老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
41話 ギルド長
「あ、師匠お帰りなさいませ!」
笑顔のレンが迎えてくれる。ユキムラにとっての癒やしはレンの笑顔だ。
「どうでしたかカシンさんの仲間たちは無事でしたか?」
「結構危なかったね、クエスト時間が進んでたらもっと酷いことになっていただろうね……」
それから食事を取りさっぱりしてからレンに今回の冒険の話をしながら夜は更けていった。
残念ながら村長はすでに床についていたので詳しい話を聞く機会は翌日になってしまう。
朝から街の長やギルド長との話し合いだから、こりゃ会議中に聞くようになっちゃうなぁ、ユキムラはそんなことを考えていたらいつの間にか夢の中へ落ちていった。
チュンチュン……
宿の窓から朝日が差し込み小鳥たちのさえずりが聞こえる。
まだ布団で気持ちよさそうな顔して寝ているレンを起こさないようにユキムラは軽く朝支度をする。
日の出とともに起きて軽く体操をしてランニングだ。
この世界に来て暫くしてからなるべく日課にしている。
身体を鍛えたいし、何より体を動かすと気持ちがいいし朝食が美味しい。
まだ雪解けが終わっていないキンと冷えた空気が逆に気持ちがいい。
ギルドから冒険者の証、カード状の身分証明書があるために自由に町の外へと出られる。
周囲の採集ポイントなどを調べながら軽く散策する。
最初の頃に比べるとだいぶ走れるようになってきている。
中身50過ぎのおっさんなので、単純にそれが楽しくて楽しくて仕方がないってのもハマった要因だ。
基本的に街のそばに存在する採集ポイントで目新しい物は見当たらない。
近くの森に狩猟ポイントが有ったので軽く狩ってみても鹿やウサギ、ビッグバード(鶏に似た味で美味、羽も利用可能)などで村と変わらない。
ある程度街の外周を回れたので戦利品とともに帰宅する。
宿の人に狩猟の成果を上げたらとても喜んでくれた。
そのまま外の馬車で汗を流す。
さっぱりとして部屋に戻ると目をこすりながらレンが起き出す。
「あ……師匠、おふぁようございま~す」
「おはようレン。顔でも洗ってきたら?」
「ふぁ~い……」
しっかり者のレンも寝起きは普通の男の子だ。
顔を洗いシャキッとしたレンが部屋に戻ると宿の人が朝食に呼びに来てくれた。
食堂へと移動する廊下で村長とも合流する。
「おお、ユキムラ様お早いお戻りだったそうで」
「村長が変なこというから急いで帰ってきましたよ」
村長はすっとぼけた表情をする。
「はて、変なことなんて言っていないと思いますが……?」
「僕を村長にして引退するとか聞きましたよ」
「ほっほっほ、すでにあの村はユキムラ様が発展させた村です。
儂などは喜んでその下働きをしていきますよ、お願いしますよユキムラ様」
さっきまでのおどけた感じから急に真面目になってユキムラを見つめる村長。
「本気……なんですね。わかりました。微力を尽くしましょう。
しかし、自分みたいな若造がそんな大役をみんな認めるでしょうか?」
「はっはっは! これは村の総意です。何も問題なんてありはしません。
村民総出でユキムラ様のお手伝いを今まで通りやるだけ、何も変わりゃーしませんよ」
「そうそう、師匠はどんどん無茶言って僕達が実行していく。何も変わりませんよ」
レンと村長が何が楽しいのか笑いながら食堂へ入っていく。
ユキムラは少し釈然としないけども、自分の力をあの村のために尽くそうと密かに誓う。
朝食は少し豪華だった。獲物のお礼なんだろう。
身支度を整えてギルド本部へと向かう。
用意された宿とギルドは目と鼻の先だけどその移動の間で来客がある。
カシンだ。
「ありがとう! 本当にありがとう!」
涙をためた目で熱く何度も手を握りしめてきた。
「たぶん夕方か夜には街へとつくと思うよ。よかったね」
繰り返しお礼を言われてしまってキリがないのでレンが引き剥がしてくれた。
