老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
95話 いざ冒険者の街へ
王都でお世話になった人々に挨拶と次の予定を伝え、惜しまれながらもユキムラ一行は王都を後にする。
改めて決まったことと言えばパーティの正式名が決まった。
サナダ白狼隊だ。そのまんまだ。
バルトールの街は王都プラネテルの南西に位置する。
行き来が多いため道路はきちんと整備されており普通の馬車でも2日ほどで到着する。
ヴァリィはさっそくサナダ街製馬車の洗礼を浴びる。
「全く揺れないわね」
「ええ、そっちで作業も出来ます」
「広い、広すぎるわね」
「ええ、そっちがお風呂で個室も増やしました。ここ押すと天井部が拡張して寝室が出来ます」
レンが説明してさらに魔改造度が上がった馬車を案内する。
「ここも停車時なら左右に拡張して、ここからベッドが出せますから、最大10名程度なら何の問題もなく宿泊可能です」
「あんまり、驚かない気でいたけど。ユキムラちゃん達、半端ないわね……」
それでもせっかく与えられた環境は利用する派のヴァリィは制作活動に勤しむ。
ユキムラも作業台でレンと一緒に発明やら改造に打ち込んでいる。
馬車を操るソーカはタロと一緒に鼻歌交じりで馬車を走らせる。
別段イベントが有るわけでもなく、それはもう快適な野営を一度こなして街への道を進む。
「師匠、見えてきました。バルトールの街です」
予定通り、初夏の日差しが厳しい昼過ぎに街へと到着する。
いつもの通りに衛兵の審査を抜け、馬を宿へと預ける。
街の特性上、冒険者たちは長期に宿を取ることも多い。
「師匠、はっきり言ってしまってしまうと、もう馬は街へ戻しませんか?」
「そうなんだよね、宿も別に取らなくてもいいしな……」
「ユキムラさん今この街にはサナダ街の商人もいるそうです。お呼びしますか?」
「そうだな。もういいや。馬はサナダ街へ返そう。危ない目にも何度か合わせちゃったしね」
「ちょ、ちょっと馬車はどうするの?」
「もうかわりの動力は作ってあるんで。いままで遠慮してたんですが気にしないことにします!」
  ユキムラはとてもいい笑顔でヴァリィにサムズアップで答える。
こうして馬車は自動車へとランクアップした。というか戦車……的な?
街の雰囲気は王都とはだいぶ異なる。
居酒屋や食堂、冒険用の用品を扱うお店が立ち並び、ダンジョンでの素材を買い取ったり、それを加工した商品を扱う店が立ち並んでいた。
整然とした王都の町並みに比べるとごちゃごちゃとしていたが、活気は王都以上でユキムラはこの街を既にすっかり気に入っていた。
「いいねぇ、変わった食べ物も多くありそうだし。変な物もたくさん売ってそうだ」
「道行く人も冒険者風な人が多いですね。僕達も武装します? ちょっと浮いてますよね」
「まぁ、夜ご飯食べてから考えよう。っと、その前にギルドへ行こう」
この街の冒険者ギルドはダンジョンへ入る冒険者を管理する関係で、ダンジョンの入口のある街の奥の方に存在する。万が一のダンジョンからのモンスターの氾濫を防ぐために街の中にもう一つ城壁が組まれていて、その内部にギルドの建物がある。
ギルドの建物に入る扉も今は上がっている、かなりの重量がある鉄製の扉、もう一つが木製の内扉という作りになっている。
ギギギギと立て付けの悪い音を立ててギルド内へ入ると、今まで見たギルドの中でも、もっとも賑わっていた。
今日はビッグタートル3匹仕留めてうはうはよー!
7階にソードウルフが出て苦労したぜー!
何だよ! ただの石ころかよ!!
冒険者の騒ぎ声で室内は喧騒に包まれている。
しかし、嫌な感じはしない。
  みな自分の仕事に誇りを持っている感じがする。
The 冒険者ギルドと言った雰囲気だ。
ユキムラ達、サナダ白狼隊はA級パーティになる。
隊長のユキムラはS級。間違いなく一流のパーティだ。
見る人が見ればその実力は推して知るべしという奴だ。
外のワンチャン可愛かったー!
