎧に、あまり作りが良いといはいえない槍と、腰には剣を下げている。
もしかしたらこの街はあまり裕福とは言えないのかもしれないな。レンやソーカは考えていた。
ユキムラは海岸線にあるポイントを巡りたいなぁとウズウズしている。
レンやソーカも含めて森を歩いている時に何箇所かポイントを見つけてウズウズしている。
本当にこんな状態でも救えない労働中毒者たちだ。
ヴァリィはまだ服飾スキルと調理スキルぐらいしかまだ身につけていない。
ヴァリィがそれ以外のスキルをみっちり仕込まれるのはほんのちょっと先になる。
教会で提出した短剣は効果抜群で、名を言うだけで信者としての証を手に入れた。
証に描かれていた月の女神様は本人が見たら抗議するんじゃないかな? という出来だった。
「ユキムラ殿、お迎えに上がりました」
外へ出ると迎えの馬車がつけられていた。
今までのやり取りからでもこの館の持ち主である領主があの隊長に厚い信頼を置いていて、それに応えるだけの器量が彼にあることが十二分に理解できた一行であった。
馬車に乗りながら4人は街の様子を観察する。
魚介類の漁が中心のようで店頭にはたくさんの食材が並んでいる。
街にはそれなりの活気があるが、少し子供の数が少ないような印象をうける。
それでも街の人達は笑顔が溢れていて悲壮感みたいなものは感じなかった。
馬車は予想通り坂を登っていく。街の雰囲気も雑多溢れる感じから少し綺麗な作りになっていく。
その反面街を歩く人は老人が多く、子供を殆ど見なくなってきた。
「お待たせいたしました到着いたしました」
馬車が止まり屋敷の前に立つ。振り返ると高台から街を一望でき、その向こうには大海が広がる。
絶景であった。
「素晴らしい景色ですね」
「ええ、隣は公園と展望台になっており領民の人気の場にもなっております」
ユキムラの感想に嬉しそうな顔をする使いのおじさん。
「ユキムラ殿、お待ちしておりました」
扉の前で隊長さんが執事服に着替えて迎えてくれた。
話を聞くともともとは執事長が本来の役職で護衛の方が副職だそうだ。
「人手が不足しておりましてな……」
少しさみしそうに呟く。
「さぁさぁ、どうぞ中へ旦那様もお待ちです」
「あ、そうだ。たいちょ、じゃなくて執事長さん」
「どうぞラオとお呼びくださいユキムラ殿」
「そしたらラオさん、僕達この通り旅路を越えてきているので身分ある方に会うならそれなりの服装に着替えますので一室部屋を、あ、二部屋借りられますか?」
「おお、それは気がききませんで、あとで湯浴みはしていただくとして体を拭くものなどもお渡ししましょう!」
用意された部屋で顔をふいてスッキリする。
そしてもう一つやることがある。
「せっかくもらったマントだけど洋服になってもらおう」
教会でもらった旅のマント、これを使ってヴァリィに服を作ってもらう。
「木製の針だけど、これで作れる範囲でお願い」
服飾は道具が命なのであまりこったことは出来ないが、それでも見事に清潔感のある服装を全員分用意できるヴァリィの卓越した技術センスは脱帽である。
「そしたらレン、ソーカにも渡してきてよ」
「いやー、なんとなく師匠が行ったほうが良いと思います!」
もちろん体を拭いているソーカの部屋に入ってラッキースケベ。
なんてことはなくちゃんとノックして入るフラグクラッシャーのユキムラだった。
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