ギルドに入ると受付のおねーさんにしこたまびっくりされた。
そりゃそうである、往復2日はかかる場所に救助に行ったはずの人間が翌日の朝に目の前にいるんだ。
しかも、救助は成功しているとレンから聞いている。
レンが上手いこと早馬を夜も走らせたとか繕ってくれてる。
なんだかんだあったけど奥の応接間へと通される。
以前村であった二人の姿を確認する。
その二人の中央に二人の男がいる。たぶん領主とギルドマスターなんだろう。
「はじめましてユキムラ君。レン君、そして村長。私がジュナーギルドマスターのサイレンだ」
差し伸べられた手をにぎる。分厚くそして長年の鍛錬によって手のひらに無数のタコがある。
かなり、やる人だとわかる。
背はユキムラと同じくらい170後半ぐらいだが身体は一回り大きい。
無駄な筋肉がなく筋張った腕に無数の傷跡もある。
顔つきは年相応の迫力があり、少し混じった白髪が逆に熟練の雰囲気作りの助けとなっている。
「はじめましてユキムラ君、レン君、お久しぶりです村長。
私がこのジュナーの街の領主をさせていただいている、レックスという。
これから末永くよろしくお願いしたいと思っている」
これが領主、やはりどこか抜け目がなさそうなしたたかそうな印象がある。
目の奥でユキムラをじっくりと値踏みしているようなそういう怖さがある。
仕立てのいいタキシードのような装いで小物も一つ一つが良品とわかる。
この会で一番えらいのはレックスだ、レックスは皆に着席を促す。
進められるまま全員席に座る。
ちょうどギルド職員がお茶を置いてくれた。
「さて、最近発展著しいファス村の原動力と言われるユキムラ君と出会えたのは幸運だな。
先立って聞いているが、その若さで村を治めるらしいな。ふむ……」
おもむろにギルドマスターが立ち上がる。
「ユキムラ君、ちょっとやろうか。それが一番人間性がわかる」
そんなわけで、訓練場へと連れてこられたユキムラ。
どんなわけだよ!
笑顔のレンが迎えてくれる。ユキムラにとっての癒やしはレンの笑顔だ。
「どうでしたかカシンさんの仲間たちは無事でしたか?」
「結構危なかったね、クエスト時間が進んでたらもっと酷いことになっていただろうね……」
それから食事を取りさっぱりしてからレンに今回の冒険の話をしながら夜は更けていった。
残念ながら村長はすでに床についていたので詳しい話を聞く機会は翌日になってしまう。
朝から街の長やギルド長との話し合いだから、こりゃ会議中に聞くようになっちゃうなぁ、ユキムラはそんなことを考えていたらいつの間にか夢の中へ落ちていった。
チュンチュン……
宿の窓から朝日が差し込み小鳥たちのさえずりが聞こえる。
まだ布団で気持ちよさそうな顔して寝ているレンを起こさないようにユキムラは軽く朝支度をする。
日の出とともに起きて軽く体操をしてランニングだ。
この世界に来て暫くしてからなるべく日課にしている。
身体を鍛えたいし、何より体を動かすと気持ちがいいし朝食が美味しい。
まだ雪解けが終わっていないキンと冷えた空気が逆に気持ちがいい。
ギルドから冒険者の証、カード状の身分証明書があるために自由に町の外へと出られる。
周囲の採集ポイントなどを調べながら軽く散策する。
最初の頃に比べるとだいぶ走れるようになってきている。
中身50過ぎのおっさんなので、単純にそれが楽しくて楽しくて仕方がないってのもハマった要因だ。
基本的に街のそばに存在する採集ポイントで目新しい物は見当たらない。
近くの森に狩猟ポイントが有ったので軽く狩ってみても鹿やウサギ、ビッグバード(鶏に似た味で美味、羽も利用可能)などで村と変わらない。
ある程度街の外周を回れたので戦利品とともに帰宅する。
宿の人に狩猟の成果を上げたらとても喜んでくれた。
そのまま外の馬車で汗を流す。
さっぱりとして部屋に戻ると目をこすりながらレンが起き出す。