どうやら今入ってきた女性の冒険者らしく、外でお利口さんに待っているタロが愛想を振りまいたのだろう。
ユキムラはニヤリとしながら受付へと向かう。
「はじめまして。
  私はユキムラと申します。
  この度ダンジョンに入る許可を頂きにまいりました。
  こちらに王都ギルド本部ギルドマスターからの紹介状もありますので、よろしくお願いします」
新人営業みたいなかたっ苦しい話し方になってしまった。
少し興奮と緊張をしているようだ。
本部ギルドマスターの名前が出たことで周りの冒険者たちもユキムラと受付嬢の会話に興味を惹かれる。あいつら何者だ? とそこらかしこで話題になり始める。
紹介状が本物であることが確かめられると奥の応接間へと通されることになる。
これでさらにギルド内の興味はユキムラ達サナダ白狼隊へと集中していくことになる。
応接間に入るとすぐに真面目そうな男が入ってくる。
「紹介状は拝見いたしました。バルトール冒険者ギルドマスターを勤めているポストと申します」
「サナダ白狼隊のリーダーをしていますユキムラです。よろしくお願いします」
握手を交わす。たぶんこのポストさんは魔術系の職だろうな。ユキムラはそう予想する。
知的な顔つき、生真面目そうで整えられた服装。そしてそこまでの肉体的なボリュームを感じさせない。握った手もゴツゴツとはしておらず力仕事よりは知的な仕事を得意としてそうだ。
「今回は紹介状もありますので問題なくダンジョン入場の許可、しかもプラチナ証をお出しします。
ずいぶん総本部長も推しているようで、ぜひ最深部の宝を持ち帰ってくださることをギルドとしても期待いたします。ダンジョンでの基本的なルールはそちらの冊子に目を通してください。
ダンジョンに潜られる全ての冒険者に女神の加護の有らんことを……」
ポストさんは懐から女神の首かざりを出して祈ってくれる。どうやら聖職者系の方らしい。
「今日はもう遅くなってきていますので入場は明日からということでよろしいですか?」
「はい、今日一日英気を養い明日から一気に攻略を目指していきます」
「ふむ、普通なら準備などで数ヶ月出たり入ったりするものですが、なるほど確かに見た目にそぐわぬ剛毅な方のようだ。繰り返しご武運をお祈りさせてもらいます」
再度固く握手を交わす。
ギルドでの用事は済んだ。
後はダンジョン攻略を目指すだけだ。
改めて決まったことと言えばパーティの正式名が決まった。
サナダ白狼隊だ。そのまんまだ。
バルトールの街は王都プラネテルの南西に位置する。
行き来が多いため道路はきちんと整備されており普通の馬車でも2日ほどで到着する。
ヴァリィはさっそくサナダ街製馬車の洗礼を浴びる。
「全く揺れないわね」
「ええ、そっちで作業も出来ます」
「広い、広すぎるわね」
「ええ、そっちがお風呂で個室も増やしました。ここ押すと天井部が拡張して寝室が出来ます」
レンが説明してさらに魔改造度が上がった馬車を案内する。
「ここも停車時なら左右に拡張して、ここからベッドが出せますから、最大10名程度なら何の問題もなく宿泊可能です」
「あんまり、驚かない気でいたけど。ユキムラちゃん達、半端ないわね……」
それでもせっかく与えられた環境は利用する派のヴァリィは制作活動に勤しむ。
ユキムラも作業台でレンと一緒に発明やら改造に打ち込んでいる。
馬車を操るソーカはタロと一緒に鼻歌交じりで馬車を走らせる。
別段イベントが有るわけでもなく、それはもう快適な野営を一度こなして街への道を進む。
「師匠、見えてきました。バルトールの街です」
予定通り、初夏の日差しが厳しい昼過ぎに街へと到着する。
いつもの通りに衛兵の審査を抜け、馬を宿へと預ける。
街の特性上、冒険者たちは長期に宿を取ることも多い。
「師匠、はっきり言ってしまってしまうと、もう馬は街へ戻しませんか?」
「そうなんだよね、宿も別に取らなくてもいいしな……」
「ユキムラさん今この街にはサナダ街の商人もいるそうです。お呼びしますか?」
「そうだな。もういいや。馬はサナダ街へ返そう。危ない目にも何度か合わせちゃったしね」
「ちょ、ちょっと馬車はどうするの?」
「もうかわりの動力は作ってあるんで。いままで遠慮してたんですが気にしないことにします!」
  ユキムラはとてもいい笑顔でヴァリィにサムズアップで答える。
こうして馬車は自動車へとランクアップした。というか戦車……的な?
街の雰囲気は王都とはだいぶ異なる。
居酒屋や食堂、冒険用の用品を扱うお店が立ち並び、ダンジョンでの素材を買い取ったり、それを加工した商品を扱う店が立ち並んでいた。
整然とした王都の町並みに比べるとごちゃごちゃとしていたが、活気は王都以上でユキムラはこの街を既にすっかり気に入っていた。
「いいねぇ、変わった食べ物も多くありそうだし。変な物もたくさん売ってそうだ」
「道行く人も冒険者風な人が多いですね。僕達も武装します? ちょっと浮いてますよね」
「まぁ、夜ご飯食べてから考えよう。っと、その前にギルドへ行こう」
この街の冒険者ギルドはダンジョンへ入る冒険者を管理する関係で、ダンジョンの入口のある街の奥の方に存在する。万が一のダンジョンからのモンスターの氾濫を防ぐために街の中にもう一つ城壁が組まれていて、その内部にギルドの建物がある。
ギルドの建物に入る扉も今は上がっている、かなりの重量がある鉄製の扉、もう一つが木製の内扉という作りになっている。
ギギギギと立て付けの悪い音を立ててギルド内へ入ると、今まで見たギルドの中でも、もっとも賑わっていた。
今日はビッグタートル3匹仕留めてうはうはよー!
7階にソードウルフが出て苦労したぜー!
何だよ! ただの石ころかよ!!
冒険者の騒ぎ声で室内は喧騒に包まれている。
しかし、嫌な感じはしない。
  みな自分の仕事に誇りを持っている感じがする。
The 冒険者ギルドと言った雰囲気だ。
ユキムラ達、サナダ白狼隊はA級パーティになる。
隊長のユキムラはS級。間違いなく一流のパーティだ。
見る人が見ればその実力は推して知るべしという奴だ。
外のワンチャン可愛かったー!
どうやら今入ってきた女性の冒険者らしく、外でお利口さんに待っているタロが愛想を振りまいたのだろう。
ユキムラはニヤリとしながら受付へと向かう。
「はじめまして。
  私はユキムラと申します。
  この度ダンジョンに入る許可を頂きにまいりました。
  こちらに王都ギルド本部ギルドマスターからの紹介状もありますので、よろしくお願いします」
新人営業みたいなかたっ苦しい話し方になってしまった。
少し興奮と緊張をしているようだ。
本部ギルドマスターの名前が出たことで周りの冒険者たちもユキムラと受付嬢の会話に興味を惹かれる。あいつら何者だ? とそこらかしこで話題になり始める。
紹介状が本物であることが確かめられると奥の応接間へと通されることになる。
これでさらにギルド内の興味はユキムラ達サナダ白狼隊へと集中していくことになる。
応接間に入るとすぐに真面目そうな男が入ってくる。
「紹介状は拝見いたしました。バルトール冒険者ギルドマスターを勤めているポストと申します」
「サナダ白狼隊のリーダーをしていますユキムラです。よろしくお願いします」
握手を交わす。たぶんこのポストさんは魔術系の職だろうな。ユキムラはそう予想する。
知的な顔つき、生真面目そうで整えられた服装。そしてそこまでの肉体的なボリュームを感じさせない。握った手もゴツゴツとはしておらず力仕事よりは知的な仕事を得意としてそうだ。
「今回は紹介状もありますので問題なくダンジョン入場の許可、しかもプラチナ証をお出しします。
ずいぶん総本部長も推しているようで、ぜひ最深部の宝を持ち帰ってくださることをギルドとしても期待いたします。ダンジョンでの基本的なルールはそちらの冊子に目を通してください。
ダンジョンに潜られる全ての冒険者に女神の加護の有らんことを……」
ポストさんは懐から女神の首かざりを出して祈ってくれる。どうやら聖職者系の方らしい。
「今日はもう遅くなってきていますので入場は明日からということでよろしいですか?」
「はい、今日一日英気を養い明日から一気に攻略を目指していきます」
「ふむ、普通なら準備などで数ヶ月出たり入ったりするものですが、なるほど確かに見た目にそぐわぬ剛毅な方のようだ。繰り返しご武運をお祈りさせてもらいます」
再度固く握手を交わす。
ギルドでの用事は済んだ。
後はダンジョン攻略を目指すだけだ。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
75
-
-
1978
-
-
141
-
-
361
-
-
440
-
-
127
-
-
52
-
-
39
-
-
147
コメント