「あ……師匠、おふぁようございま~す」
「おはようレン。顔でも洗ってきたら?」
「ふぁ~い……」
しっかり者のレンも寝起きは普通の男の子だ。
顔を洗いシャキッとしたレンが部屋に戻ると宿の人が朝食に呼びに来てくれた。
食堂へと移動する廊下で村長とも合流する。
「おお、ユキムラ様お早いお戻りだったそうで」
「村長が変なこというから急いで帰ってきましたよ」
村長はすっとぼけた表情をする。
「はて、変なことなんて言っていないと思いますが……?」
「僕を村長にして引退するとか聞きましたよ」
「ほっほっほ、すでにあの村はユキムラ様が発展させた村です。
儂などは喜んでその下働きをしていきますよ、お願いしますよユキムラ様」
さっきまでのおどけた感じから急に真面目になってユキムラを見つめる村長。
「本気……なんですね。わかりました。微力を尽くしましょう。
しかし、自分みたいな若造がそんな大役をみんな認めるでしょうか?」
「はっはっは! これは村の総意です。何も問題なんてありはしません。
村民総出でユキムラ様のお手伝いを今まで通りやるだけ、何も変わりゃーしませんよ」
「そうそう、師匠はどんどん無茶言って僕達が実行していく。何も変わりませんよ」
レンと村長が何が楽しいのか笑いながら食堂へ入っていく。
ユキムラは少し釈然としないけども、自分の力をあの村のために尽くそうと密かに誓う。
朝食は少し豪華だった。獲物のお礼なんだろう。
身支度を整えてギルド本部へと向かう。
用意された宿とギルドは目と鼻の先だけどその移動の間で来客がある。
カシンだ。
「ありがとう! 本当にありがとう!」
涙をためた目で熱く何度も手を握りしめてきた。
「たぶん夕方か夜には街へとつくと思うよ。よかったね」
繰り返しお礼を言われてしまってキリがないのでレンが引き剥がしてくれた。
ギルドに入ると受付のおねーさんにしこたまびっくりされた。
そりゃそうである、往復2日はかかる場所に救助に行ったはずの人間が翌日の朝に目の前にいるんだ。
しかも、救助は成功しているとレンから聞いている。
レンが上手いこと早馬を夜も走らせたとか繕ってくれてる。
なんだかんだあったけど奥の応接間へと通される。
以前村であった二人の姿を確認する。
その二人の中央に二人の男がいる。たぶん領主とギルドマスターなんだろう。
「はじめましてユキムラ君。レン君、そして村長。私がジュナーギルドマスターのサイレンだ」
差し伸べられた手をにぎる。分厚くそして長年の鍛錬によって手のひらに無数のタコがある。
かなり、やる人だとわかる。
背はユキムラと同じくらい170後半ぐらいだが身体は一回り大きい。
無駄な筋肉がなく筋張った腕に無数の傷跡もある。
顔つきは年相応の迫力があり、少し混じった白髪が逆に熟練の雰囲気作りの助けとなっている。
「はじめましてユキムラ君、レン君、お久しぶりです村長。
私がこのジュナーの街の領主をさせていただいている、レックスという。
これから末永くよろしくお願いしたいと思っている」
これが領主、やはりどこか抜け目がなさそうなしたたかそうな印象がある。
目の奥でユキムラをじっくりと値踏みしているようなそういう怖さがある。
仕立てのいいタキシードのような装いで小物も一つ一つが良品とわかる。
この会で一番えらいのはレックスだ、レックスは皆に着席を促す。
進められるまま全員席に座る。
ちょうどギルド職員がお茶を置いてくれた。
「さて、最近発展著しいファス村の原動力と言われるユキムラ君と出会えたのは幸運だな。
先立って聞いているが、その若さで村を治めるらしいな。ふむ……」
おもむろにギルドマスターが立ち上がる。
「ユキムラ君、ちょっとやろうか。それが一番人間性がわかる」
そんなわけで、訓練場へと連れてこられたユキムラ。
どんなわけだよ!
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